ご当地問題の愉しみ

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、クイズのロケ地に関するご当地問題と呼ばれる設問がありました。

世界各地でロケを行った番組なので、普段は誰の目にも止まらないような知識が紹介されるので、クイズ・ファンには好評の問題でした。

第15回で大西洋のドミニカ共和国を訪れた時に、次のような問題があり、多くの人の好奇心を呼び起こしました。

コロンブスの新大陸発見の際、インドと間違えたために命名された諸島とは何?

答・西インド諸島

解説 コロンブスがインドと勘違いして到着したのは、現在のドミニカ共和国の在るイスパニオーラ島です。

この島は、キューバに次ぐ大きな島で、島の東部がドミニカ共和国、西部はハイチ共和国です。

アメリカ大陸を発見したコロンブスが、何故この国の名前になっていないのか? 次のような理由が有ります。

コロンブスはこの島をインドの一部だと勘違いしていた。

これに対しアメリカの名の由来は、アメリゴ・ヴェスブッチとの航海者から命名されたものなのです。

ヴェスブッチはイタリアのフィレンッェで生まれ、大航海時代に航海者として大西洋を渡り、アメリカに到達しています。

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ヴェスブッチは、コロンブスの1,492年より5年早い1,497年に島を発見、上陸して各地を探検、「島ではなく新大陸」と呼んだのだそうです。

コロンブスはインドと勘違いしたのに対し、ヴェスブッチは新大陸と呼んだので、後の学者たちの合議でヴェスブッチの名を国名に採用したとの事です。

これには研究者によって諸説あり、その一つが以上の説である事を念のため付け加えます。

何れにしても、ご当地問題は世界の面白そうな情報が散りばめてありましたので、雑学的には宝庫だったかも知れません。

本日の裏話は、アメリカ合衆国の国名に関するお話でした。

 

昔話が懐かしい

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返って見ると、忘れていた昔の記憶を呼び戻す事があります。

子供の頃には、多くの子供達が親しんだ「昔話」や「お伽話」は子供時代の常識的な知識でした。

でも、大人になって思い出そうとしても、記憶がハッキリしないものが結構あります。

一般には「ド忘れ」と呼ばれ、大して重要な問題とは考えません。しかし、クイズ問題はこの辺の隙を突いて作られます。

ド忘れの典型的な問題を探したところ、第8回のフェニックスで次の問題が出されていました。

問・アラジンと魔法のランプに出てくるアラジンはどこの国の人?

答・中国

解説 舞台はエジプトですが、アラジンは中国人で仕立て屋の子供でした。

後に中国皇帝の姫君と結婚し、皇帝の跡を継いで、国民に慕われた立派な政治をしたお伽話です。

「アラジンと魔法...」の画像検索結果

アラビアン・ナイト「千夜一夜物語」の中の代表的な話で、世界中の子供たちが、胸を躍らせながら楽しんだ物語です。

こうした昔話の中からは、問・浦島太郎は何年竜宮城で遊んでいた? 答・700年 など忘れ去られた記憶の問題がありました。

昔々は知っていた記憶も、時には思い出してみるのも、頭のトレーニングに効果があるようですよ。

でも、近頃は親が子供にこのような話を聞かせる事も減り、子供達はテレビのアニメで育っているようですね。

SNS時代ですから、スマホが一台あれば事足りるわけで、子供の頃から親子の会話が減る傾向は淋しい事です。

そんな心配こそ余計なお世話。時代遅れかもしれません、反省!

 

 

常識問題の落とし穴は?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、普遍の常識問題と流動的な知識が混在して出されていました。

流動的な知識は、その時代に「旬な話題」と思われるものの中から選別されて創られていたので、現代の視点で振り返ると懐かしい話題が多いのです。

普遍的な常識問題は数が多いので、問題に採用されたのは、勘違いで誤答する可能性がありそうな話題が選ばれていました。

第14回の東京ドームで出された、勘違いされそうな問題が以下の設問です。

問・「豚に真珠」とはイエス・キリストの残した教えである。〇か✖か?

答・〇

解説 キリスト教徒の皆さんなら迷わず正解した事でしょう。「新約聖書」のマタイ福音書第7章に「真珠を豚に与えるな」とあります。

これは、群衆の前でイエスが語った教えの一節と伝えられ、価値の解らない者に、価値あるものを与えても意味が無いとの教えです。

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逆に勘違いしたのは、豚とイエスは結びつかない。豚を良く食べるのは中国人で、それなら孟子か孔子の教えではないか? と勘を働かせたのでしょう。

〇×クイズ、特に東京ドームのように群衆で走る問題は、他人に付いて走る事も多く、自分の感、又は確信で答えないと後悔する事になります。

北は北海道から、南は九州・沖縄まで、交通費自己負担で東京までやって来たのですから後悔先に立たずになってしまいます。

先人が創ったこの諺は、実に正しい教えですね。

MCの福留さんが「自分の考えで走れ!」と声を枯らして叫んでいたのには、上記の意味が含まれていたのです。

普遍的な常識問題の場合は、常に勘違いしていないか? 冷静な判断で答えるのが勝ち進むコツだったのです。

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「馬の耳に念仏」「猫に小判」「犬に論語」動物を使った諺は数多くありますが、それぞれ正しい意味を知っておくのがクイズ王への道でしょう。

ウルトラクイズでは、簡単と思える常識問題こそ要注意が本日の裏話でした。

 

歴史は繰り返される

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を読み直すと「歴史は繰り返す」の言葉を実感する事が多いのに驚きます。

世の中の動きは、何年か毎に同じような出来事があるため、この言葉が生まれたのでしょう。

1984年、今から34年前ですがウルトラ・クイズでは第14回の時です。冒険家の植村直巳さんが国民栄誉賞を受賞しました。

当然、この年には国民栄誉賞が話題になり、関連するクイズ問題が数多く採用されました。

勿論、植村さん以外の受賞者の問題も多く、その中から知って面白い話題がクイズ問題となって放送された訳です。

国民栄誉賞とは何か? 国民に夢や希望を与える行為をした人物に与えるもので、スポーツ、文化、芸術活動など広い分野から選ばれます。

今年は冬季オリンピックで活躍した選手が多いので、若しかすると国民栄誉賞ラッシュになるかも知れません。

総理大臣が表彰するので、人気取りの為との陰口もささやかれますが、確かにその後の支持率が上向きになっていますね。

話は戻って、今年は将棋の世界では初となる羽生善治棋聖(47)と囲碁の7冠独占を果たした井山裕太氏(28)が将棋・囲碁界で初の受賞となりました。

囲碁や将棋は、日本古来の庶民の娯楽・文化でありこの分野からの初の受賞とのニュースを見て不思議に感じた方は多いと思います。

何故、今まで陽が当たる事も無く放置されていたのでしょう? 想像するに選考する担当者の関心が無かったのではないでしょうか。

何れにしても、国民栄誉賞が制定されたのは1,977年(昭和52)で、プロ野球王貞治選手(当時37才)が本塁打世界記録を達成。

「王貞治 ホーム...」の画像検索結果

この偉業を表彰するため、時の総理大臣・福田赳夫氏の時に制定されました。

本来であれば叙勲ですが、それには年齢が若すぎるとの理由で総理大臣官邸での表彰になっています。

因みに現在までの受賞者は26名、現役の他、古賀政男氏、美空ひばりさん等没後表彰との場合もあります。

アメリカ横断ウルトラ・クイズが始まったのも正にこの年、第1回の後楽園球場は、王選手の記録達成の興奮冷めやらぬ球場での予選でした。

国民栄誉賞とウルトラ・クイズとの縁は単なる偶然ですが、関係者としては親しみを覚えます。

国民栄誉賞の成り立ちと経緯、今後はクイズ番組の問題になるかも知れませんよ。雑学の一つとして記憶してくれると嬉しいのですが……。

 

問題・正誤チェックの苦労

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、問題の正誤を調べるチェック担当者の努力が思い出されます。

ウルトラ・クイズは、他のクイズ番組と異なり答の「誤」は絶対に許されないルールなのです。

何故なら、敗者が主役の番組なので、その答えが間違えていた場合、間違えた人が勝ち進む事になり、ルール上番組は成立しないのです。

従って、チェック担当者は、1人の確認ではなく最低3人の目を通し、ハンコが3つ並ばなければ合格とはなりません。

中でも大変なのは、現在生存中の人物が絡んだクイズ問題です。本人の証言を取らない場合は不合格とのルールを作りました。

そんな問題で、記憶に残る問題が2問ありました。

その一つは、問・海部総理大臣は国会へ行く場合、必ず水玉模様のネクタイを付ける、との問題でした。

これは、当時新聞、雑誌などで話題になっていたので、世の中の人が良く知っていた常識です。

とは言え、新聞や雑誌の記事で確認しただけではダメ。また、総理の秘書や家族の証言もダメ。本人の確認が必要でした。

どんな人気番組でも、現職の総理大臣に証言をもらうというのは至難の技でした。そこで、報道局の政治部総理番の記者を通して本人確認をしたのです。

二つ目の大変な問題は、第16回のグアムで出された問題でした。

問・お椀を船にして川を下ったのは一寸法師。では、お椀にお湯を入れてお風呂にしていた水木しげるのマンガのキャラクターは何?

答・目玉おやじ

解説 「ゲゲゲの鬼太郎」の主人公・鬼太郎のお父さんが目玉おやじです。これは掲載漫画雑誌を見れば確認出来ます。

「ゲゲゲの鬼太郎...」の画像検索結果

しかし、若しかすると目玉おやじの他にも、お椀をお風呂にしたキャラクターが居るかも知れません。

マンガ雑誌の担当者、水木事務所のアシスタントの証言ではダメ。

何故なら、ご本人が冗談で他のキャラクターをお椀のお風呂に入れる事だって想像出来ます。

電話での確認では失礼な話。従って、主旨を説明しご本人に面会、ご本人から「間違いない」との確認を取って、放送に至ったのです。

これには後日談があって、水木先生自らが面白がって、目玉おやじが一度だけ瞼を降ろしたシーンを作ったと伝えられていました。

17年間に亘って放送されたクイズ問題で、答えの正誤の間違いが一問も無かったのは、こうしたチェック担当者の地味な働きのお蔭だったのです。

番組のスーパーに、個人名が出て来ない裏方さんに感謝です。