残念無念!ロケ地にならなかった素晴らしい絶景。

13回オーストラリアへ行きました。
折角南半球の大陸まで足を伸ばしたのですから、クイズ会場も1箇所か2箇所で済ますわけには行かないでしょう。
々は約10日間かけてアチコチを見て回りました。
初めて訪れる場所ですから、日本の視聴者にお見せしたいような場所は沢山ありました。

果的に選ばれたのは4箇所でした。

日本人にも人気の高いゴールド・コースト
カンガルーの故郷で草原の町モーリー
コアラの大好きなユーカリの森、ブルーマウンテン
そして、独特のデザインのオペラハウスで有名なシドニー

でも、会議で最後まで争った場所がまだ2箇所ほどありました。
の1つは世界1美しいと言われる都市パースから北へ250kmほど車を走らせた場所にあるピナクルスです。
ここはナンバン国立公園にあって、インド洋に面した砂漠のような景観です。
しかし、普通の砂漠と異なるのは、「砂漠の墓標」と呼ばれる岩が棒のようにニョキニョキと見渡す限り一面に立っているのです。
一番高い岩は4メートルほどで、特徴のある岩にはそれぞれ名前が付けられているのだそうですが、まあ、とにかく奇妙な絶景です。

↓ピナクルス

ピナクルス

こでは、どのようなクイズ形式が相応しいか、あれこれと構成作家の頭を悩ませましたが、残念ながら「これ!」という決定打が出せずにクイズ地としてはパスとなってしまったのです。
る1つはオーストラリアのヘソとも呼ばれるエアーズロックです。
草原の中にどっかりと座るような形のエアーズロックは、オーストラリアの原住民アボリジニの聖地としての歴史を持っています。

界で2番目に大きな単一の岩石で、高さが335メートル、周囲が9.4kmもあるというのですから、それは大きいです。

かも大きいだけでなく、太陽の当たり方によって色が変化するのです。
特に朝陽、夕陽にあたって輝く赤色が最も美しいとされています。
ここでは定番のばら撒きクイズだろうな、ということで、カンガルーの楽園モーリーか、はたまたアボリジニの聖地か、と接戦の末エアーズロックは涙を飲んだのでした。
↓エアーズロック

エアーズロック

ケハンでは、パースからエアーズロックまで列車を乗り継いでいたら何日もかかってしまう距離です。
そこで調べたところオーストラリアは流石に広い大陸ですね。

空のタクシーともいえる飛行機があったのです。
6人乗りのプロペラ機ですが、

「4~5時間でエアーズロックまで行ける。しかも上からシッカリと調べられるよ」

とのこと。

速この飛行機をチャーターして、目的地に向かいました。
すると、機長の青年が親しそうに話しかけ、やがて身の上話になりました。

「自分はブラジルから出稼ぎにやってきた。この飛行機も自分の所有だが、そろそろ国に帰りたい。ついてはこの飛行機を買ってくれないかな?」

というのです。

「オイオイ、冗談やめてよ」
「だって日本人はお金持ちでしょ?」
彼は真面目な顔で言うのです。
「因みに幾らで売りたいの?」

と聞いてみました。

すると、彼の希望は国産の高級車くらいの値段でした。

日本で自家用機を持つなどというのは、とんでもないお金持ちに限られると思っていましたが、お国が変わると事情も変わるものですね。

※「ばら撒きクイズ」とは問題の入った封筒を上空からばらまき、挑戦者はそれを拾って司会者のところまで持ってくる。中には問題が入っていないハズレもある。

オーストラリアで熱気球に乗れなかった理由は?

メリカ横断!ウルトラクイズの第13回は、「オーストラリア、ニュージランド経由ニューヨーク行き」という大寄り道コースとなりました。
初めて訪れるオーストラリアは、見せたい場所が沢山あります。
それに準じて、挑戦者に体験してもらいたい事も豊富で迷ってしまいます。
前の調査で、10人乗りの気球があるとの情報を得ました。
勿論、ロケハンではそれを体験する事にしました。
↓現在では人気のアクティビティ熱気球

オーストラリアの熱気球

所は見渡す限り180度真平らな草原の中にある小さな田舎町モーリー
カンガルーの故郷で、10分も草むらで待っていればカンガルーに会えるとの事です。
ホントかよ、と我々も半信半疑。
気球に乗るためには、夜明けが美しいとの事でしたので、まだ暗いうちにホテルを出発しました。
々が訪れた6月は現地では真冬です。
現地に着くと、焚き火をしながら、暗い中で熱気球の出発準備がなされます。
やがて夜が白々と明けて、カゴに乗り込み出発しました。
真冬ですから風に当たると、寒さを感じますが、気球が地上を離れるとあら不思議、今まで吹いていた風がピタリと止んで無風状態となってしまったのです。
考えてみれば、風と同じ速度で風に乗るのですから当たり前の事なのですが、初体験の私としては不思議な気分です。
空に上がると、見渡す限りの草原に朝日が昇って、それは言葉に表せないほどの美しさです。
しかも、無風の上に音が全く無くて静寂の世界が広がっています。
↓夜明けの熱気球

夜明けの熱気球

気球の船長が、黙って指を差す方角を見下ろすと、数匹のカンガルーの家族が連れ立ってピョンピョンと走っているではありませんか。
目を凝らして見渡すと、あっちにも、こっちにも同じようなカンガルーの群れが走っているのです。
こんな幻想的な状況を体感出来るなんて、感動ものでした。
↓野生のカンガルー

野生のカンガルー

「こりゃあもう、挑戦者全員に見せてあげたい」
とその場で熱気球体験を決定したのは言うまでもありません。
ロケハンの報告会でも、反対意見は無くすんなりと決定しました。
ころがです、ロケへの出発の何日か前にとんでもない情報が入りました。
あろう事か、我々が予約していた10人乗りの熱気球が事故を起こして墜落し、死傷者が出たというのです。
この事故は日本の新聞でも報じられ、我々を案内してくれた船長も犠牲になったとの事です。
安全に関しては何度も確認を取り、絶対に危険は無いと胸を張っていたのに、なんとも残念な事故でした。
論、この事故によって我々の計画は白紙になってしまったのです。

クイズ問題に対するプレッシャーの凄さ

メリカ横断!ウルトラクイズの最初の盛り上がりは、東京ドームでの○×クイズでしょう。
あの大勢の挑戦者が、運命を託して×のどちらかを選ぶ。
それを決めるまでの迷い、自信と不安、決断、しかし又迷ったり、他人の意見に左右されたり、その辺が視聴者にとっても、なんともワクワクする要素でした。
まり、日頃の知識によってだけでは簡単に正解が導き出せない問題が採用されるわけで、このような問題を創るのは易しいようで、結構難しいのです。
った人間にしてみれば、自分のアイディアでこれだけの人間が迷っていると思うと、体中が快感でしびれ、最高の気分を味わえるのです。
すが、問題制作の責任者であった私には、あの東京ドームほどプレッシャーのかかる日はありませんでした。
何故なら、例え1問と言えども問題に誤りがあれば、番組そのものが成立しなくなるのです。
正解が不正解で、不正解が正解となれば、負けた人達が勝ち組であり、勝った人達が負け組みに逆転するわけですからね。
となれば、その後の進行は形式的に成立しません。
あのマスゲームは、そのように恐ろしい性格を持っていたのです。
ましてや、そんな事が後で判明したら、莫大な費用をかけて作っても放送する事は出来ないでしょうね。
んな事を想像すると、どんなに自信がある問題でも、出題される度に「絶対に大丈夫」と心に確認しながらプレッシャーに押し潰されそうでした。
論、問題のチェックは3重4重に行ないました。
えば
「オッパイの大きな女性はレントゲンの映りが悪い」○か×かという問題がありました。
興味を引く問題ですし、答えが知りたくなります。
因みにこの問題は○が正解でした。
ェックは、まずAという大学の放射線科で確認をとります。
すると担当の医師が、当たり前の事を聞くな、といった調子で「当然そうなります」と答えてくれました。
でも、それで満足してはいけません。
別の調査マンがBという専門医に、そしてまたまた別の人間がCという専門家に確認を取ります。
更に、「新しい機械で、映りに差のない新機種が出ていませんか?」
といったように、角度を変えてチェックを取ります。
それで大丈夫、と確認されてようやく採用となるのです。
に動物、植物に関する問題は、念には念を入れて確認しなければなりません。
というのはAという専門家は肯定しても、別の意見を述べる専門家がいる場合が多いのです。
えば「バナナには種のある種類がある」
という問題がありました。
調べた所、ほとんどの専門家がそんなバナナは聞いたことがないとのことでしたが、或る学者に聞いたところ「ありますよ」とのこと。

一寸忘れましたが、○○という植物は果物では無いが、ババナの仲間で種があります、という返事でした。
このように、専門家の意見が対立するような問題は当然避けなければなりません。
って、実は面白い問題も沢山あったのですが、調査で不採用になったものも相当数にのぼったのです。

空港で現金を没収される

メリカ横断!ウルトラクイズは、時によってアメリカ大陸を突き抜けて、寄り道のコースを辿ります。
15回の時にはカリブ海に浮かぶイスパニョーラ島へ行きました。
この島にはドミニカとハイチの2つの共和国があって、我々はドミニカ共和国へ行こうということになりました。
↓イスパニョーラ島

イスパニョーラ島

の島は1,492年にコロンブスによって発見されたところです。
スペインの植民地として歴史が始まっただけに、首都のサントドミンゴはスペイン風の建築物が多く見られ、古きヨーロッパの雰囲気を残す素敵な街並みでした。
↓サントドミンゴ_Wikipediaより

サントドミンゴ

の島でロケハンの時に、とんでもない経験をさせられました。
々はチーフディレクターK氏、コーディネーターL氏と私の3人でのロケハンでした。
L氏はロケ地での交渉などを担当する役目で、旅の費用として常に大金をアタッシュケースに入れて、持ち歩いています。

を後にする日、空港に到着した我々は、搭乗手続きも済んで、持ち物チェックを受け、飛行機に向かいます。
その間、何処の空港でもそうですが土産物の売店が並んでいます。
いつもの癖で、搭乗手続きの後は自由行動で、勝手に売店を見ながら時間を潰し、飛行機の機内で合流するのが我々の通常の行動パターンでした。
私とK氏は時間が来たので機内に乗り込んで、L氏が来るのを待ちましたが、彼は中々姿を現しません。
その内に出発のアナウンスが流れ、扉が閉められてしまったのです。
「一寸待って。まだ仲間が乗っていないのです」
慌ててスチュワーデスに訴えました。
すると彼女は、
「その方はこの飛行機には乗れない事になったと連絡がありました」
「そんな馬鹿な!」
こちらの抗議は無視され、飛行機はそのままニューヨークに向けて離陸してしまったのです。
体何が起こったのか状況が把握出来ず、あれこれ想像するだけで何の解決にもなりません。
その内にニューヨークに着いてしまったのです。
時間後、彼は次の便で遅れてやってきましたが、その説明によればこんな事があったのだそうです。
持ち物検査の時に、アタッシュケースを開くように言われました。
言われるままに開けると、中の持ち物をあれこれ探り、封筒に入った大金を見つけました。
係員「この現金はどうした?」
L氏「自分のお金ですよ」
係員「嘘はいけない。この国でどうやって手に入れた?」
L氏「冗談じゃない、来た時から持っていたものだ」と抗議したそうです。
係員「入国の時の現金持込の届書を見せなさい」
L氏「それは、届けなかった」
と言った途端、係員がピピッ!と笛を吹き、それを合図に、警戒中の兵士が2~3人を構えて駆けつけ、それを突きつけられて別室に連行されて、取調べを受けたと言うのです。
うやら、その前の晩に我々はカジノへ行きましたが、そこで大金を稼いだ東洋人のグループがいたらしく、それに間違われたようです。
最初から狙われていたような検査だったそうですし、「カジノで幾ら稼いだ?」としつこく聞かれたそうです。
が幾ら稼ごうが勝手なのですが、国によってはそのお金の持ち出しを禁止しているところも多いのだそうです。
ですから、入国の時に〈一定の金額以上持ち込む者は、届け出る〉という書類があるのです。
面倒でもこれを怠ると、同じような被害に遭う事になります。
みに、この時のお金は全額没収され、後日返金されるまでに何ヶ月もかかったのだそうです。

海の上を走るハイウェーでキーウエストへ

メリカ人はドデカイ事が大好き。
文豪へミングウェイが愛したというキーウエストも、それを象徴する一つでしょう。
フロリダ沖に浮かぶ数々の小島を結んで橋を架け、その数が何と42にもなるんです。
↓Key West(キーウエスト)

キーウエスト

※橋が2本あるが、右側の橋は1,935年に台風で壊れそのままになっている
でも熊本県の天草市のように、幾つかの島を橋で結んで進む道はありますが、キーウエストはなんせ桁外れ。
何しろこの道を一直線に走ると、250kmもあるというんです。
このロケハンでは、何はともあれ走ってみようという事になりました。
途中にセブンマイル・ブリッジという橋があります。
名前の通り、橋の長さが7マイル(11.2km)もあるんです。
↓セブンマイル・ブリッジ

Seven_Mile_Bridge

中の島には世界初の海中ホテルがあり、参考のために訪ねてみました。
海中のホテルへ行くには、アクアラングを装着して潜って行ったのですが、ホテルの部屋は2部屋あって、珍しいけれども素晴らしいという印象ではありません。
↓海中ホテル Jules Undersea Lodge

Jules-Undersea-Lodge

出迎えに乙姫様でも現れたのであれば、良かったんですがねえ。
ロケ地としてはパス。
たまた一直線の海の上のハイウエイを走り続け、キーウエストに到着しました。
島にはへミングウェイが、「老人と海」を始め数々の名作を書いたという自宅跡があって、今は記念館になっています。
↓ヘミングウェイ記念館

ヘミングウェイ記念館

文豪が愛した猫の子孫が庭や部屋の中に一杯飼われていて、さしずめ「ネコ屋敷」とでも言いたい感じでした。
ホテルのヨットハーバーには、ペリカンが数羽飛んできて、羽を休めたりしています。
動物園以外でペリカンを観察したのは初めての経験だったので、感動しました。
キーウエストは常夏の島で、ニューヨークが氷点下の真冬でも、30℃というのですから、アメリカは広いですよね。
島中アチコチ見て回りましたが、クイズ地点に相応しい場所が見当たりません。
我々は諦め切れずに、帰り道に7マイルブリッジのある島に寄って見ました。
辺はものすごく綺麗で、波打ち際を見ると「カブトガニ」が泳いでいるではありませんか。
手を伸ばすと簡単に捕まえる事が出来ました。
↓これがカブトガニです

カブトガニ

水に入ると、貝も結構探す事が出来ました。
そこで、この7マイルブリッジを背景にした、「早押しダブルチャンス潮干狩りクイズ」が生まれたのでした。

「早押しダブルチャンス潮干狩りクイズ」 
ダブルチャンスの名の通り、もし最初の人が誤答した場合、次の人にも回答のチャンスが回ってきます。
そして誤答した本人へのペナルティは、目の前の海へ突進し、何でも良いが大きな生きた貝を採ってくること。
その間にもクイズは間断なく進行するという形式。