架空の生き物の盲点

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題には架空の生き物に関しての問題も多数出題されていました。

洋の東西を問わず、伝説や想像上の生き物は沢山いて、どれをとっても夢を呼ぶお話が付いているので、クイズ問題には恰好の題材です。

ざっと挙げて見ると、河童、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)、フェニックス、一角獣、龍、ペガサス、麒麟、鳳凰など枚挙にいとまがありません。

これらの生き物は、昔から絵画で沢山の人達が描いているので、子供の頃から姿を見れば判別が出来るのが一般の知識です。

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とは言え、作者は想像で描いている訳ですから、姿は多少異なるのは当然の事でしょう。

クイズ問題としては、人々がついうっかり見落としている姿の中から盲点を探して、出題していました。

第11回のワシントンで次のような問題がありました。

問・中国の伝説上の「麒麟」に角は何本?

答・1本

解説 「麒麟」に果たして角があったのか無かったのか、普通の人は見落としてしまいそうな問題ですね。

麒麟は中国の神話に現れる伝説の霊獣で、鳳凰と共に獣類の「長」とされています。

姿形は鹿に似て大きく、顔は龍のごとく威厳があるとされています。

また、牛の尾と馬の蹄を持ち、角は基本的に1本と記されています。

我が国ではビールのラベルでお馴染みの姿ですが、誰でも角の本数までは記憶に残してはいないでしょう。

人々の見逃してしまいそうな盲点を探して、クイズ問題に仕上げる。

この作業は意地悪な舅の「粗探し」に似ていますね。

そうです。我々スタッフは、根性の悪い意地悪婆さんみたいな集団だったのですよ。だから、挑戦者はみなさん声を揃えて言ってました。

「こんな連中と旅をするのは、罰ゲームだ!」

過酷なロケは、正にスタッフの罰ゲームみたいなものでした。でも、本音はもう一度やってみたいなァ。

 

日本の防衛はどう変わる?

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題には、世界の動きや情勢によって、タイムリーな問題が出題されていました。

最近は中国や北朝鮮など、日本を取り巻くアジアの動きが盛んにニュースとなってテレビを賑わせています。

国会でも、安全保障関連の法案が閣議決定したり、集団的自衛権で新しい動きが出ていますね。

中でも判り難いのは、世界で戦闘状態になった時、日本の自衛隊がどこまで進出するのか? 政治家や専門家が議論をしても、結論には至らない事が多いようです。

現在の日本にとっては、中国や北朝鮮の脅威があるだけにイザという時、アメリカがどこまで頼りになるのか、国民の関心はその辺に集中しているようです。

この先、日米同盟はどのように変わるのでしょう?

戦争に関する問題としては、第15回のモハーベ砂漠で次のようなクイズが出されています。

「愛国者」という意味がある、アメリカの誘導式迎撃ミサイルの名称は何?

答・パトリオット

解説 コンピューターの誘導システムで、マッハ3の超音速で目標を迎撃する力強い兵器です。

湾岸戦争ではイラク軍が発射したミサイルを迎撃し、世界で有名になりました。

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北朝鮮が時々日本海に向けてミサイルの発射実験を行っていますが、日本の自衛隊にも当然このパトリオットは配備されているので、日本列島はしっかりガードされています。

とはいえ、本物のミサイルが飛んで来た時に、確実に迎撃出来るという保証はありません。

考えると、怖いお話です。

戦争に関する物騒な話題で恐縮ですが、最近は世界中が緊張状態にあるので、時にはこのような身近な問題を振り返ってみました。

まさか、中東から東アジアへ。

紛争の舞台は移って欲しくないですね。

集団的自衛権の行方、目が離せません。

 

 

 

自然界の疑問を探す

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題は森羅万象何でも題材になります。

知っているようで知らない事、知っていたのに忘れやすい知識、どのような問題でもクイズになります。

でも答を聞いた人が「初耳」と言う方が面白い問題と言えるでしょうね。

我々はその様な問題は、新聞や雑誌などの資料で探すよりも、自分の思い付いた疑問の中から調べて作るようにクイズ作家に注文していました。

例えば天気や季節などの自然現象でも、学校で習った事実よりも、自分で疑問に感じた現象の方がきっと面白いはずです。

雨上がりの空に架かる「虹」はロマンチックな現象として多くの人に愛されています。

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虹で言えば、普通のクイズ問題では「色の配列」が良く問題として採用されています。

でも、ウルトラクイズのクイズ問題会議では、そのようなありきたりの着想は「没」の冷たい声で否定されてしまうでしょうね。

その様な中で、虹に関する傑作問題がありました。

第10回の後楽園の一次予選で出題されました。

問・満月の夜でも「虹」が出る。○か×かという問題でした。

答・○

解説 何故か「虹」を見た人の多くは感動します。虹にはそれだけのインパクトがあるのですね。

でも、夜に虹を見た人となるとそんなに大勢は居ないでしょう。ですから挑戦者も呆気にとられた表情で迷ってしまいます。

科学に強い人ならば「月光でも虹は出る」と判断するでしょうが、普通の人は夜の虹など、見た事も聞いた事も無い、と大いに迷ってしまいます。

ウルトラクイズの○×問題は、第一次予選とグアムでの泥んこクイズの定番でしたが、優れた問題は一次予選で使われていました。

夜の虹は色は薄くなりますが、それでも出るのだという発見でした。

満月の夜、雨が止んだら空を見上げてください。

blog_import_53c39792b364a「満月の虹」小説かドラマのタイトルになりそうなロマンティックなネーミングですね。

島に分布する民族の不思議

アメリカ横断ウルトラ・クイズでは、サイパン、グアム、ハワイといった太平洋の島々がお決まりのコースに入っていました。

南の島という言葉の響きが、若者たちの憧れでもありますし、現実にレジャーの人気スポットでもありました。

この様な憧れの島を経由し、アメリカ本土に上陸するというルートはウルトラ・クイズの様に、旅を主体にした番組なら当然のコース設定となります。

ところで、この島々に棲む人々には共通点がありました。 それは、どの島の人達も気質は底抜けに明るく、お人好しで親切なのです。

第14回でタヒチへ行った時に、何故あのような大海の孤島に人々が棲みついたのか不思議に思って調べた事がありました。

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タヒチの人々は民族的な分類ではポリネシア人と呼ばれています。

でも、更にルーツを遡るとアジア人とされているのだそうです。

その昔、アジアの各地から丸木舟に乗ってフィジー、サモア、トンガなどへ渡って行った民族の子孫が、3世紀頃にマルケサㇲ諸島へ渡りました。

その後4世紀から8世紀にかけてハワイ、タヒチ、イースターなどへ移り住んだという説が有力なのだそうです。

それも小さなカヌーで、太陽と星だけを頼りに何千kmという広大な海を渡って行くのですから、冒険大好きな海の民族と言えるのかも知れません。

ヨーロッパの大航海時代よりも1,000年も昔の事で、タヒチとは地元の言葉で「海を越えて行く」との意味を持つそうです。

他所からの来訪者を歓迎して、花や貝殻で作られた首飾りを掛けてくれる習慣は各島々の共通です。

キャプテン・クックが初めて訪れた時の記録にもこの事が記されています。

「カヌーに満載した贈り物。打算の無い宴会。全ての水兵を悩ませた官能的な娘たちの踊り」と日記にあったと言われます。

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ゴーギャンも、その様な優しい気質、親切な住民の民族性に魅かれてこの島に住み付いたのでしょうね。

我々はロケ地の皆さんに協力を求めて仕事をするのですが、島々での印象は常に気分良く進行したという思い出だけが残っています。

あの時代、新婚さんが行きたい旅行先で、タヒチはダントツの人気でNO1でした。

南太平洋の島々は、どこもロマンティックで心癒される観光スポットなのは変わりませんね。

 

 

要注意の設問に気を付けろ

アメリカ横断ウルトラ・クイズに限らず、クイズ番組はある意味で出題者と回答者の知恵比べ的な要素があります。

出題者は「これ知っているかい?」の気持ちで問題を出します。

解答者は「当然知っているさ!」と自信を持って答えたり「多分、これが答?」と半信半疑でボタンを押したり、駆け引きが勝負の決め手になります。

問題を創る我々としては、知識の抜け穴を探して、生半可なな知識では勝ち抜けない様に、万全を期して問題を作成していました。

第8回のグアムで次のような問題がありました。

日本から南極へ行くのにパスポートは要らない。○か×か?

解説 南極大陸はどこの国の領地なのでしょう?

南極の所有権を持っているのは? あまり聞いた事が無いので、何処の国にも属さないだろう、というのが最初の関門です。

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「何処の国にも属さない」場所を訪れるのであれば、パスポートを示す必要が無いので、不要であるとの結論になる人が居る筈です。

一方、日本を出国する時には、例えどこの国へ行くにしてもパスポートが無ければ出国は許されません。

この点に気が付けば○とは言えないのが解ります。

答・×

クイズ問題は最初に思い込んだ事だけで、即答すると誤答になるという代表的な例ですね。

この様な錯覚で誤答する問題は「引掛け問題」と呼び、ところどころに散りばめていたのです。

落とし穴を仕掛ける猟師のようで、我々スタッフはその落とし穴を楽しんでいたのですよ。イヒヒ