泥棒にご用心

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本語に関する問題が多数ありました。

文字の成り立ち、語源、言葉の由来など、分野は分かれますが知って得する、或は面白い事例を問題にしていました。

そんな中で、何故こんな言葉が生まれたのだろう? との疑問に答える典型的な問題がありました。

第10回のチチカカ湖で出題された、次の問題です。

問・その昔、旅人のようなふりをして旅行者のサイフを狙った泥棒を何という?

答・ゴマの蠅

解説 旅人を狙った泥棒を何故「ゴマとハエ」の言葉で表現したのか、不思議と言えば不思議な組み合わせですね。

実は、この言葉の組み合わせには、次のような実話あったのです。

その昔、修行僧達は全国を旅をしながら修行していました。しかし路銀が必要でこれは托鉢という形で寄付を集めていたのです。

でも、十分な寄付が集まらないので、弘法大師の護摩の灰と偽って、ただの灰を売りつけて詐欺を働いていたのです。

この段階では「蠅」ではなく「灰」だったのですね。でも、うっとうしい蠅でも通用するので、蠅が本命になったようです。

以来、旅人を騙して金品を盗る泥棒を「ゴマの蠅」と呼ぶようになり現代に通じた日本語になったわけです。

このように、言葉の語源や成り立ちを辿ると、面白い話が沢山潜んでいることが解ります。

それを知らずに使うのと、知った上で使うのでは言葉の重みが変わってきます。

本日の裏話は、旅に出た時に出会う機会がある悪い奴らの呼び名について、雑学の一つをご紹介しました。

日本人の考えに変化?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本語の語源を問う問題が時々出されていました。

語源を知ると、人々の言葉のルーツと共に生活や習慣が見えて来て、日本人の歴史を垣間見る事が出来ますね。

第11回のロサンゼルスで、誰もが日常的に使う慣用句を問う問題がありました。

問・自分を自慢する事を台所の調味料を使って何という?

答・手前味噌

解説 自分の家で作った味噌の味を自慢する事から、自分をほめる事を手前味噌と言いますね。

同じ意味で、自画自賛、自惚れなどの言葉があります。

先ずは、日本人の生活ですが、昔は味噌はそれぞれの家庭で、大豆や大麦を原料に麹と塩を加え作っていたのです。

それぞれの家庭に伝わる秘伝があり、我が家こそ「美味しい味噌であると」自慢し合ったのが語源でした。

この辺は、庶民の微笑ましい近所付き合いの光景で、ほのぼのとした印象でしょう。

これも程度の問題で、度が過ぎると嫌味な会話になる危険性を含んでいます。

となると、このような行為を否定する諺に発展します。「自慢高慢ばかのうち」であり、知恵が足りないよ、との戒めです。

しかし、現代では人々の考え方も大きく変化しています。自分の特徴をアピールするのが欧米形との考えです。

仕事でもスキルアップして、どんどん条件の良い上を目指す。そのためには自己ピーアールは欠かせません。

慎ましく出しゃばらない、これが日本人の美学でした。でも、そんな消極的な考えでは、世の中から落ちこぼれるのが現実です。

人々の考えが国際化したとも言えますが、昔堅気の熟年層にとっては、少々淋しい気分ではないでしょうか?

本日の裏話は、日本語の語源の問題から、日本人の美しい気質がいま変化しているとの現実のお話でした。

 

日本語の使い方は難しい

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本語に関する常識的な知識を問う問題が時々出されていました。

常識的なので、ゆっくり落ち着いて考えれば誰でも正解出来るでしょうが、咄嗟に聞かれると混乱する事もあります。

そんな典型的な問題が、第11回ロスアンゼルスの「1対1戦車ロシアン・ルーレット・クイズ」で出されていました。

問・「騒ぎ」「ていねい」「力」「正直」これらの言葉に共通して頭に付く二文字といったら何?

答・バカ

解説 日本語の「馬鹿」とは知能の働が鈍いこと。もう一つ、はなはだしいとの意味もあります。

はなはだしく力がある。はなはだしく正直。誰でも通常使う一般的な言葉ですね。

多くは接頭語的に、名詞の上につけて会話が成り立ちます。こうして説明すると、日本語って難しいのが良く分かります。

一般に「馬鹿」と言われて喜ぶ日本人は居ないでしょう。でも同じ意味の「はなはだしい」は、褒め言葉に使えます。

「キミははなはだしく、仕事が出来るね」「はなはだしく礼儀正しい」。本来は「馬鹿者」と怒りたい時は言葉を変えて下さい。

言葉の使い方一つで、コミニュケーションが良くも悪くもなるのが「馬鹿」という単語の中にありました。

これを馬鹿馬鹿しいと思わず、一度試してみるのは如何でしょう? 馬鹿にしてはいけません。

本日の裏話は、日本語は使い方一つで人間関係が変わる場合がありますよ、との言葉の一例をご紹介しました。

大空での体験が小説に!

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、文学とのジャンルがあり、日本に限らず世界の文学もクイズになっていました。

世界の文学となると、全編を読破するのも大変です。そのため粗筋だけを紹介する書籍で知識を吸収した方もいるでしょう。

ウルトラ・クイズでは、その位の知識で正解出来る問題を用意し、挑戦者の士気を高めていたのです。

前置きはさて置き、世界の文学としては比較的全編を読まれている人気作品の問題がありました。

第16回のキャメロンパークで、出題された問題です。

問・「星の王子さま」の作者、サン・テグジュペリのもう一つの職業とは何?

答・飛行士(飛行家でも可)

解説 1,920年、彼は兵役で航空隊に入り、除隊後は民間の航空会社に入社しました。

彼は自らの飛行経験を基に「夜間飛行」「南方郵便機」などの作品を発表、中でも「星の王子様」は大ベスト・セラーでした。

日本でも、噺家の先代三遊亭円楽さんが自らを「星の王子さま」と名乗り、流行語になりましたね。

飛行機のパイロットは、大空を飛び回り多数の乗客の生命を預かっており責任も重大です。

その間に様々な思い、空想などが頭の中に浮かぶ事でしょう。

そうした体験を、小説にして作家デビューした方が日本にも居ました。

元・全日空の機長で「航空ミステリー作家」と呼ばれた内田幹樹さんです。

彼は全日空を退社後、自らの体験を基に書いた小説「パイロト・イン・コマンド」が第14回サントリー・ミステリー大賞を受賞。

その後、「機長からアナウンス」「操縦不能」「拒絶空港」などの作品を残しています。

彼は、多くの読者に期待されながら、2,006年66歳の若さで亡くなられています。

大空を飛びながらも、多数の乗客の生命を預かる責任感。パイロットは憧れの仕事とはいえ大変な日常と言えます。

そんな経験者が書いた小説だけに、人々の心に訴える力があるのでしょうね。

本日の裏話は「星の王子さま」の問題から、体験から生まれた世界の小説家の発想の原点を想像するお話でした。

 

 

語源を辿ると面白い

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、特定の分野の専門用語を問うようなクイズがありました。

と言っても、その言葉は一般にも使われているもので、多くの人達が日常に使う事もあります。

第14回のレバノンで、次の問題が出されていました。

問・芝居用語。ストーリーが急転し、意表を突く形で終末を迎えることを何という?

答・どんでん返し

解説 芝居に限らず、小説でもテレビ・ドラマでも「あっ、と驚く」結末を、どんでん返しと表現しますね。

元々は、芝居の場面展開の時、大道具を次の大道具と取り換える為に急にひっくり返す事でした。

それが、急展開の意味で、芝居関係者の間で使われ、一般社会の言葉となった経緯があります。

そういえば、事件が「どんでん返しで解決」とか「試合がどんでん返しで勝負がついた」のように多くの場面で使われています。

最近はクイズ番組に限らず、日本語の語源や、漢字の成り立ちなど知識を競うバラエティー番組が増えています。

視聴者も知識欲が満たされるので、人気があるのでしょうね。ワイドショーでも言葉をテーマのコーナーが多いですね。

学校では勉強が嫌いだった人が、今テレビで一生懸命勉強をしている面白い光景と言えます。

人間は年齢に関係なく、知識欲が旺盛だという証明でしょう。

本日の裏話は、言葉の語源は様々な分野の歴史が見えて来ますよ、とのお話で言葉の語源を辿ってみましょう。