混乱させるクイズ問題とは?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、多数の知識を含んだものと、単純な分野のものの二つの種類がありました。

中には、答えは単純な割に、問題の文章が複雑で頭を混乱させる目的の問題もありました。

その問題文が複雑。聞いている内に何だか解らなくなる代表例をご紹介しましょう。

第11回のバッドランドで、次の問題が出されていました。

問・地球の自転によって起こる大規模な大気の還流や気圧の差によって生じる空気の流れ。簡単に言うと何?

答・風

解説 冒頭の文章は面倒なので忘れ「気圧の差によって生じる空気の流れ」だけを考えれば、簡単に正解出来る問題でした。

やや引掛け問題的ですが、冷静な挑戦者の場合は、こんな引掛けにはかかりません。

さて、「風」という単純な単語ですが、日本語でこれほど多くの意味を含む言葉も珍しいですね。

同じ風でも、分野によって呼び名が変わる場合があります。

慣習では「そよ風」「春風」など聞いた人の気分が良い表現があります。

地域性では「からっ風」「春一番」「木枯らし」などがあり、人々の印象も異なります。

現象名では、竜巻、つむじ風、旋風、乱気流など、災害を引き起こす怖い呼び方もあります。

気象学的には、強さ、方向などによって、表現も異なり恐ろしい代表は「台風」でしょう。

地球的な見方では、偏西風、貿易風、極東風など、天気予報で良く聞く名称があり、全て風に関連する言葉です。

日本語の中には、古い時代から「風流」との言葉があり、文化との関連が強いですね。

尚、日本語で大切なのは「風を読む」という言葉で、その場の雰囲気を感じ取ることです。

現代の政界、官界ではこの言葉が変じて「忖度」となり、昨年の流行語にもなりました。

本日の裏話は「風」の問題から、風に流されるように風の雑学を羅列してみました。

風に乗る事から始まった、グライダーから飛行機へ。風は文明発展のためにも役立った存在だったのですね。

本日の結論は、風は人間にとってプラスの面とマイナス面があります。マイナス面は悪夢で忘れたい事ばかりです。

一方、プラス面は風力発電なども含めて風に感謝~、かもね。

童謡の裏話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は一つの分野の知識で正解出来る設問と幾つかの分野の知識を総合する問題がありました。

複合の知識が必要な問題は、当然ながら「難問」の部類に属し、正解率は低くなります。

例えば、音楽、地理など幾つかの知識を必要とした、典型的な問題が第11回のデビルスタワーで出されていました。

問・歌「椰子の実」のモデルとなった愛知県の岬の名前は?

答・伊良湖岬

解説 島崎藤村・作詞、大中寅二・作曲のこの歌は、日本人なら誰もが知っている童謡です。

詩のモデルとなった伊良湖岬は、愛知県渥美半島の先端にある浜辺です。

この詩は、島崎藤村自身の体験から創られたものと思われますが、実は体験者は別人だったのですね。

島崎藤村の親友だった栁田國男が明治31年、大学生だった時代に一ヵ月間伊良湖岬に滞在したそうです。

ある日、浜辺に流れ着いた椰子の実を発見。その体験を藤村に話したのです。

詩人の藤村は、椰子の実の漂泊の旅を、自分が故郷を離れてさまよう姿に置き換え詩に仕上げたのだそうです。

この辺の発想が、偉大な詩人たる所以ですね。

この歌は1,936年に発表されたもので、柳田國男の実際の体験とは30年以上の差があった訳です。

そんなエピソードを知ると、名歌「椰子の実」への思いも一層深まる事でしょうね。

本日の裏話は、童謡の「椰子の実」についての取って置きのお話をご紹介しました。

クイズ大好き人間の蘊蓄が、また一つ増えた訳です。

やっぱりクイズって面白いですね~。

 

 

 

迷信の根拠を探ると?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本に伝わる迷信や諺など、人々の信じている事柄に関する設問がありました。

本来、迷信は人間の弱い気持ちを突いた話が多く、多くの人々が信じやすい性格を持っています。

第5回のサイパンで、そんな古い昔の迷信に近い問題が出されていました。

問・縁起なおしは「鶴亀鶴亀」。では雷が落ちないように唱える言葉は?

答・桑原桑原

解説 話は凡そ1,100年前の事です。京の街に何度も落雷があり、街を焼き尽くす様な災害に見舞われました。

そんな最中、一か所だけ落雷のない場所があり、その地名は桑原町という名称でした。

そこには、なんと学問の神様で知られる菅原道真の屋敷があったのです。

実は、彼は数年前に政争に巻き込まれ、大宰府に左遷されその年に亡くなったのだそうです。

となると、菅原道真公の祟りとの噂が広まり、それを恐れた権力者が亡き道真公に右大臣の名誉を回復させたのです。

権力者の皆さんも「雷様」は、怖かったのですね。京都での落雷騒ぎもこれで一段落、目出度しメデタシとなったとか。

それ以来、雷が鳴ると人々は「桑原桑原」と唱えて、落雷の被害を避けたとの伝説が広まったのです。

中には便乗して、雷神は桑の木が苦手なのだ、との噂を流すものまでいたとの事です。

普通の伝説は、自然発生的な話が多いのですが、原因がこれほどハッキリと判明しているのは珍しい例と言えるでしょう。

学問の神様も「俺って、そんなに執念深くないぞ!」と苦笑いしているかも知れません。

本日の裏話は、日本に伝わる「迷信」の中から、怖い代表格の雷様の弱点のお話でした。

異常気象と言われた今年は、4月でも全国各地で落雷が多く、タイムリーな話題として取り上げて見ました。

困った時の神頼み

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は日本人として知っておくべき常識問題が多数出されていました。

日本人の常識ですから、歴史、文化、風俗、習慣など多岐に亘り知らない人は一般に非常識と呼ばれてしまいます。

しかし、中には昔の習慣で、現代では既に廃れて無くなっているものもあるでしょう。

何時の時代でも、古い習慣や言い伝えを嫌う若者がいて、保守的なお年寄りと衝突するのは、世界共通の考えのようです。

そんな中で、昔の仕来たりに関する問題が、第10回のロスアンゼルスで出されていました。

問・お伊勢参り、お百度参り、丑の刻参りのうち、五寸釘を打つのはどれ?

答・丑の刻参り

解説 昔の日本人は信心深かったのか、何かにつけて神頼みをしていたようですね。

「困った時の神頼み」の諺がある位ですから、何でも神様にお願いすれば、助けて呉れるとの考えでしょう。

とは言え、神様だって良い事は力を貸してくれるかも知れませんが、悪い事に助成するはずは無いと思いますよ。

問題の「丑の刻参り」は、呪う相手を藁人形に見立て、午前二時頃に五寸釘を打ち込む事です。

こんな残虐な行為は、時代劇の映画やドラマで見ても、身の毛がよだつ思いでしょう。

こんな事で、呪われた相手が苦しんだり、突然死するような事は無いでしょう。即ち、迷信に過ぎない行為といえます。

一方、お伊勢参りは、神社の総本山とも言える「伊勢神宮」を詣でる事で、中世末期から近世にかけて盛んになりました。

一生に一度お参りをすると幸せになれる、との噂も広まり現代でもツアーが組まれるなど参詣者は多いですね。

また、お百度参りは日頃信心している神社に百回お参りする、との事からこの名が付きました。

願い事は身内の不幸が主で、子供が病気だったり、母親が長患いしているので治して欲しい等が多いようです。

しかし、百回も通うのは大変なので、簡略化して人目に付かない時間に白装束で裸足になり、水を百回被るとなりました。

これ等の風習は、誰かが決めたという訳ではなく、自然発生的に始まったものが多いと言われています。

日本は神話の国で、神様が創られたのだから、困った時は産みの親である神様にお願いしようとの考えでしょう。

本日の裏話は、日本人なら誰しも関心の高い 神様への願い事の幾つかをご紹介しました。

欲望丸出し、宝クジの当選!お願いしまーす。        いくら優しい神様でも、こんなのは難しいと思いますよ~。

 

 

 

 

憧れの車とは?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、その道の専門家や熱心なファンで無ければ、解らないような問題もありました。

一般の人には「難問」と呼ばれる問題ですが、それでもクイズ好きな人なら正解する場合もあります。

視聴者は、正解する人を見て「すごい!」と感心し、そんな挑戦者のファンになったりします。

我々は、そうした効果も計算の上「難問」と呼ばれる難しい問題を時々出題していました。

第14回のソルトレイクで、そんな難問が出されていましたが、あなたなら答えられるでしょうか?

問・鳥が羽ばたいたように見えるためその名が付いた自動車のドアと言えば?

答・ガルウイング

解説 「ガル」とはカモメの事です。文字通り、カモメが羽ばたく姿に似ているのでこの名が付いたのです。

この車はメルセデスベンツの300SLが開発したもので、1954年のニューヨークで開かれた国際オートショーで発表されました。

あまりのカッコ良さに、スポーツカー・マニアが飛びつき、世界的なヒット車になったのです。

日本では、人気スターの石原裕次郎さんが購入、各雑誌のグラビアを飾った事で一般に知られるようになったのです。

この車は、長い事小樽の石原裕次郎記念館に展示されていたので、実物を見た方も多い事でしょう。

因みに、ベンツ300SLは、ビンテージ・カー(古くて価値ある)の中では最も高価な車と言われています。

昭和の時代、多くの若者は車が大好きで「免許を取ってマイカーを持つ」との夢を持っていました。

処が時代が移り、平成の若者は車に興味を示さない人が増えているそうですね。

税金、ガソリン代、車庫の費用などを考えると、確かにマイカーを持つと費用が馬鹿になりません。

本日の裏話は、車の形式の問題から、時代によって若者の夢も変化するとの話になってしまいました。

それにしても、昭和生まれの我々にとっては「ガルウイング」のベンツ300SLは夢のまた夢、中々覚めない夢なんですよ~。