漢字の読み方は難解です

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本語に関する常識問題が時々出される事があります。

日本語の常識ですから、普通の言葉や文字については小中学校の義務教育で習うので、正解出来るクイズなのです。

とは言え、しっかり勉強しなかったり記憶力が悪いと忘れる事も多々あるでしょうね。

我々は、忘れ易い人々の弱点を探し、問題を作っていたので勘違いをしたり、誤答する人も結構いました。

そんな忘れ易い言葉や文字に関する問題が、第4回のニューヨークの決勝戦で出されていました。

皆さんなら、正解出来るでしょうか? 国語の時間を思い出してお答えください。

問・変わる事を変化(へんか)と言いますが、同じ漢字で化け物を表す時は、何と読む?

正解 へんげ

解説 霊魂や動物などが姿を変えて現れる時は「へんげ」と表現します。

また、現れたものは「妖怪」或いは「おばけ」と呼び、普通の感覚では怖いという気持ちになりますね。

尤も、科学万能の現代では、そのような体験は出来る筈もなく、体験談も信じる人も少ないでしょう。

また、神仏が人々を救う為に人の姿で現れるのも「変化」ですが現れた姿は「権化(ごんげ)」「化身(けしん)」と呼びます。

こちらは有難い事なので、恐れる事は有りませんが、そのような経験は普通の人には出来ないでしょうね。

このような言葉は、お芝居や物語の中で使われるので、日本人の常識として「読み方」だけは知っておくべきでしょう。

本日の裏話は、漢字の読み方も時と場合によって変化するという日本語の難しさのお話でした。

昔から「お化け」や「妖怪」は夏の定番で、いよいよ来週からそのシーズンに突入します。

遊園地の「お化け屋敷」は、コロナ騒動のお蔭で三蜜なので避けた方が身の安全のようですよ。

お化け役の担当者も、コロナが怖いので暗がりでは客に接近しないかも? 今年のお化け屋敷は怖さが不足と言えるでしょう~。

総理大臣のユーモア話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、知って得する面白い話が時々出題されます。

例えば、誰でも知っている歴史上の人物や、世界や日本で有名な人物のエピソードでも笑える話があるものです。

このような話を沢山知っていると、話題に困る事もなく、人脈を広げる材料になるので記憶の引き出しにしまって置きましょう。

そんな著名人の笑えるエピソードが、第5回のニューヨークの決勝戦で出されていました。

問・ワンマン首相と言われた吉田茂が大磯の増改築した家に自ら付けた名は?

答・海千山千楼(うみせんやませんろう)

解説 海に千年山に千年住んだ蛇は龍になるとの伝説から、ズル賢いとの意味で陰口に使われるのが一般的です。

他人に言われる前に、自ら「陰口」ともなる名称を自宅に付ける辺りが、ユーモアであり吉田首相が人気があった所以でしょう。

彼は「バカヤロー」の一言で国会を解散したり、元気だが何を食べているか?の質問に「人を食っているから」等ありました。

吉田茂は、戦後の混乱期に政界に進出し第45、48、49、50、51と五代にわたって総理大臣を務めました。

大磯の自宅から東京の国会まで、車で早く行きたいために横浜新道を造りワンマン道路と呼ばれました。

ワンマン総理と言われながらも、保守系のトップとして永い年月政界のドンとして君臨したのです。

晩年は大磯の自宅で過ごし、一九六七年十月二十日、八九歳で亡くなっています。

葬儀は十月三十一日、戦後唯一の国葬が日本武道館で行われ、官庁や学校は半休となる一日でした。

何れにしても、吉田茂は戦後の日本が産んだ桁外れの政治家であり、ユーモアのある言葉で記憶に残る偉人と言えるでしょう。

本日の裏話は異色の総理大臣に関するクイズ問題で、大勲位・吉田茂のユーモアの一端をご紹介しました。

吉田首相にあやかりたいのか、現在の国会には海千山千的な政治家は結構居ますねえ。政治家の伝統でしょうか。

どうせ真似するなら笑えるユーモアも欲しいですね~。

一番のクイズ問題

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を分類すると、何事によらず一番を問う問題が多数ありました。

発明、開拓、記録など森羅万象に「一番初めに○○したのは?」という設問ですが、人物、建造物など広い分野での問題です。

クイズ・マニアはこの事を知っていて、各学校に誕生した「クイズ研究会」ではナンバーワン問題の資料を作っていたそうです。

勿論、この話は優勝者から聞いた噂話で、その位勉強をしていたという事でしょう。

そう言えば、日本人で最初に○○を受賞した人は? との問題は毎回良く出されていましたね。

その一番を問う「難題」の部類に入る問題が、第14回のレイクミシガンで出されていました。

問・一九六一年に竣工した、世界初の原子力空母は?

答・エンタープライズ

解説 エンタープライズは英語で「冒険」「事業」等の意味があり、有名なのはアメリカ海軍の伝統的な艦名です。

と、いう理由で世界初の原子力空母にも伝統に従ってこの名が付けられました。

航空母艦ですから、甲板の大きさは桁外れでテレビの映像で観るだけで仰天してしまいます。

このエンタープライズが横須賀港に寄港する度に「原子力反対」のデモが繰り返されるなどニュースになりました。

世界初の被爆国である日本国民の感情からすれば、当然の行動と言えるでしょう。

さてこの戦艦は、一九六一年の竣工ですから半世紀以上になり、最長の就役年数を持ち同海軍の象徴となっています。

因みにエンタープライズの名は、言葉の意味からアメリカの戦艦だけに限らず、イギリスの戦艦にも同名があります。

更に「冒険」「事業」の意味で、気球、飛行船、NASAのスペースシャトルにもこの名が付いた事もあります。

また、イギリスの国際列車にも「エンタープライズ」の名が付けられており、言葉の響きが恰好良いのでしょうね。

原子力空母エンタープライズの母港は、バージニア州のノーフォークにあるアメリカ海軍基地です。

本日の裏話は、世界初のクイズ問題から英語の「冒険」「事業」を意味するエンタープライズの多目的な命名の話でした。

我々の番組枠「木曜スペシャル」では、エンタープライズの全てをご紹介する番組もありました。

その時は、甲板の広さを示す方法として当時のメジャーリーグのホームラン王をゲストにホームラン球を打ってもらいました。

とても良い当たりで、野球場なら場外ホームラン級の良い当たりでしたが、甲板の三分の一も飛ばなかったのです。

エンタープライズは、それほど大きな戦艦でした。食べ物でも飲み物でもアメリカ人はビッグ・サイズが大好きです。

そんな大きな国と戦争をしたのですから当時の日本人は肝っ玉が大きかったのですかね。向こう見ず、無鉄砲とも言えますね~。

隔世の感・女性の社会進出

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、旬の話題が喜ばれるために、常に時代のニュースや話題に気を配っていました。

何十年も前の番組ですから、現代なら常識的な事象も当時は珍しい出来事として社会を賑わせた事があります。

そんな昔の世相を振り返るような問題がありましたので、ご紹介しましょう。

第15回ですから、28年前のヨークタウンの準決勝で出された次の問題です。

問・兵庫県芦屋市の市長選で、全国初の女性市長となった人は誰?

答・北村春江(当時六十二歳)

解説 「学校教育正常化のため」との目的で出馬し、全国初の女性市長となりました。

当時は地方行政の「長」に女性が当選する事が珍しく、全国的なニュースになったのですから隔世の感がありますね。

現代では市長は当然ですが、東京都知事の小池百合子氏をはじめ、全国には女性知事が多勢いて活躍しています。

世界的には大統領、首相の座も女性が就任している国も多く、日本にも女性の総理大臣が誕生する日が来るかもしれません。

世界的には「男女同権」が当たり前の世の中ですから、政治、経済に限らず、あらゆる分野で女性の活躍が活発化しています。

女性の社会進出に対抗して、男性の動きも女性に近付いている場面もあります。

サラリーマン達の間で、日本でも男性が産休を取る会社が増えているそうで、国会議員にもその様な動きがあるようですね。

本日の裏話は女性の市長誕生のクイズ問題から、政界に限らず経済界、文化界など女性の活躍のお話でした。

日本は、昔から永い事「男尊女卑」の時代が続いていたとの歴史がありました。

という事で「亭主の産休」の話をご先祖様が聞いたら「情けない奴!」とお怒りになるかも知れません。

でも、ご先祖様には女性も半数はいるので、あの世では侃々諤々(かんかんがくがく)大騒ぎになりそうな話題でしたね~。

 

 

お伽話には続編があった

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人なら誰でも知っている常識を基本に創られていました。

一口に常識と言っても、表面的な知識と更に深い知識に分かれ、深い知識の中には面白い情報も多く含まれています。

その典型的とも言えるクイズ問題が、第16回のグアム島の「空席待ち早押しクイズ」で出されていました。

日本人なら誰でも子供の頃に必ず聞かされる「お伽話」浦島太郎に関する問題でした。

問・浦島太郎が玉手箱を開けて、お爺さんになった後に変身した鳥は何?

答・鶴

解説 浦島太郎は助けた亀に、そのお礼として竜宮城に案内され乙姫様の接待を受けます。

毎日が楽しい日の連続で、月日の経つのも忘れ永い年月が経過してしまいます。

乙姫様からお土産に貰った玉手箱、この箱は開けないように注意されていましたが、開けたのでお爺さんに変身したのです。

ここまでは、誰でも知っている常識的なお話です。処がこのお伽話には更に先があったのです。

それは日本の古い書物「お伽草子」にも載っていて、人間は如何に生きるべきか、を説く有難い物語なのです。

要約すると、次のようなお話です。

漁師の浦島太郎が、子供達に虐められているカメを助けます。この亀は元々乙姫さんの化身だったという説もあります。

このように善行を行えば、必ず報われるという仏教的な「因果応報的な思想」を意図的に盛り込んで創られたお話です。

従って、幼い子供に聞かせる物語として興味深い竜宮城との愉しそうなストーリーに仕上がっています。

実に良く計算されたお話です。人間、齢をとれば誰でも死を迎えます。でも浦島太郎が普通に死んだのでは夢がありません。

そこで、浦島太郎は死なずに美しい鶴に変身、という事で余韻を持たせた傑作といえる作品です。

本日の裏話は、誰でも知っているお伽噺でも、その先には更に続きがあったというお話でした。

ところで、この物語には特定の場所がありません。従って、我が村の浜辺こそ浦島太郎の舞台と名乗る地が全国に沢山あります。

所謂「浦島伝説」であり、中には浦島太郎の子孫と名乗る人物が出るなど面白いですね。

こうなると「桃太郎」の子孫、「金太郎の16代目」とか沢山現れテレビ番組で「お伽話の子孫さん全員集合!」これは無いよね。

最近は「コロナ騒動」で、家に引きこもる事が多いので、有名物語の続編を想像してみては如何でしょう。

「かぐや姫」は月へ帰ってどうなったのでしょう? えっ、星の王子様と結ばれた? 空想ですから何でもご自由にね~。