出る杭は打たれる?

メリカ横断ウルトラクイズのキャッチ・フレーズは「知力、体力、時の運」です。
クイズに1番強い人が、その年の「クイズ王」の座を獲得するのが、一般的な考え方ですが、それではあまりに常識的でスリルが無い、というヘソの曲がった人間が多いウルトラクイズ
だからこそ、本当はクイズに強い人が、運悪く負けてしまうという落とし穴を仕掛けたのです。
それも番組のスタッフが、誰かを狙って落としたのでは視聴者が承知しません。
これを平和的に実行するには、ライバルの挑戦者が、クイズのルール内で強い人間を落とすという方法が公平というものでしょう。
んな意地の悪いルールを考え、実行に移したのが第15回ドミニカでのクイズでした。

ドミニカ

この回では、機内ペーパー・クイズの1位だった東京都の会社員Oさん(当時25歳)が、実力を発揮して、圧倒的な強さを発揮していました。

我々スタッフも、この調子で進めばOさんが優勝候補の筆頭という認識でした。
挑戦者の皆さんも多分そのような気持ちだったのでしょうね。
んな一行が第12チェックポイントのドミニカ共和国に初めて上陸したのです。
ドミニカは、かのコロンブスがアメリカ大陸を発見した際、最初に辿り着いた島として知られています。
そこで、我々が仕掛けたクイズは「新大陸獲得クイズ」というものでした。
ロンブスがアメリカ大陸を発見した当時は、大航海時代で、最初に発見した者がその新しい国の領主になれるという時代だったらしいのです。
だから、航海士達は先を争って、大海に出て行ったという話しを聞き、これをクイズ形式に取り入れようとしたのです。
の時、残っていた挑戦者は7名でした。
16世紀の大航海時代に使われていた地図には、6つの大陸が描かれていました。

大航海時代地図

こでクイズに正解した者が、自分のライバルの回答権を封鎖。
こうして早押しクイズをやっては一人二人と封鎖を続け、最後まで生き残った1人が1つの大陸を獲得して勝ち抜ける。
大陸は6つだから、敗者となるのは只一人。
この形式の特徴は、実力のあるものが必ず最初に封鎖され、不利な戦いを強いられてしまうというものでした。
従って、自他共に認めていた実力者、機内1位のOさんは封鎖され、敗者の汚名を着せられてしまったのです。
知力、体力は充分なのに、時の運に見放された典型的なケースでした。

出る杭は打たれる

「出る杭は打たれる?」への16件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    >big5さん
    コメント有難うございます。
    ご納得頂けた様で何よりです。
    これからもブログを宜しくお願いします。

  2. SECRET: 0
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    >tsutomuさん
    ご返答ありがとうございます。
    ただでさえ手の込んだ番組なのに
    2ルートになると、かなり大変だったかと思います。
    これからもこのブログを懐かしみながら
    拝見させていただきます。

  3. SECRET: 0
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    >big5さん
    コメント有難うございました。
    ご質問にお応えします。
    第10回は10周年ということで、大胆な企画が求められ、2つのコースを辿る事になりました。
    これはスタッフが2倍必要になるので、1回限りの特別バージョンとご理解ください。
    この回のお話があまり触れられてないというご指摘は、私の記憶の中に薄れていたからでしょう。また、思い出したら取り上げますので、ご了承ください。

  4. SECRET: 0
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    >ryiさん
    コメント有難うございました。
    ウルトラの面白さをご理解戴き感謝します。
    あの手この手で変化球を投げてきたので、番組は続いたのでしょうね。
    またのコメントをお待ちします。

  5. SECRET: 0
    PASS:
    >平成のゆとり世代さん
    コメント有難うございました。
    全く別の世代の方から、お褒めの言葉を頂き、嬉しいです。今の時代の方達だって、夢のある番組は出来るはずです。それを期待したいですね。

  6. SECRET: 0
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    初めまして。僕は平成が始まると同時に生まれた人間なのですが
    古いビデオに写っていたウルトラクイズにそのスケールの大きさにワクワクしたのを子供の頃よく覚えています。
    僕のような若輩者が言うのもおこがましいですが僕みたいな現代の若者でも未だに夢を見させてくれるウルトラクイズはとても偉大だと思います。

  7. SECRET: 0
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    少し前より拝読させていただいております。
    「ドミニカの悲劇?」を見た当時は、私も涙しました。少し大人になって、ドラマを作るためのすごい演出だったんだなと気づき、改めてウルトラの面白さを認識しました。
    ウルトラは、ただクイズの強い人が勝ち進んでも面白くない。番狂わせがあるから一ヶ月も飽きずに見続けられる。予定調和なら一週で十分ですから。
    唐突にリクエストで恐縮ですが、第10回が、なぜ南北アメリカに別れて各チャンピオンが雌雄を決することになったのか教えていただけませんか?
    あの大会はとても印象に残っているものの、このブログには話題にのぼらないので?その経緯をぜひ知りたいです。

  8. SECRET: 0
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    いつも楽しくブログを読んでいます。
    この回は印象的でしたね。
    事実上の決勝戦が行われたと思って、当時何度もビデオを見返した記憶があります。
    なんで、ここで落ちちゃうの?
    と残念に思い、ほぼ、これで優勝が決まっちゃったかな?とも思いながら見ていました。
    だからウルトラは怖い。
    でもだからこそウルトラは面白かったんだなぁと改めて思いました。

  9. SECRET: 0
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    >九州のベンさん
    コメント有難うございました。
    ウルトラクイズは、知力、体力、時の運がキャッチフレーズでしたから、それらがどの場所で使われるか判然としないところが、我々の作戦だったのです。
    挑戦者にすれば、油断が出来ない番組という事で、そこに惹かれた人達が参加して成りたっていたのでしょうね。
    又のコメントをお待ちします。

  10. SECRET: 0
    PASS:
    >伊関聖さん
    コメント有難うございました。
    確かに15回だけで、強い人を落とそうとしたわけではありません。封鎖クイズという形式は何度か行なっています。番組は毎回盛り上げる演出を考えていたので、その都度印象が変わってくるのは、テレビの宿命でしょうね。
    又のコメントをお待ちします。

  11. SECRET: 0
    PASS:
    強いひとを強引に落としにかかっていたのは、何も15回大会のドミニカだけではなかったかと思いますが。
    5回のメンフィスではエルヴィス・プレスリーカルトQがありましたし、3回の準決勝も、形は違えど強いひとを封鎖しつづけて落とせる形式でした。
    ま、そのあたりの演出がないとウルトラらしくないので、それはかまわないのですが、別に最近になって突然強いひとをさも偶然に落とそうと考えだした、みたいなのは、少し違うのではないかなぁ、と思った次第です。

  12. SECRET: 0
    PASS:
    このクイズがなければOさんは決勝まで行っていたのではと言
    われていますね。ただ、後で見返してみるとOさんはその
    形式のせいかやや弱気になっていたのかなとも思いました。
    それがラス抜けしたNさんとの最大の違いだったのかも
    しれませんね。
    その形式ゆえに負てしまった挑戦者といえば、第9回で優勝
    候補と言われていた女性のHさんも忘れられません。この方は
    何と方向音痴が災いして敗退してしまいましたが、迷路バラマキクイズがなければ決勝まで行っていた
    かもしれません。ドミニカの封鎖クイズも迷路バラマキクイズも
    滅多にある形式ではなかっただけに、時の運と言うものが
    かなり目立ったような気がします。

  13. SECRET: 0
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    ファンの間でも評価の別れる『新大陸獲得クイズですが、あのような結果にしまったのはルールの穴ではなくて、ある程度想定されていたものなんですね。
    しかも作戦はあくまで挑戦者が自ら選択しているので有利不利はあっても不公平ではない。ああ、恐ろしやウルトラスタッフ…。

  14. SECRET: 0
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    >ヨッシーさん
    コメント有難うございました。
    あなたの記憶力の凄さには驚かされます。まるでウルトラクイズ評論家みたいで、怖いくらいです。
    こちらは衰えた記憶で書いているのですから、間違いが起こるかもしれません。その時はお手柔らかにお願いしますよ。

  15. SECRET: 0
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    最後の直接(後のチャンピオン)対決で「ハンミョウ」が正解の問題を「ウスバカゲロウ」と誤答してしまい、一回休みになった後に「孟浩然」を答えられて敗者になってしまった所ですね。
    チャンピオンNさんが泣きながらOさんにくるシーンは名シーンでした。
    ウルトラファンはここの戦いと13回の準決勝と10回の決勝は名シーンと言われる方が多いですね。
    当時、中学生ながらジーンときました。

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