ロケの機材はロケ隊と一心同体

メリカ横断ウルトラクイズは、ご承知の通りアメリカ各地を移動しながら撮影を続けます。
撮影のための機材は勿論、クイズが行われるセットも、日本で作られたものを分解して運び、使用後は廃棄するもの、次で又使うものなどを仕訳して分類します。
これらをジュラルミンのケースに収めて、車や飛行機で我々スタッフと共に移動していました。
から、我々ロケ隊の荷物は膨大な量でした。
これを空港やホテルで運ぶのは、全部スタッフの協同作業で、このお話は今までに何度か書きました。
この荷物が一つ欠けても、撮影に支障をきたすのはお判りですよね。
中には現地で調達出来るものも有りそうですが、そのような品はわざわざ日本から高い費用をかけて運ぶ必要がないので、確かに現地調達したものもあったと思います。
ですが、事前に用意したセットや備品は、即席には揃いません。
だからどのような事があっても、我々スタッフと一緒に旅をしなければならないのです。
以前に一度だけ撮影機材が行方不明になったことがあり、その時の苦労を知っているスタッフは、どのような事が起きようとあの二の舞いだけはしたくありません。
ころが、或る時同じような事故が起き掛けた事がありました。
我々は飛行機に乗り込み、出発を待つ体制に入っていました。
機内から外を眺めていると、我々の荷物が詰め込まれているところでした。
我々の荷物やケースにはウルトラクイズのロゴが入ったワッペンやシールが貼られてあるので、すぐにそれと解ります。

問題ケース

ころが、明らかに我々の荷物と解るものが、数個積み残されたまま、飛行機が滑走路に出て、出発の体制に入ったではありませんか。

飛行機_荷物の入口

目ざとくこれを見つけたスタッフが、その事を指摘したのです。
そこで我々は直ぐにスチュワーデスにその事を告げ、荷物をこの機に載せるように迫りました。
ところが相手はそのようなクレームに付き合えない、という態度で
「次の便に乗せるので、問題ありません」
とクレームを一蹴したのです。
のような話は信じられません。
何しろ当時のアメリカでは、荷物が行方不明になるなど、日常茶飯事という状況でしたから。
それを嫌というほど知っていましたから、機材が運び込まれない限り、飛行機は飛ばさせない、という我々の意思を力で示そうと実力行使に出たのです。
スタッフ全員が席から立ち上がって、シュプレヒコールが始まったのです。
これには機長も驚いたのか、客席に姿を見せ最初は居丈高に
「大人しくしないなら下りてもらうぞ!」
というような態度でした。
んな事で引っ込んだのでは、ロケが順調に進めません。
「冗談はやめて下さい。荷物が行方不明になったら、誰がどのような責任を取るのか? 口頭じゃ駄目だ、書面で示せ」
と粘り強く抗議したのです。
流石の機長も、「こりゃあ、相手が悪い」と思ったのか、突然態度が軟化して、積み残しの荷物が機内に運び込まれ、飛行機はようやく飛び立ったのでした。
で調べると、機長の権限は絶大なもので、「降りろ!」と言われれば、文句を言えないというようになっているのだそうですね。
我々は知らぬ強みで、無茶なごり押しをした訳で、冷や汗ものでした。
でも、時にはこのような強硬な姿勢を貫いたからこそ、長い行程での撮影が順調に進んだのだと思いますよ。

「ロケの機材はロケ隊と一心同体」への10件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    >月舟さん
    コメント有難うございます。
    荷物をコンパクトにまとめるのは、各セクションで、研究しました。今度荷物の中身について、ブログで書いてみたいと思います。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    >Castleさん
    コメント有難うございます。子供の頃に見ていた番組にご意見を戴くなんて、嬉しいです。
    テレビは多かれ少なかれ、視聴者の知らないところで、苦労をしているのですよ。
    最近のテレビを見ると、それが足りないから全般に面白くないのでしょうね…。OBとして若者に期待するのはそんなところです。
    また、ご意見をお寄せください。

  3. SECRET: 0
    PASS:
    >まちゃぞうさん
    コメント有難うございます。
    荷物の確認は、空港で手放した段階で、それ以上追求する方法はありません。
    次に空港で受け取る時に、分類した荷物には色分けしたテープが張られていますので、それぞれの数を確認してから、車に積み込むシステムになっていました。このような細かいチェックを繰り返し、紛失を防いでいたのです。

  4. SECRET: 0
    PASS:
    >東京直行さん
    コメント有難うございました。
    ウルトラのDVDが出ていないのは、多分売れないと判断しているからでしょう。
    あなたの言うような手続きが面倒という事はありません。テレビ局にはそのような仕事を専門に行なっている係りがあるからです。
    私のブログの反応を見ると、本当に熱心なファンが多かったので、そのような調査もやっていないのでしょうね。残念な事です。

  5. SECRET: 0
    PASS:
    初めまして。こんなブログがあったとは!楽しく拝見しています。
    ?マークのついたジュラルミン、1個でいいから欲しい!
    スタッフの方々はもう見たくないものかもしれませんが(笑)
    質問ですが、ウルトラクイズはなぜDVD化されないんでしょうか。
    まあ大方予想はついており、出場者が一般人で映ってる人すべてに許可を得るのは不可能だからですよね。
    ただ歴史に残る偉大な番組が作品化されず日テレの倉庫にひっそりと眠るだけというのは悲しいですね…
    私がこの番組を見ていたのは小学生から中学生にかけてでいくつかはビデオに録ったものの、メディアの移り変わりとともに無くしてしまいました。ああ…残しておけばよかった。

  6. SECRET: 0
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    機材の持ち運びは、本当に大変だったんだなぁと感じました。
    『100個以上の機材を一つも欠かすことなく運んでもらうこと』を、スタッフのみなさんは、どのように確認してたのか不思議でした。
    もしかしたら『乗客(スタッフ)の分からない所で積み忘れることもないのだろうか?』と思ったのです。

  7. SECRET: 0
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     初めまして、Castleと申します。私もウルトラクイズのファンの一人です。tsutomuさんの体験記はいつも楽しんで拝見しています。
     今回の荷物のトラブルについては話には聞いていましたが、改めて詳細を聞くと、本当に凄いとしか言えません。
     ウルトラクイズを見ていた頃は、私は小学生から高校生までの辺りでしたが、そんな苦労があった事を全く考えず、当たり前のように楽しんでいましたが、それはとんでもない事だったと痛感します。
     これからはちょくちょくコメントしていきますので、宜しくお願いします。

  8. SECRET: 0
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    この膨大な数と重さの資材を、いかに少なく軽く小さくするか。クイズテーブル、椅子は折り畳み式ですし、ここでもいろいろ知恵を絞ったのでしょうね。

  9. SECRET: 0
    PASS:
    >ういんちゃんさん
    コメント有難うございました。
    撮影用の荷物については、思い出が沢山ありますので、又触れる機会があるかもしれません。
    スタッフの凄さに関しては近く書いて見たいと思いますので、お楽しみに。

  10. SECRET: 0
    PASS:
    このお話は、福留さんの著書「ウルトラクイズ伝説」でも書かれていましたね。
    第13回「ロサンゼルス」で、敗者の罰ゲームで、スタッフの代わりに機材の撤収と詰め込み作業というのがありましたけど、電気も何もない広場から、簡単なスタジオを作ってしまうのですから、ウルトラスタッフは素晴らしいものだと感心します。
    構成作家さんは、問題の入ったケースを、盗まれないように、いつも椅子代わりにしていたそうですね。

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