アメリカ横断ウルトラクイズは、テレビ番組の分類では「特番」と呼ばれています。
これは特別番組を省略した呼び名で、つまり普通よりは大型と理解すれば良いのでしょうね。
特にウルトラクイズの場合、木曜スペシャル枠で、毎年4回に亘って放送していましたので、準備も普通の番組よりは相当余計にかかります。
テレビ界では、このような番組を作る場合には、スタッフ・ルームと言うものを用意します。
テレビ局の中にそれが出来れば一番理想ですが、当時はどのテレビ局でも、そんな余裕は無かったので、局の外に設けるのは一般的でした。
我々のウルトラクイズは、制作協力会社がスタッフ・ルームを用意するのが慣わしになっていて、ある年から私の会社がそれを担当した時がありました。
地理的には日本テレビの近くで、しかも私の会社にも徒歩で行ける距離が理想でした。
スタッフ・ルームは読んで字の如く、通常スタッフが詰めている場所です。
この時は日本テレビのすぐ近い場所のマンションを借りました。
各種の連絡が頻繁にありますので、担当者が常駐しなければなりません。
出入りするスタッフの世話をするのですから、結構忙しく専任のスタッフが3名くらい居たように記憶しています。
番組が佳境に入ると、ディレクター、アシスタント・ディレクターなどが、常駐するのでかなりの人数がこの部屋で仕事をする事になります。
また、アメリカとの連絡もあるので、24時間人が居るような時期もありました。
ここでは、会議やクイズ問題選び、など重要な打合せが行われていました。
また、ウルトラクイズの資料が全部保管されていて、外部からの問い合わせは全部ここでわかるようなウルトラクイズの本部ともいえる存在だったんですね。
大袈裟に言えば、心臓部といっても良かったかもしれません。
そのために外部に知られては困る秘密事項も結構保管されていました。
例えば、クイズ問題は全部ここに保管されています。
誰かが夜中に忍び込んで、調べようと思えば、全問題が解ってしまうという場所だったのです。
それだけに出入りする人間のチェックは厳しくしていました。
ウルトラクイズの場合、コースも事前には公表していなかったので、知りたい挑戦者は多かったはずです。
そのような秘密が一杯隠されていたので、部外者の入室には気を配っていたのです。
夜中に不審者が侵入したらしい、という噂が出た事もありましたが、それだけにセキュリティーには気を配りました。
そんな厳重に警戒されていたスタッフ・ルームから火が出た事があったのです。
あれは、まだ準備が初期の頃で、5月か6月頃の出来事でした。
其の日、私は自分が関わっていた番組「ズームイン!朝」の生放送に立ち会って、マイスタに居ました。
マイスタというのは、日本テレビがズームインのために作った、外の道路からスタジオ内が見える、ガラス張りのテレビ・スタジオです。
↓旧マイスタ
ここで、午前6時頃、突然消防自動車がサイレンを鳴らしながら、何台も走ってきたのです。
この時の様子は生放送ですから、全国に放送されました。
私は野次馬精神で、スタジオの前の道路に出て見ると、我々のスタッフルームのあるマンションの辺りに車が止まっていたのです。
でも、そのことはすっかり忘れて、番組が終了した後、スタッフが其の日の反省会をしていた時です。
家から電話がかかって来て、消防署にすぐ連絡をして欲しいと言うのです。
何事かと思って、連絡を取ったところ、我々のスタッフ・ルームから失火して、幸い小火(ボヤ)で消し止めたとの知らせでした。
この年は私の会社がスタッフ・ルームを借りる担当だったので、その責任者である私の自宅に知らせがあったわけです。
私がその日消防署に出向くと、事情聴取が行なわれました。
その時に聞かれた事は、
・誰かに恨まれていませんか?
・最近解雇したスタッフはいませんか?
・不審な電話が掛かって来ませんでしたか?
というような質問でした。
理由を聞くと、不審火で放火の疑いが強いという理由でした。
この小火騒ぎの結論は、最後まで謎でしたが、時期的に準備の初期段階だったので、番組への影響が無かった事が幸いでした。
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高い階でエレベーターから離れているなら、目撃される、逃走に時間が掛かる等のリスクまで冒してまで火を付ける理由があった、つまり狙われた可能性があるかもしれませんが…。
7階なのは不可解ですが、エレベーターの近くならばサッと付けてサッと逃げた偶然なんでしょうか?
ウルトラファンに悪い人がいたともウルトラスタッフが恨まれるとも思いたくありませんから。
あ、現実の事件なのに推理ゴッコとは失礼しました。
私、『相棒』の右京さんの大ファンで、子供の時の夢が『ウルトラの優勝者』と『名探偵』だったもので…。僕の悪いクセ。
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>月舟さん
いつもコメント有難うございます。
小火のあったスタッフルームは7階で、エレベーターの近くでした。
犯人は解らずでしたが、当時の我々の気持ちは、誰かに放火されたというものでしたが、しかし、証拠は何もありませんでした。
ウルトラファンや関係者でないのを願うのは言うまでもありません。
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まるで小説のタイトルのようですね。
大事に至らなくて何よりでしたが、放火されたマンションの一室が偶然ウルトラのスタッフルームだったなんてあり得るんですかねェ?
何階で階段やエレベーターに近いかどうかでも偶然か狙われてか可能性が変わってくると思いますが…。
ウルトラファンとは無関係であることを願いたいものですが、過去にはそんな物騒なことがあったんですね。オドロキです。