クイズ番組の生命線

メリカ横断ウルトラクイズで、私は構成作家、クイズ問題の責任者として17年間関わってきました。
クイズ番組で、答が誤りだった、などという事は許されません。
この様な事が一度でも有ったら、視聴者の信頼を築くことが出来ないのは当然です。
だからこそ、私は問題のチェックという事に神経を配り、そこまでやるのか、と担当者が悲鳴を上げるほど慎重に行いました。
具体的に言えば、担当者を変えて3重の調査を実行していました。
だから問題用紙の原本には、必ず3人の担当者の印が押されていて、責任の所在をはっきりさせていました。

れでも抜け落ちる事が想像されるので、或る取り決めをしていました。
例えば、漫画に関する問題では、作者の制作事務所のスタッフの確認では十分とはみとめません。
作者が生存している場合は「ご本人の確認これが無ければOKを出しませんでした。
この様にしなければ、作者自身が問題は誤り、と言い出したら収拾が付かないからです。

また、医学問題のように意見の分かれるものは、極力問題にしないようにしていました。
1人のお医者さんの意見で正解、とするには危険だからです。
何人かの裏付けをとっても、間違う可能性があるからです。
その様に慎重になったのには、理由がありました。

確か2回か、3回、初期の頃の事です。
動物の問題が出され、後日挑戦者から強烈な抗議が有ったのです。
勿論、我々は間違いを認めず、抗議だけは受け付けました。
その後、動物の専門家何人かにお集まりを戴き、問題を討議したところ全く「問題なし」との結論を得ました。
しかし、抗議者は「自分はその分野の専門家を目指す学生だ」と称して、専門家も驚く屁理屈とも思える事を繰り返し、後に引かないのです。

の様になると、我々の手には負えないので、日本テレビの法務部にバトンタッチしました。
法務部とは、法律に詳しい専門社員の属する部署で、訴訟問題や裁判になるような事案を担当するセクションです。
その後、法務部から当人は慰謝料の請求している、又は次回の後楽園を通過させる事、このどちらかで手を打とうと申し込んできたそうです。
どちらもキッパリはねつけたのは当然です。
慰謝料を幾ら要求したのかは聞いていません。
でも次回の後楽園無条件通過などは「問題を事前に教えろ」と言っている訳で、その様な悪質な要求は門前払いが当然です。
訴訟問題には発展はしなかったので、諦めたのでしょうね。
ただ、テレビ番組には、この様な悪質なクレーマーが出現する土壌があるのかも知れません。
ウルトラクイズは、初期の頃にこうした悪質なクレーマーの洗礼を受けているので、問題担当の私は神経過敏になっていた訳です。

からと言って、誤りが絶対に無かったと断言はいたしません。
人間のする事ですから、完璧と思っていても抜け穴は有るかも知れません。
でも、我々は完璧を理想に向かって努力をしていたという事を、裏話 としてご紹介しました。

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「クイズ番組の生命線」への12件のフィードバック

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    >マル51さん
    その番組は初耳です。常識を覆す、その言葉の真の意味を理解しないとそんな番組が出来ちゃうのでしょうね。
    問題はその様な番組を放送する事に決めた人たちですが、優秀な人材の多い局にそんな人がいるなんて信じ難いです。
    同じように、懺悔を売り物にした番組も有りましたが、作り方でこれなどは楽しく笑える要素が沢山有るでしょう。要は作り手の腕でしょう。

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    >F.Yasさん
    そうなのです。審判の決定が抗議でふらふら変わってしまったら、挑戦者は信頼できず、視聴者だって同じ気持ちになってしまいます。どの番組でも、それは変わらないはずです。私は神だ、と言った大リーグの審判がいますが、その自信が素晴らしいです。

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    >マル51さん
    この様な裏の話を書くと、私が正誤にどれだけこだわっていたかがご理解頂けると思います。だから無責任な噂話には、強く反論したくなってしまうのです。

  4. SECRET: 0
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    かれこれちょうど9年前、日テレの深夜番組で芸能人の告白についてウソかホントかのクイズをやっていて、そこで出たのが「××××は窃盗してお店を潰したことがある」でした。
    正解はホントで、当時未成年の女性タレントは反省なく平然としていて、番組は「万引きは立派な犯罪です…」と注釈を入れて、次の問題に進みました。
    しかし、これを観た視聴者は黙ってなかった。
    数多くのクレームが殺到して、その結果、女性タレントは暫く謹慎に、番組も4月改編で打ち切りました。
    日テレのクイズ番組の歴史に「汚点」を作ってしまいました。
    ご存知の方もいるでしょうけど、当事者が今アメブロやっているので(検索でヒットする為)名前は絶対に出せませんが、このクレームは当然の事ですよね!
    ウルトラで常識を覆すことをやってきたtsutomuさん、常識からかけ離れたこの一件についてどう思われますか?

  5. SECRET: 0
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    判定側にはブレないでいて欲しいと出場者側も思いますね。
    先日、あるクイズ番組に出場した際に「ミネストローネ」が答えの問題を舌がもつれ「ミネストゥローティ」と言ってしまい、言い直してもまたもつれて「ミネスティローネ」と言ってしまったのです。
    その後かまずに言なおそうとすると突然「ブー」と鳴らされ、「2回言い直したのでダメです」とのこと。
    それに関してはルールだから納得はしたのですが、その後応援席の友達から「かんじゃダメよ」と言われた時に司会のアナウンサーの方が「そうですよね!僕、間違って無いですよね」と言っていたのを見て、情けなく感じました。
    ゲームである以上、審判(判定者)の判断は絶対で、それが間違いだったとしても、運を引き寄せられなかった自分が悪いのです。
    だからこそ、毅然とした態度で判定して欲しいですよね。

  6. SECRET: 0
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    また単なる噂話だと思ったら、実際に起こった出来事だったのですね。
    クイズを作るのに、どのジャンルでも困るのが「諸説あり」の事柄ですよね。
    15回・グアムの「ズボンの語源は足をズボンと入れることから…」や、今世紀最後・東京ドームでの「脳にも脂肪が溜まる」とか、出題当時の判断では×だったのが、今ではその常識が逆転したりしてますからね。
    自分もQ番組を観て、疑問に思ったら問い合わせしてる人間なので、クレームをつける気持ちもわからないでもないです。
    でも、番組サイドだって念には念を入れてリサーチした問題を出しているワケですから、その方もよく理解して頂きたかったですね。
    例えそれでも欠陥があったとしても、その場での「判定」は絶対に覆せませんから!

  7. SECRET: 0
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    初期の頃からそういった事があったんですね。
    その抗議を通したらその問題で敗退された方からまたさらに抗議が来そうな・・・・・・
    テレビ局に法務専門の部署があるなんて凄すぎる

  8. SECRET: 0
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    クレーム位はくるであろうことは予想していましたが、そこまで話がこじれた例があったとは驚きました。
    私がクレームを付けたなら正誤の理由を納得させてもらうのが目的ですが、何かを要求するなんて酷い人がいたものですね(嘆)

  9. SECRET: 0
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     拝読させていただきました。昔も屁理屈のクレーマーはいたのですね。
     さて、クイズ問題の解答に対しては以前にもコメントしていますが、ふと思い出したことがありましたのでコメントさせていただきます。
     バブル崩壊後、テレビも不景気だったためタレント出演のクイズ番組が増えた頃がありました。ある民放では毎週月~金のゴールデンタイムに少し趣向を変えただけのクイズ番組が放送されていた時期です。その中のある番組はいろいろなジャンルから出題し、リレー方式で解答するクイズ番組でした。が、2~3回放送後から番組最後に解答に対してのお詫びの告知が入るようになり、番組終了何回か前になると、解答の根拠に自信のない問題なのか、ダイジェストもないまま(その説明もないまま)ある問題と解答シーンをカットして編集という荒業にでていました(毎週どこかしらにそんな編集がされていました)。もちろんカット前後で演出上に問題がなければよいのですが、答える順番が急に変わっていたり、得点が急激にアップしていたり。最終的にその番組は3ヶ月ほどで終わりましたが…。
     当時はおおらかな時代、としても、抗議は多かったのでは…と思います。今であれば、テレビ局の信用問題にもなるかもしれません(クイズ形式の情報番組みたいなものでしたから…)。今思えば、制作費が少なかったとはいえ、「クイズは正解の根拠が命」を感じさせる事例だと思います(もちろん、番組終了は視聴率の影響が大きいと思いますが…)。

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