アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、時代のタイムリー性を重視したクイズが多数ありました。
あの時代から、30年~40年も過ぎた現代に問題を振り返ると、当時の世相を反映した問題があり懐かしさを感じます。
当時活躍した人物、流行、社会現象、事件など思い出す事柄も多く、特に人物では未だに「現役」の人もいて驚きますね。
そんな懐かしいクイズ問題の中から、大きな社会現象になった事件に関する問題をご紹介しましょう。
第15回のロサンゼルスで出された問題です。
問・「アコニチン」「メサコニチン」という二種類の猛毒を含んでいる、今年マスコミを賑わしたキンポウゲ科の多年草とは何?
答・トリカブト
解説 現代の人には、想像も出来ないほど難解な植物の問題かも知れませんね。
しかし、当時はこの「トリカブト」の猛毒を使用して、妻を殺害した「保険金詐欺事件」が連日報道されていました。
この草は、日本には約三〇種自生しており、いずれも強い毒性があり猛毒と恐れられています。
猛毒ではありますが、反面神経痛やリュウマチの鎮痛薬にもなるので昔は薬草として使われていたようです。
勿論、現代の日本では医学も発達しているので、危険な野草を採取して薬として使う事は有りません。
しかし、当時の人間の中には「悪知恵の奴」もいて、トリカブトの猛毒を妻に飲ませて保険金詐欺を狙った男が居たのです。
この事件が発覚したのは、1,986年(昭和61)で犯人の神谷と妻は沖縄に旅行、旅先で妻は急死しました。
二人は結婚して間もなくであり、保険には妻の亡くなる二十日前に四社の保険に合計一億八五〇〇万円も掛けていました。
しかも、月々十八万円の掛け金を一回しか支払っておらず、保険会社が怪しいと思い事件が発覚したのです。
数々の証拠が示されながらも、反論を続け「事件に関する著書」まで出版しています。
その後の裁判では「冤罪だ」と叫びながら、最高裁まで争い「無期懲役」の判決を受けました。
その後、三〇年近く刑期を受けており平成二十四年に病死(七十四歳没)となっています。
保険金詐欺事件とトリカブトの猛毒の関係は深いらしく、一九九五年~二〇〇〇年にかけて埼玉県本庄市で発覚した事件も印的。
スナックを経営者する八木茂という男が、客の男性に保険を掛けて殺害。この時もトリカブトが殺害に使われていました。
この男は、次々と凶悪犯罪を重ねるも、全てを冤罪と主張し死刑判決を受けながらも裁判のやり直しを主張しました。
しかし、東京高裁は再審は認めず棄却しています。殺人の手法に登場するトリカブトとは、恐ろしい薬草なのです。
本日の裏話は、日本中の山野に自生する薬草の中には、恐ろしい猛毒を有する草があります、とのお話でした。
日本には自然の山野が豊富です。特に春と秋は「野草の採取」を楽しみにしている方も大勢いますね。
でも、毒キノコに代表されるように、毒に当たると大変な苦しみを受ける事になります。そんな事故を防ぐ手は一つです。
ベテランの友人と共に野草を探し、区別の付かない時は判定をお願いする事。植物は美しいほど怖いかも、女性と似てま~すね。