アメリカ横断ウルトラクイズは、テレビ番組としては莫大な費用をかけ、壮大なスケールで制作された番組でした。
日本の景気も良くて、あの時代だからこそ実現出来たという説がありますが、正にその通りだと思います。
私は、その様な稀有な番組に関われたのは、テレビマンとして実に幸せな事だったと感謝しています。
しかし、今思えばとんでもないスケールだっただけに、それに関わったスタッフも各分野の選りすぐりのプロの皆さんでした。
プロが集団で移動しながら、各自が自分の分野をより効果的に作り上げるか、真剣勝負の旅を続けていたのですから、時には意見の食い違いも起こります。
テレビ制作の現場は、普通は意見が衝突した場合、責任者であるプロデューサーが纏めて丸く収まる場合が多いのです。
しかし、仕事に自信のあるプロの職人は、一度思い込んだらそう簡単に意見を曲げないという特徴もあります。
そうなると、プロデューサーの鶴の一声では収拾が付かないという事にもなりかねません。
ましてや、年齢が若いディレクターの場合、父親のようなベテランの技術者が「ダメ!」と言い出した時にはその説得に苦労をします。
ウルトラクイズでは、毎年同じメンバーの技術者が担当していたので、仲間意識もあって衝突する事は少ない方でしたが、それでも時にはぶつかり合いが起こります。
それは第13回の「コンボイ・リレー・クイズ」の前日に起こりました。
その時のディレクターは、総合演出のK氏でした。
この時のいきさつは、彼と13回のチャンピオン長戸勇人さんの「QUIZ JAPAN」の対談でも紹介されていますが、前日の打ち合わせの時に起こったのです。
クイズ形式は、オレゴン街道を80kmにわたって遮断し、6台のコンボイを走らせながらリレー形式でクイズを出題。先頭の車が正解すれば一気に勝ち抜けできます。
二番手以降が正解の時は先頭車と並び、ここで一対一の対決。正解すれば勿論勝ち抜けですが、残された方は先頭車として次の勝負を待つ事になります。
このクイズは車の配列が勝つための重要な要因となるのですが、勿論これを決めるのは、事前に行われたクイズでした。
本番前日の会議で、この形式に「待った」を賭けたのは音声班でした。
このクイズは、全てを無線で行うため不公平になりかねないというのです。
彼らの言い分は、当時のアメリカでは強い電波が飛び交っているので、いつ切れるかもわからない。
もし電波が切れた時に、全員に聞こえているはずの声が一人だけ聞こえない様な事が起こったら不公平になる、という意見でした。
誠に尤もなご意見でした。
しかし、その様な事態を防ぐ目的で、本命と予備の回線の2回線を用意してあったのですが、音声のプロはそれでも安心出来ないと反対していました。
このコンボイのリレークイズは、ウルトラ史上に残るスペクタクル画面として記憶に残る方も多かったと思いますが、本番前には大変な準備がなされていたのです。
ヘリコプターのパイロットは、映画の空撮シーンで有名なハリウッド屈指の腕前のパイロットを
呼び寄せていました。
また、オレゴン街道を80kmも遮断しての撮影なのですから、この許可を取るまでが大変な作業です。
そのように準備した夢を実現させるため、K氏は夜中まで音声、カメラの大先輩の部屋で膝ずめ談判をして、口説いたのだそうです。
カメラにしても音声にしても、業界ではプロとして名高い人達ですから、自分の職責の範疇では中々妥協をしてくれません。
最後は根負けしたのか、しぶしぶ了承を取り付け、あのダイナミックな撮影が敢行出来たのです。
この様な、頑固なプロに囲まれながら演出をした訳ですから、傍目にはお山の大将のように見えるディレクターという仕事も、実は苦労が多かったのです。
戦いは常に真剣勝負 ラクでは無い のでした。
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ドキュメンタリーなんだけど、映画撮影に匹敵するカメラワークに痺れました。クイズというツールを使ってのドキュメンタリータッチのエンターテイメント性に子供心にワクワクしていた覚えがありました。
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>まささん
切磋琢磨には良い環境です。でも、若手にとっては苦しい現場であったと思いますよ。
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>城明日華@TeNYさん
その様な形式もありましたね。
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プロの集団だからこそぶつかり合いがありますし、それを乗り越えてこそ良い作品が出来るんですよね。
といっても、間に挟まれた担当者は可哀相
担当のチェックポイントが近づいたら胃が痛くなりそうです
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宅急便クイズあったね
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>しぃくω@さん
あのコンボイは私もウルトラクイズの傑作の一つだと思いますよ。撮影は技術的に高度なスタッフが要求されましたが、良くクリアできました。
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>ノリさん
実況中継のように良く記憶しているのですね。挑戦者もあなたのような方がいるとは、感激する事でしょう。
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>月舟さん
ご指摘のように映画の規模の撮影も度々ありました。今では不可能ですが、業界の事情が大きく変化しているのです。
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>ずきんさん
各回が再放送されると、又ウルトラのブームが来るような気持ちになりますね。夢ですが…。
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久しぶりにコメントさせていただきます。
第13回の【爆走コンボイリレークイズ】は日本では絶対出来ないスケールですよね…
後期ウルトラクイズの最高傑作と言っても過言ではないような気がします。
最後になりますが今年も暑くなりそうです。お身体には充分お気をつけください。
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こんばんは、ノリです。
第13回のチムニーロックでの
爆走!!コンボイリレークイズ見てました。
まずはコンボイの三択クイズを行い、
解答順を決めました。
順番は次のとおりです。
木村⇒秋利⇒及川⇒田川⇒長戸⇒永田
コンボイリレークイズが始まりました。
まず東大の木村君が一抜けし、
次のチムニーロックの問題で富士通の田川君が正解して、
一対一の対決クイズでも田川君が抜けました。
次に塾の先生秋利君が抜け、ようやく永田さんが正解して、
孟母三遷の教えの問題で永田さんが抜けました。
そして最後の最後で、立命館長戸さんが勝ち抜き、
東大の及川君が敗退しました。
罰ゲームはミニコンボイ(?)で帰るというものでした。
まさに興奮溢れるクイズでした。
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コンボイ同士またヘリコプターが横付けするなんて、これから飛び移ってくるのか、はたまたド派手な銃撃戦でも始まるのかという迫力満点のスペクタクルシーンでしたね!!
それをまた第12回アラスカ鉄道救出シーンのようにその様子をもう一機で捉えてるので、本当にアクション映画を見ているようでした。
あれはパイロットの腕がモノをいう映像でしたね。あ、それとお金も…(笑)
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コンボイリレークイズが幻のクイズにならなくて、本当に良かったです。
13回ウルトラクイズの中で、最も印象に残っているクイズで、何度見ても涙が出ます。
tsutomuさんが書かれた様に、あの時代だったからこそ、実現できたクイズ番組ですし、リアルタイムで見る事ができたのは幸せ者です。
今月はCSで、初のウルトラクイズ再放送(12回)がありましたが、今回ブログに書かれた13回や他の回もいつか再放送される事を願っています。