アメリカ横断ウルトラクイズの第12回がCSのファミリー劇場で、再放送されました。
その番宣番組として「今だから話せる裏話」という、10分ほどの短い番組が3本作られ放送されました。
その第2話で、当時の美術スタッフの黒木遠志さんが出演した時のエピソードで「黄色のハットが立たない」というエピソードを紹介しましたが、番組の中ではその顛末が良く理解出来ないうちに、別の話に変わってしまい、そのエピソードをもっと解りやすく紹介して欲しいというリクエストが私のブログにありました。
そこで、私の知る限りの思い出を書いてみたいと思います。
この事件が起こったのは第14回でした。
この回は、アメリカ大陸を西海岸から東海岸まで、全ての行程を車で移動してクイズを行うというスタッフにとっては体力的に一番ハードな回でした。
その中の3番目のチェックポイントがソルトレークシティーでした。
この地はその昔、大陸横断鉄道が東西から工事を開始し、中間点でドッキングした記念するべき場所だったのです。
ところでアメリカの貨物列車は日本と違って運行が実に不定期なのです。
1日に2~3本しか走らない時もあれば、10数本立て続けに走るなどバラバラなのです。
しかも、車両が50輌、60輌、中には100輌と言ったように長ーいのが特徴です。
距離にすると延々1km以上もある車両がガッタン、ゴットン時間をかけて走って行きます。
踏切でこの様な列車に遭遇したら、通過するまでどのくらい待たされるか解りません。
我々はこの長い貨車を使ってクイズを行う事にしました。
題して「空席待ち列車タイムショック・クイズ」です。
大陸横断鉄道の線路の脇に、早押し解答台が3台用意され、あらかじめ並ぶ順位を決め12人の挑戦者が3列に並びます。
そして大陸横断鉄道の先頭車両が目の前を通過した瞬間にクイズが開始され最後尾の車両が通過し終わった時点で終了します。
この間に先頭の3人がクイズに回答し、誰か1人が正解すると残りの2人は席を離れて最後尾に並ばなければなりません。
この様に回答権が次々と後ろの人にバトンタッチされ、列車が通過し終わるまでに何問正解するかが競われます。
その間の総合得点で、成績の悪い2人が敗者になるというルールでした。
我々スタッフは全ての準備を終え、後は列車の到着を待つ体制に入っていました。
何時、列車がやって来るのかは鉄道会社に問い合わせても正確な時間は解りません。
そこで耳を線路に押し付けて、線路の音でそろそろやって来るだろうと待ち構えていました。
かすかに線路に振動が伝わってきたので、間もなく列車がやって来るだろうと判断したその時です。
「そろそろ始まるので最終確認!」
という声が響きました。
そこで、ウルトラ・ハットの電源は通じているか最後のテストが始まったのです。
すると美術スタッフのS君が、真っ青な顔で絶叫しました。
「黄色のハットが立ちません!」
「バカヤロー!それじゃクイズが出来ないぞー」
本番前にウルトラハットの調子が悪くなるなどという事は、過去13年間に1度もあった試しがありません。
美術スタッフは総出で配線のチェックを始めたのですが、別に不具合も無いようなのです。
「間もなく列車がやって来まーす!」
線路の振動は次第に大きくなってきました。
「S! どうするんだ? 別のハットに交換しろ!」
と叫んだところで、そのような時間はありません。
可愛そうにS君は全スタッフの冷たい視線を浴び、オロオロするばかり。
結局、寸前でハットの不具合が解消して、クイズは通常通り実施されました。
もし、このまま立たなければ、クイズは中止せざるを得ませんでした。
列車はその後いつやって来るか全くわからないのですから、その責任は美術班にやって来るでしょう。
これを称して、ウルトラの美術班では
「黄色いハットが立たない」
という言葉が、呪いの言葉になったのだそうです。
黄色と言えば「幸福の黄色いハンカチ」という高倉健さん、倍賞千恵子さんの名作映画が思い浮かびます。
黄色は幸せの色、とばかり思っていましたが呪いの色とは黄色にとっては迷惑な話です。
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>Kayさん
パームスプリングスでゴルフはできますよ。私もやりましたが、アゲインストの時はナイスショットが戻ってしまいあまりの距離にがっかりした経験があります。フォローは逆でしたがね。
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>80年代日テレ番組大好き!さん
11回のパームスプリングスですね。
余談ですがあのクイズ、ゴルフ好きには
「本当にパームスプリングスか!?」と
ショッキングな映像ではなかったかと。
私は逆パターン。後日のジェットストリームで
城達也氏が読み上げる某旅行ブランドの
CMで一言「パームスプリングスでのゴルフ……」
あんなに風が強い所でゴルフできるんかい!
と驚きましたから
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>稲川良夫さん
良い事を思い出させてくださいました。この話は早速ブログで書かせて頂きます。事後承諾になりますが、この文も引用させてください。タイトルは「ハットが戻らない」で行こうと思います。
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>80年代日テレ番組大好き!さん
日テレの良き時代の番組を良くご理解頂き嬉しいですね。体力に自信の無い挑戦者は、見る側からすると気の毒に感じますが、それを承知で参加していた方からのクレームはありませんでした。
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ごぶさたしています。
ハットが立たないのはこのときが初めてとのことでしたが、ハットが戻らないのは、僕の第11回でもありましたね。しかも、ニューヨークでの決勝で。このときは、本番が始まってから僕のハットが戻らないので、手でいちいち戻しています。映像をみるとちょっと奇異にみえるんですが、決して僕がオーバーアクションしているわけではありません。ビデオをお持ちの方はご確認ください。
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スタッフの裏話は面白いし、当時の苦労が垣間見える貴重な話なので、是非『伝説の番組裏話スペシャル!』みたいなのでやってもらいたいですね(笑)。
第何回か忘れましたが、風力発電所の風車の前でパラシュートを付けて早押しする形式があったと思うのですが…あれは体力戦なので体力に自信のない挑戦者達からクレームは無かったのか心配です。
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>F.Yasさん
スタッフの裏話が面白いというご意見には感謝します。編集でカットされましたが、全編30分くらいなら飽きない話が詰まっていました。
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>上越狂太(仮名)さん
その様な予想をする方が多いのですが、ソルトレークでは前にバラマキをやっていましたので、その様な事にはならなかったと思います。
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>城明日華@TeNYさん
機内ペーパーの1位だった大石さんが敗れたのがドミニカでした。良くご記憶で。
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>ずきんさん
熱心なウルトラ・ファンの皆さんに囲まれて番組が続いた事に、感謝です。
時間が過ぎてもこれだけ思い出が有る番組って珍しいですよね。皆様に感謝です。
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>まささん
再放送を楽しんで戴き有難うございました。
ハットが故障のままでも、次の列車を待った可能性が高いと思います。
あの形式には我々は入れ込んで準備しましたので、多分時間をずらしても実行したと思います。
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>とどさん
多分Bパターンとして準備していた中にはばら撒きクイズは入っていなかったと思います。
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>とどさん
面白いクイズ形式の時は、それなりに準備や環境で必ず問題がありました。それを克服しながら作っていたので、それぞれ大変な思い出があったのです。
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>月舟さん
同じタイムショック形式でも、その効果が有る場所の選定が結構難しいので、苦労しました。
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写真のチェックポイントでも敗者になられた方は黄色いハットでしたね(^_^;)
当時スタッフだった方々の裏話は、とても面白く、10分ではなく30分、1時間と見たくなる番組でした。
やっぱり面白いですね、ウルトラクイズ。
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このタイムショックでは実際には4名の最下位タイを出したという結末でしたね。その中から勝ち抜け2名を決めるためにバラマキクイズをやりましたが、実はこのバラマキクイズはもしタイムショックが中止になった時の予備を兼ねてたのではと思います(クイズ会場が最初からバラマキクイズが出来そうな場所で、挑戦者の人数に応じてばらまく問題数を調節できますし)。本当にタイムショックが中止になってたら、第14回の展開も大きく変わってたはず(特に通称「ヒゲの黄門様」は体力クイズ苦手だからね)。
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15回のドミニカの敗者のTVガイド大石さんは水色でした
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直前にハットの不具合が解消されて、良かったですね。
列車が来るまでの間、暑い中待った挑戦者の皆さん、スタッフの皆さん、おつかれ様でした。
クイズ終了後、具合が悪くなった方はいませんでしたか?当時、とても心配していました。
このクイズの後、敗者復活で行われた4人でのバラまきクイズも忘れられません。
友人が、当時込山さんを応援していましたが、敗れてしまい、放送終了後電話があり、泣き続ける友人に気の効いた言葉をかける事も出来ず、気持ちがおさまるまで、何時間も受話器を握りしめたあの日の事が浮かびました。
ウルトラクイズは、年代や見始めた回などによって、思い出のシーンがそれぞれあると思います。
今見ても、同じ所で笑い、泣く・・・そんな心揺さぶる番組を作ってくださった事に感謝します。
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最終確認をされたから無事に出来たんですね。
大陸横断鉄道を横にクイズは絵にもなるし魅力的でした。
もし、ハットが故障のままだったら、バラマキになったのかな?
CSでのウルトラは中学生の当時に戻って試聴しました。ありがとうございました。
他の大会も放送になればいいですね。
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続けての投稿をお許しください。
このクイズでは何名かが最下位であったため、敗者2名を決定する「ばらまきクイズ」がそのまま行われたように記憶しています(たしか封筒は全て赤色の封筒で印象的でした)。
そこで、もし…というのは過去の事実なのでないのですが、もし、早押しハットが立たなかった場合、「ばらまきクイズ」に変わっていたのでしょうか?ふと気になりました。
ついでに、ソルトレークシティで初期の回に「ばらまきクイズ」をやっておりましたし…。
今となっては…かもしれませんが…どうだったのでしょう?
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第14回、ソルトレークのこのクイズはいろいろなところで書かれていたように思います(tsutomu様のこのブログでも書かれていたかもしれませんが…)。
まず、列車がいつ来るのか、どちら方向から来るのか、わからない…というのは本編で触れられていました。しかも、太陽がさんさんと降り注ぐ中の高温(しかも「塩の湖」というだけあって周囲は真っ白だから照り返しもすごかったと思います)。クイズ形式等説明した1時間後にクイズ開始になったような…。それまで、スタッフも挑戦者もぐったりだったような…。でも、番組制作の一面がかいまみれたような気がします(めったに見られないスタッフの方々などが見られて貴重なチェックポイントでした)。
さて、今回の記事のことは福留アナの書籍の中でも触れられていました。制作側が本当に青ざめたというのはよくわかります。番組ではうまく編集されていたのでそのようなことは感じさせませんでしたが…。
あと、このクイズ、列車の轟音がすごくて音声さん泣かせだったというのもどこかで読みました(このブログの前の記事かもしれません)。クイズが聞き取れにくいと問題だし、挑戦者の解答も聞こえにくいと問題だし、周辺の音声も必要だし…。
視聴者としては緊張感のあるクイズ形式で面白かったです。
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タイムショック形式といえば、日の出やホテルのアヒル(実はカモ 笑)などがありましたが、列車というのはウルトラならではのスケールの大きさですね。題材探しも一苦労だったと思います。
しかもいつ来るかわからない、来るまでほったらかしというのも面白いアイディアでした。