アメリカ横断ウルトラクイズで、クイズを作る時の心構えを時々書いていますが、一般に常識と思われている事象の裏側を探ってみるのもクイズ作りの一つの方法です。
世間で常識と思われている事の中には、親や先輩などの年長者から聞き及んだ事が、自然に知識となって身に付く事が多いようです。
その教えてくれた人も、多分同じような経緯でその人の常識となっているのでしょうね。書物で読んだり、何かの資料で学んだ知識ではない事も多いのですね。
一般に常識と思われている事も、キチンと調べて見ると真実は全く違った所にあって、その誤りの方が世の中で常識化されていたりします。
この様な常識を疑って出来たクイズには結構楽しい問題が含まれていました。
第3回の後楽園球場の1次予選で出された○×問題です。
問・お稲荷さんには狐が祀られている。
答・×
解説 稲荷神社は「稲荷大明神」或は「お稲荷さん」と呼ばれ古来から日本人の信仰の対象となっていました。
神道上、日本各地にある稲荷神社の総本山は京都市伏見区にある「伏見稲荷大社」で朱い鳥居と白い狐がシンボルになっています。
何処の稲荷神社にも狐の像がありますので、狐を神様とする神社と勘違いされたのでしょうが、ここに祀られている神様は「宇迦之御魂神(うかのみたま倉稲魂命とも書く)」と言い、五穀豊穣の神様だったのです。
記述としては「古事記」や「日本書紀」など、日本神話としても登場していて古い歴史が潜んでいます。
一方狐は古来から神聖視されていた動物で、稲荷大明神の使いと考えられていたので、何時の頃からか混同されて、間違えた常識となって行ったようです。
稲荷神社は五穀豊穣を祈る神様で、別に動物崇拝の神様ではないのですね。
今年も朱い鳥居を潜って、お稲荷さんに五穀豊穣を願った善男善女も多かったことでしょうが、間違えた常識は気が付いた時から改めましょう。
こんばんは。
おもしろい問題ですね。
「お稲荷さん = 狐」というイメージがありますし、考える時間がわずかの後楽園予選では、「え?お稲荷さんだから当然、狐を祀っているのでは?」「いやいや、そんな素直な問題は出ないだろう」などと頭の中が混乱してしまいそうです。
いかにも「いじわる」なウルトラの○×問題(笑)
もし私が参加していたら、間違って、○のエリアに駆け込んでしまうかもしれません。そして、○のエリアでまさしく「狐につままれた」ような顔をしてしまうかも…。
常識の盲点が○×問題には適しているようです。
瞬間の判断で、頭が混乱する、しかも両方の考えがそれぞれ有りそうだ、という例題を探すのがクイズ作家のセンスでした。