灼熱のデスバレー(死の谷)で目玉焼き

アメリカ50近くもある国立公園の中で一番広いのが、このデスバレーです。

↓death-valley デスバレー

日本で言えば長野県とほぼ同じ広さだというのですから、そりゃあ広いですよ。

しかも、西半球で最も低い場所にあって、海抜下85.5メートルというのですから海面よりも85メートル以上も低いのです。

そう言えば、岩山の途中に、白い線が描かれていて「シー・レベル」という表示がありました。
そこは恐ろしいほど原始的、しかも幻想的な景色であり、太古の地球か、他の惑星にやってきたような荒涼たる眺めが広がっています。
というよりも広大な谷間なのです。

確か、「猿の惑星」もこの地でロケが行なわれたというような事を聞きました。

↓猿の惑星

猿の惑星

それよりも、何より恐ろしいのは、暑い暑いを通り越して「熱い」という言葉がピッタリなんです。
真夏にはジリジリと太陽が照りつき、50℃まで上がってしまうのですから、とても耐えられるような環境ではありません。
我々のウルトラクイズは、このデスバレーでクイズをやろうというのですから、まるでサド軍団のようなもんです。

我々は、この土地が如何に熱いかをテレビの画面で見せようと、石の上で目玉焼きを作ろうと試みました。
しかし流石に目玉焼きは出来ませんでした。

そこでお遊びにと、石をバーナーで熱して、そこへ生卵を割って乗せたのです。
すると見る見る卵は変質して目玉焼き状態が出来ました。

そのとき、国立公園を管理しているパークレンジャーのオジさんがやって来て
「オーッ、こいつはびっくりだ!」
と目を丸くしそれを見ています。

そこでオジさんをからかってやろうと、誰かが言いました。

「日本では温泉に卵を浸ければ温泉玉子。川原の石で卵を焼けば、石焼玉子と呼び、みんなやっているよ」
するとパークレンジャーのオジさんは、すぐにカメラを持ち出し、この様子をパチパチいろんな角度から撮影しています。

「そんなに写してどうするんですか?」
と思わず聞いてみたのです。

すると仕事熱心なオジさんは言いました。

「ここには観光客が多いのでね、こうやって石焼玉子を作って楽しんでもらおうと思うんだ」
とニコニコ。

「ええっ!そんな?」
今度はこっちが仰天する番です。

「まずはパンフレットを作って、インフォメーション・センターに置こう」
と無邪気に喜んでいます。

「ゴメーン!オジさん。これはジョーク、ジョーク」
平謝りをしたのでした。

「良いアイディアだったのになぁ」

その時の、オジさんのガッカリした顔。

本当に、このパークレンジャーは人の善い真面目な公務員さんだったんですね。
↓デスバレーのパークレンジャー※本文のオジさんではありません

パークレンジャー

置き引きの名人芸に出会う

海外旅行の経験者は、皆さん口を揃えて
「日本ほど安全な国はない」
とおっしゃるようです。
確かに、その通りだと思います。
ウルトラクイズで世界中を回った経験で、スタッフをはじめ、私自身を含め泥棒の被害には、数え切れないほど遭いました。
その中でも忘れられないほど見事な置き引きに会った時のお話をしましょう。
あれはアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの空港、エセイサ国際空港での事です。

その時はロケハン撮影の為の下見)で、我々は三人の旅でした。
アルゼンチンでのロケハンを終え、次の目的地に向かう時でした。
朝早く出発のために、暗いうちに空港に着きました。
広い広い空港のロビーには、ほとんど人影が見当たりません。
ガラーンとしたロビーにはライトが煌々と照り、各航空会社のカウンターには、係員がポツポツと出勤して、朝の準備をしているようです。

↓現在のエセイサ国際空港

エセイサ国際空港

「我々の乗る飛行機は、何時から受付が始まるのかな?」という会話が三人でありました。
航空会社のカウンターは遥か50~60メートル先にあります。
と、若いプロデューサーのO氏が
「ボクが聞いてきます」と言うと同時に、肩に掛けていたショルダー・バッグを残る我々二人の間に置いて、走って行ったのです。
多分バックの中身が重かったのでしょうね。
普通ならそんな無用心な事はしないのですが、早朝でロビーには人影が無いので油断してしまったわけです。
残された私とK氏は、彼のバックを足元に置いて、向かい合って雑談をしていました。
と、その時私の肩をポンポンと叩く人が居たので振り返ると、上品な女性スペイン語らしき言葉で、しかも早口で話しかけてきました。
何かを訊ねているようですが、サッパリ意味が解りません。
そこで「英語で話してくれませんか」というような事を言ったような気がします。
ところが相手は身振り手振りで一向に質問をやめないのです。
その時、私と雑談をしていたK氏にも同じくスペイン語で話しかけてきた女性が居たようで、二人共その対応で注意散漫になっていたのでした。
やがて二人の女性は我々と話が通じないので、あきらめて立ち去りました。
我々も

「参ったね。スペイン語で何言ってるのか解らないや」

ってな事を話して、O氏の戻ってくるのを待ちました。
間もなく彼が戻って来て、

「あれっ!ボクの鞄は?」

というのです。
足元を見ると、見事に鞄が消えていたのです。

「あっ、やられた」

と気が付いた時には後の祭りです。
我々がスペイン語で四苦八苦している時に、側を一人の男が通り過ぎた様な気がします。
つまり、彼らは三人組置き引き犯だったのです。
我々は慌てて、彼らが消えた暗い駐車場に向かって走りました。
しかし、車の間には人影が見当たりません。
鞄の中には、彼のパスポートと、ロケハンの費用として多額の現金が入っていたのです。
警察に届けて知ったのですが、彼女たちは「コヨーテ団」と呼ばれる窃盗グループで、

「普段はナイフ拳銃で武装しており、捕まえようとしたら殺される所だった。
あんた達は運が良いよ」

と慰められたのでした。
可哀想にO氏はパスポートの再発行まで、数日間足止めを食らってしまい、一人アルゼンチンに取り残される羽目になったのです。

↓本物のコヨーテ

コヨーテ

インディアン嘘つかない?~その2

あれは第11回でのお話。
ワイオミング州といえばアメリカの中の偉大なる田舎
↓ワイオミングのイメージ画像

ワイオミング

多くの人々は農業牧畜業に従事し、みんな素朴で明るく善い人ばかり。

そういえば昔のテレビ映画で「ワイオミングの兄弟」という人間愛を描いた素晴らしい作品がありました。

↓ワイオミングの兄妹

そのワイオミングに、スピルバーグの名作「未知との遭遇」ラストシーンを覚えている方は思い出してください。

↓スティーブン・スピルバーグ監督「未知との遭遇」

未知との遭遇_スティーヴン・スピルバーグ

↓「未知との遭遇」ラストシーン

未知との遭遇_デビルズタワー

奇怪な形をした岩山、そうです。

人類宇宙人が接近遭遇するあの舞台となった山です。

あまりに不気味な形をしているところから、アメリカ人はこれをデビルスタワー(悪魔の塔)と名付けたのです。

↓Devils Tower(デビルスタワー)

デビルズタワー

ここでウルトラクイズ「ばら撒きクイズ」をする事にしました。
「ばら撒きクイズ」とは問題の入った封筒を上空からばらまき、挑戦者はそれを拾って司会者のところまで持ってくる。中には問題が入っていないハズレもある。
となれば、ばら撒くのは空飛ぶ円盤(UFO)に乗った宇宙人が最適でしょう。

そこで宇宙人出演交渉をしたのですが、彼らはガメつくてギャラが折り合わず。。。(ウソです)

あまりにお決まりすぎるパターンという事もあって、この案はNG
そこで、今回は上空からではなく、ご当地のインディアンの皆さんにクイズ問題ばら撒いてもらう事にしました。

彼らに交渉すると

「ハイハイ、馬を走らせ、クイズ問題ばら撒く。問題なーい。馬、モチロン沢山いるね。まかせる。OKよ」

という事で気持ちよく了承してもらったのです。

そして当日、彼らは西部劇戦士のスタイルで、ずらりと勢ぞろいしてくれました。

彼らは西部劇と同じように、馬には鞍を付けず裸の馬に跨っています。

「鞍が無くて落馬しませんか?」

心配したスタッフが声をかけると

「OK,OK, ボクたち、昔からこのスタイルね」

という事で、収録が始まりました。

↓馬に乗ったネイティブ・アメリカンのイメージ

馬上のネイティブアメリカン

ところが、馬が草原を走り出すと、インディアンのお兄ちゃん達が、馬からコロコロと転げ落ちるのです。

それも一人二人ではなく、次々と落ちてしまうではありませんか?

打撲、捻挫、骨折と現場は大混乱となり、どうにか< span style="font-size: 24px; color: rgb(132, 0, 132);">撮影を終えました。

そして聞いてみると、

「裸の馬、ご先祖さんはみんな乗っていた。
僕たち初めて。
だけどそんな事言えなーい。
これ難しいね。
インディアン嘘つかなーい」

という事でした。。。

インディアン嘘つかない?~その1

「インディアン嘘つかなーい」
というのは、西部劇では悪い白人に騙される、人の善い素朴な彼らの決まり文句でした。

最近はアメリカ映画の西部劇というものにあまりお目にかかりません。

日本のチャンバラ映画と同じで、その昔はカウボーイが活躍する西部劇大流行しました。
西部劇の大スター、ジョン・ウェインカーク・ダグラスが馬にまたがり、西部の荒野走り回る
老いも若きも、男も女もみんな揃って胸を躍らせたものでした。
ジョン・フォード監督の名作「駅馬車」

ジョン・フォード監督_駅馬車


「荒野の決闘」

荒野の決闘

の舞台となればご存知、
モニュメントバレー。↓

モニュメントバレー

メサと呼ばれる、赤土色の台地が幾つも立ち並ぶ奇景アメリカ西部でしか見られません。

↓メサ

メサ_侵食によって形成されたテーブル状の台地

西部劇で欠かせないのは、インディアン白人との戦いです。

丘の上にインディアンの大群が馬にまたがって待ち伏せをする、
と遥か彼方の山の向こうで攻撃の合図の狼煙(のろし)が上がる、
というのが西部劇のお決まりのパターンです。

ウルトラクイズモニュメントバレークイズを行った時のエピソードです。

ここは西部劇舞台ということで、現地のインディアンの子孫の方たちを何人かゲストとして招きました。
彼らは裸馬ではなく、ジープに乗ってジーパンTシャツ姿でやってきました。
そこで、ご先祖様たちと同じような扮装をしてもらいました。

ナバホ族

彼らには西部劇と同じように、クイズ開始の合図として狼煙を上げてもらおうとしたのです。

ところが狼煙は知っているが
「どうやって上げるの?」
と上げ方を知らないというのです。

そこで、スタッフが枯れ草を集めてきて、これに火を点け、その上から毛布を被せて煙を溜めこみ、頃合を見て毛布を外すと煙が大空へ向かって高々と昇っていきました。

それを見たインディアンの子孫たちは、
「スゲーッ!カッコいい。インディアン嘘つかなーい」
大喜び

狼煙の上げ方を、本場のインディアンに教えるというめったに出来ない経験をしたのでした。

↓狼煙を上げるインディアン

狼煙を上げるインディアン

恐怖の罰ゲーム、傑作集

ウルトラ名物罰ゲーム
毎年あの手この手で、敗者忘れられない思い出プレゼントしているが、その中でも私が個人的に傑作と思っているものを時々紹介してみたいと思います。
あれは第6回のダラスでの罰ゲーム
アメリカの歴史的犯罪者にボニー&クライドという男女の凶悪二人組がいたのをご存知でしょうか?

念のために説明すると、この2人は1930年代にアメリカの中西部を舞台に、カフェや銀行、ガソリンスタンドなどを襲っては、銃を乱射しながら暴れまくったアベック強盗なのです。

実際に罪もない人を13人も殺しているのですから、大悪党と言えましょう。
彼らをモデルに「俺たちに明日はない」という映画が世界的にヒットしました。

↓BONNIE&CLYDE 邦題「俺たちに明日はない」

BONNIE&amp;CLYDE_俺たちに明日はない

当時は今ほど海外旅行もポピュラーではなかったので、情報も少なく、敗者もアメリカは怖い所というイメージは持っていたはずです。
さて、敗者に与えられた罰ゲームは、広大な原野のど真ん中で放り出され、ヒッチハイクダラス空港まで帰れ、というものでした。
彼は道路に立って、親指を上に向け、ヒッチハイクのポーズをとりますが、中々止まってくれる車はありません。

やがて運よく、若い男女の乗ったバンが通りかかり、彼を乗せてくれました。
最初は機嫌よく敗者に話しかける男女。
ところがしばらく走ると、前方にパトカーが止まっていて、この車に停車するように合図しています。

と、それまでにこやかだった男女がいきなり、ダッシュボードからピストルを取り出し、彼におとなしくしていろ!と命じ、パトカーの制止を振り切って逃走したのです。

驚く敗者を尻目に、逃げる車と追うパトカーのカーチェイスが始まりました。
逃げる男女はボニー&クライドばりの凶悪犯、という設定なのです。

やがて、パトカーに行く手を阻まれて停車するや、警察官が拳銃を突きつけて二人の男女を逮捕します。
訳の解らぬ敗者は、車内で呆然自失
と、その時警官が「お前も降りろ!」と怒鳴り拳銃を突きつけ、手錠をガチャリとかけたのでした。

↓アメリカ警察のホールドアップのイメージ

hold_upのイメージ

即ち、アベック強盗の共犯者であろうという疑いです。
あまりの出来事に、気の毒な敗者は、腰を抜かして道路にぺたりと座り込んでしまったのです。

実は、このバンはスタッフが前の晩に徹夜で作り上げた改造車だったのです。
座席の後ろにマジック・ミラーが張られていて、カメラマンが車内の様子をしっかり隠し撮りしていたのです。
勿論、アベックの男女も警察官も全部仕込みなのは言うまでもありません。
いわゆる「ドッキリ」というやつです。

しかも、面白いのは、この警察官もパトカーもダラスの本物のお巡りさん達だったのです。
彼らは休日に楽しんで協力してくれたのです。

しかも、「パトカーは何台必要なの?」

とこのお芝居に大乗り気で、参加してくれたのでした。

↓ダラス警察のパトカー

DALLAS_POLICE

日本ではとても考えられないお役所の協力体制に、本当にびっくりしました。