ラピッドシティ の親日家

ヒッチコックの名作「北北西に進路を取れ」のサスペンスシーンで有名なラシュモア山をご存知でしょうか?

↓北北西に進路を取れ

北北西に進路を取れ

サウスダコタ州にある国立公園で、巨大な岩山に歴代の有名な4人の大統領の顔が彫られています。

↓ラシュモア山

ラシュモア山

映画では、その顔の岩山で主演のケーリー・グラントと悪人の格闘シーンが印象的でした。

↓「北北西に進路を取れ」ラシュモア山のシーン

北北西に進路を取れ_ラシュモア山シーン

4人の大統領とは日本人でも知っているワシントン、ジェファーソン、ルーズベルト、そしてリンカーンです。

この地では大統領をはじめ、アメリカの歴史的な有名人の子孫をゲストに招いて「ご先祖さん当てクイズ」というのをやりました。

例えば「黒船」で日本にやって来て徳川幕府に開国を迫ったペリー提督、野球ファンにはお馴染みのベーブルース、或いはリンカーン大統領、そしてアパッチ族のジェロニモ酋長、札幌農学校で教えたクラーク博士といった人達の子孫さんが出演してくれました。

それはさておき、ロケハンでラシュモア山の近くの町、ラピッドシティを訪れた時の事です。

Rapid City ラピッドシティ

町の中で日本食レストランを発見、店先には焼鳥おでん等と書かれた赤い提灯がズラリとぶら下がっているではありませんか。

久しぶりに日本食に在り付けるというので、喜んで飛び込んだのは言うまでもありません。

ところが中に入ってメニューを見ると、日本食らしき料理は何もありません。

「外の提灯は何だ?」

と尋ねると、

オリエンタル・ムードインテリアだ。
気に入ったかい?」
と平然としています。

聞けばこの店のオーナーは元軍人で、日本に駐留していた時代に、日本の娘さんと知り合って結婚したのだと言います。

間もなくその女性が現れ、我々日本人を見つけるや懐かしさで、飛びついて来ました。

その頃は日本人旅行者も少なく、ましてやサウスダコタ州などという田舎の街に日本人が訪れるなどという事は、滅多に無かったのでしょうね。

実は彼女と同じような日本人妻が、この辺りには数人住んでいて、直ぐに電話を掛け、ご主人共々ワイワイと集まってきました。
それからは、初対面の我々を囲んで宴会状態になりました。

すっかり打ち解け、次にロケで来る時には
「大勢のスタッフを連れてまた来ます」
と約束をして別れたのです。

そして二ヵ月後、我々は再度お店を訪ねました。

其の日は、結構お客が込み合っていました。
ところが、我々の顔を見るや大喜びの挙句、お客さんに
「今日はこれで閉店です。
お勘定はサービスです」
とみんなを追い出してしまったのです。
追い出された方も、料金がタダとなれば喜んで出て行きます。

我々の方は、スタッフが30人近くいましたが、中には料理自慢も沢山います。
お店の方では、
「皆が作りたいものを自由に作ってよ。
厨房を開放する」

と言い出したのです。

「それではお言葉に甘えて」
とばかり、近くのスーパーに買出し部隊が出かけ、日本食になりそうな材料を大量に仕入れてきました。

そしてレストランの厨房を独占、すき焼き、焼鳥、茶碗蒸しから、ブリの照り焼き、鮭の塩焼き、と懐かしの日本食のオンパレードで、大パーティーとなったのです。

当然の事ながら、先日の日本人妻と元軍人の仲間たちも集まってきました。
元軍人のアメリカ人のオジさん達も、懐かしの日本料理に大喜びで、厨房に入ってきて、手伝いが始まりました。

日本人妻のおばさんたちは、久々に思いっきり日本語が喋れるので大興奮

ご主人達が英語で話しかけても、
「うるさいわね。日本語で喋りなさいよ」
と相手にしません。

仕方なく、片言の日本語が飛び交い、奇妙な、しかし心温まるパーティーが夜遅くまで続いたのでした。

灼熱のデスバレー(死の谷)で目玉焼き

アメリカ50近くもある国立公園の中で一番広いのが、このデスバレーです。

↓death-valley デスバレー

日本で言えば長野県とほぼ同じ広さだというのですから、そりゃあ広いですよ。

しかも、西半球で最も低い場所にあって、海抜下85.5メートルというのですから海面よりも85メートル以上も低いのです。

そう言えば、岩山の途中に、白い線が描かれていて「シー・レベル」という表示がありました。
そこは恐ろしいほど原始的、しかも幻想的な景色であり、太古の地球か、他の惑星にやってきたような荒涼たる眺めが広がっています。
というよりも広大な谷間なのです。

確か、「猿の惑星」もこの地でロケが行なわれたというような事を聞きました。

↓猿の惑星

猿の惑星

それよりも、何より恐ろしいのは、暑い暑いを通り越して「熱い」という言葉がピッタリなんです。
真夏にはジリジリと太陽が照りつき、50℃まで上がってしまうのですから、とても耐えられるような環境ではありません。
我々のウルトラクイズは、このデスバレーでクイズをやろうというのですから、まるでサド軍団のようなもんです。

我々は、この土地が如何に熱いかをテレビの画面で見せようと、石の上で目玉焼きを作ろうと試みました。
しかし流石に目玉焼きは出来ませんでした。

そこでお遊びにと、石をバーナーで熱して、そこへ生卵を割って乗せたのです。
すると見る見る卵は変質して目玉焼き状態が出来ました。

そのとき、国立公園を管理しているパークレンジャーのオジさんがやって来て
「オーッ、こいつはびっくりだ!」
と目を丸くしそれを見ています。

そこでオジさんをからかってやろうと、誰かが言いました。

「日本では温泉に卵を浸ければ温泉玉子。川原の石で卵を焼けば、石焼玉子と呼び、みんなやっているよ」
するとパークレンジャーのオジさんは、すぐにカメラを持ち出し、この様子をパチパチいろんな角度から撮影しています。

「そんなに写してどうするんですか?」
と思わず聞いてみたのです。

すると仕事熱心なオジさんは言いました。

「ここには観光客が多いのでね、こうやって石焼玉子を作って楽しんでもらおうと思うんだ」
とニコニコ。

「ええっ!そんな?」
今度はこっちが仰天する番です。

「まずはパンフレットを作って、インフォメーション・センターに置こう」
と無邪気に喜んでいます。

「ゴメーン!オジさん。これはジョーク、ジョーク」
平謝りをしたのでした。

「良いアイディアだったのになぁ」

その時の、オジさんのガッカリした顔。

本当に、このパークレンジャーは人の善い真面目な公務員さんだったんですね。
↓デスバレーのパークレンジャー※本文のオジさんではありません

パークレンジャー

置き引きの名人芸に出会う

海外旅行の経験者は、皆さん口を揃えて
「日本ほど安全な国はない」
とおっしゃるようです。
確かに、その通りだと思います。
ウルトラクイズで世界中を回った経験で、スタッフをはじめ、私自身を含め泥棒の被害には、数え切れないほど遭いました。
その中でも忘れられないほど見事な置き引きに会った時のお話をしましょう。
あれはアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの空港、エセイサ国際空港での事です。

その時はロケハン撮影の為の下見)で、我々は三人の旅でした。
アルゼンチンでのロケハンを終え、次の目的地に向かう時でした。
朝早く出発のために、暗いうちに空港に着きました。
広い広い空港のロビーには、ほとんど人影が見当たりません。
ガラーンとしたロビーにはライトが煌々と照り、各航空会社のカウンターには、係員がポツポツと出勤して、朝の準備をしているようです。

↓現在のエセイサ国際空港

エセイサ国際空港

「我々の乗る飛行機は、何時から受付が始まるのかな?」という会話が三人でありました。
航空会社のカウンターは遥か50~60メートル先にあります。
と、若いプロデューサーのO氏が
「ボクが聞いてきます」と言うと同時に、肩に掛けていたショルダー・バッグを残る我々二人の間に置いて、走って行ったのです。
多分バックの中身が重かったのでしょうね。
普通ならそんな無用心な事はしないのですが、早朝でロビーには人影が無いので油断してしまったわけです。
残された私とK氏は、彼のバックを足元に置いて、向かい合って雑談をしていました。
と、その時私の肩をポンポンと叩く人が居たので振り返ると、上品な女性スペイン語らしき言葉で、しかも早口で話しかけてきました。
何かを訊ねているようですが、サッパリ意味が解りません。
そこで「英語で話してくれませんか」というような事を言ったような気がします。
ところが相手は身振り手振りで一向に質問をやめないのです。
その時、私と雑談をしていたK氏にも同じくスペイン語で話しかけてきた女性が居たようで、二人共その対応で注意散漫になっていたのでした。
やがて二人の女性は我々と話が通じないので、あきらめて立ち去りました。
我々も

「参ったね。スペイン語で何言ってるのか解らないや」

ってな事を話して、O氏の戻ってくるのを待ちました。
間もなく彼が戻って来て、

「あれっ!ボクの鞄は?」

というのです。
足元を見ると、見事に鞄が消えていたのです。

「あっ、やられた」

と気が付いた時には後の祭りです。
我々がスペイン語で四苦八苦している時に、側を一人の男が通り過ぎた様な気がします。
つまり、彼らは三人組置き引き犯だったのです。
我々は慌てて、彼らが消えた暗い駐車場に向かって走りました。
しかし、車の間には人影が見当たりません。
鞄の中には、彼のパスポートと、ロケハンの費用として多額の現金が入っていたのです。
警察に届けて知ったのですが、彼女たちは「コヨーテ団」と呼ばれる窃盗グループで、

「普段はナイフ拳銃で武装しており、捕まえようとしたら殺される所だった。
あんた達は運が良いよ」

と慰められたのでした。
可哀想にO氏はパスポートの再発行まで、数日間足止めを食らってしまい、一人アルゼンチンに取り残される羽目になったのです。

↓本物のコヨーテ

コヨーテ

インディアン嘘つかない?~その2

あれは第11回でのお話。
ワイオミング州といえばアメリカの中の偉大なる田舎
↓ワイオミングのイメージ画像

ワイオミング

多くの人々は農業牧畜業に従事し、みんな素朴で明るく善い人ばかり。

そういえば昔のテレビ映画で「ワイオミングの兄弟」という人間愛を描いた素晴らしい作品がありました。

↓ワイオミングの兄妹

そのワイオミングに、スピルバーグの名作「未知との遭遇」ラストシーンを覚えている方は思い出してください。

↓スティーブン・スピルバーグ監督「未知との遭遇」

未知との遭遇_スティーヴン・スピルバーグ

↓「未知との遭遇」ラストシーン

未知との遭遇_デビルズタワー

奇怪な形をした岩山、そうです。

人類宇宙人が接近遭遇するあの舞台となった山です。

あまりに不気味な形をしているところから、アメリカ人はこれをデビルスタワー(悪魔の塔)と名付けたのです。

↓Devils Tower(デビルスタワー)

デビルズタワー

ここでウルトラクイズ「ばら撒きクイズ」をする事にしました。
「ばら撒きクイズ」とは問題の入った封筒を上空からばらまき、挑戦者はそれを拾って司会者のところまで持ってくる。中には問題が入っていないハズレもある。
となれば、ばら撒くのは空飛ぶ円盤(UFO)に乗った宇宙人が最適でしょう。

そこで宇宙人出演交渉をしたのですが、彼らはガメつくてギャラが折り合わず。。。(ウソです)

あまりにお決まりすぎるパターンという事もあって、この案はNG
そこで、今回は上空からではなく、ご当地のインディアンの皆さんにクイズ問題ばら撒いてもらう事にしました。

彼らに交渉すると

「ハイハイ、馬を走らせ、クイズ問題ばら撒く。問題なーい。馬、モチロン沢山いるね。まかせる。OKよ」

という事で気持ちよく了承してもらったのです。

そして当日、彼らは西部劇戦士のスタイルで、ずらりと勢ぞろいしてくれました。

彼らは西部劇と同じように、馬には鞍を付けず裸の馬に跨っています。

「鞍が無くて落馬しませんか?」

心配したスタッフが声をかけると

「OK,OK, ボクたち、昔からこのスタイルね」

という事で、収録が始まりました。

↓馬に乗ったネイティブ・アメリカンのイメージ

馬上のネイティブアメリカン

ところが、馬が草原を走り出すと、インディアンのお兄ちゃん達が、馬からコロコロと転げ落ちるのです。

それも一人二人ではなく、次々と落ちてしまうではありませんか?

打撲、捻挫、骨折と現場は大混乱となり、どうにか< span style="font-size: 24px; color: rgb(132, 0, 132);">撮影を終えました。

そして聞いてみると、

「裸の馬、ご先祖さんはみんな乗っていた。
僕たち初めて。
だけどそんな事言えなーい。
これ難しいね。
インディアン嘘つかなーい」

という事でした。。。

インディアン嘘つかない?~その1

「インディアン嘘つかなーい」
というのは、西部劇では悪い白人に騙される、人の善い素朴な彼らの決まり文句でした。

最近はアメリカ映画の西部劇というものにあまりお目にかかりません。

日本のチャンバラ映画と同じで、その昔はカウボーイが活躍する西部劇大流行しました。
西部劇の大スター、ジョン・ウェインカーク・ダグラスが馬にまたがり、西部の荒野走り回る
老いも若きも、男も女もみんな揃って胸を躍らせたものでした。
ジョン・フォード監督の名作「駅馬車」

ジョン・フォード監督_駅馬車


「荒野の決闘」

荒野の決闘

の舞台となればご存知、
モニュメントバレー。↓

モニュメントバレー

メサと呼ばれる、赤土色の台地が幾つも立ち並ぶ奇景アメリカ西部でしか見られません。

↓メサ

メサ_侵食によって形成されたテーブル状の台地

西部劇で欠かせないのは、インディアン白人との戦いです。

丘の上にインディアンの大群が馬にまたがって待ち伏せをする、
と遥か彼方の山の向こうで攻撃の合図の狼煙(のろし)が上がる、
というのが西部劇のお決まりのパターンです。

ウルトラクイズモニュメントバレークイズを行った時のエピソードです。

ここは西部劇舞台ということで、現地のインディアンの子孫の方たちを何人かゲストとして招きました。
彼らは裸馬ではなく、ジープに乗ってジーパンTシャツ姿でやってきました。
そこで、ご先祖様たちと同じような扮装をしてもらいました。

ナバホ族

彼らには西部劇と同じように、クイズ開始の合図として狼煙を上げてもらおうとしたのです。

ところが狼煙は知っているが
「どうやって上げるの?」
と上げ方を知らないというのです。

そこで、スタッフが枯れ草を集めてきて、これに火を点け、その上から毛布を被せて煙を溜めこみ、頃合を見て毛布を外すと煙が大空へ向かって高々と昇っていきました。

それを見たインディアンの子孫たちは、
「スゲーッ!カッコいい。インディアン嘘つかなーい」
大喜び

狼煙の上げ方を、本場のインディアンに教えるというめったに出来ない経験をしたのでした。

↓狼煙を上げるインディアン

狼煙を上げるインディアン