イギリス人は記録好き

メリカ横断ウルトラクイズが、アメリカ大陸を突き抜けて、他の国へ行った事は何度かありました。
その最初のケースは第9回の時でした。
ニューヨークを突き抜けて、大西洋を渡りイギリスへ入国したのです。
ギリスと言えば紳士の国、人々もマナーに煩く、真面目でお堅い人ばかりという印象でロンドンの街に入ったのです。

ロンドン

かし、聞くと見るとでは大違い。
イギリス人お茶目振りには、仰天される事が実に多かったのを思い出します。
それは、ドーバーで行なわれたゲストクイズへの、登場者を見れば歴然とします。
ゲストクイズに現れた人達は、皆さん世界一の記録を持つ方々だったのです。
そういえば、世界一を集めたギネスブックが生まれたのもイギリスでしたよね。
ウルトラクイズの問題でも、問題制作者が多分最初に目をつけた参考資料がギネスブックだったように思います。

ギネスブック

も、我々はギネスブックから安易にネタを拾っても、クイズ問題として採用する事は少ない、という姿勢を打ち出していました。
ですから、問題制作者も出展を記入する欄に書き難く、出展ギネスブックというのは少なかったのですが、皆無と言うわけではありません。
たとえ出展がギネスであっても、タイムリーな話題性と、切り口が面白ければ充分問題になります。
話をイギリス人のお茶目ぶりに戻しましょう。
ゲストクイズに登場した人達の、世界一の記録は以下の通りでした。
○タイツの中にネズミを入れる世界一記録保持者。
この人の職業はネズミ捕獲業者で、パーティーで、曲に合わせてストリッパーの要領で踊りながらやったら馬鹿受けしたので、病み付きになったのだと言います。
○長靴にカスタード・クリームを入れて走るレースの世界チャンピオン。
因みに1マイルを5分42秒で走ったと自慢していました。
○1度に火の点いた25本の葉巻を銜えられる。大量の葉巻を銜えて吸う世界チャンピオン。
○その他、
鼻の頭でグリーン・ピースを転がすレースの世界一。
ビールを早飲みする。
パンを早食いする。

といったように、イギリスではそのような馬鹿馬鹿しい事を競う大会が毎年行なわれ、世界一を決めているのだそうです。
リンピックで世界一を目指す人は世界中に沢山いますが、このように何の得にもならないような、馬鹿馬鹿しいナンセンスな競技が毎年行なわれ、世界チャンピオンが誕生しているというのも、あの高貴な女王様のお国とは思えない話ですよね。
誰だって世界で1番となれば、頑張りたくなる、そんな心理を上手くまとめたのがギネスブックだったんですね。
ういえば、記録が好きなイギリス人らしいエピソードがありました。
イギリスのロケを終えて、次のロケ地フランスに向かう時です。
空港で、我々の荷物検査に延々と時間がかかったのです。
幾らなんでも時間がかかりすぎるので、その理由を調べました。
テレビの撮影機材は、カルネといって入国、出国の度に輸入、輸出をするという方式を取るのですが、普通はアトランダムに幾つかの箱を開けて、それが合っていれば検査合格という形で通過できるのです。
ころが、イギリスでは全てのケースを開けて、機材の品番と書類が合致しているかどうかを1つ1つ点検していたのです。
撮影機材は100個以上のケースに収められていて、それを全部照合しているのですから、短時間では不可能な作業です。
勤勉といえば勤勉なのですが、記録をしっかり確かめるという意味では、イギリス人の几帳面さを身をもって体験させられた出来事でした。
当然、飛行機は大幅に遅延し、他のお客様に大迷惑をかけてしまったのでした。

ゲストの第1号はアメリカ大統領?

メリカ横断ウルトラクイズは、常識を飛び越えた事を平然とやってしまうというのが、開始当時の評判でした。
それだけに、アメリカでも多少は知られた存在になって、かなり多数のゲストが出演しています。
そのゲストクイズの古い記録を振り返ってみると、この形式が最初に行なわれたのは第1回の時の、アメリカ大陸上陸最初のチェックポイントであったサンディエゴでのことでした。
の日は朝からスタッフ緊張した面持ちで準備に取り掛かっていました。
ロケ現場の周囲も何となく警戒態勢を演出しています。
確か挑戦者には出来るだけフォーマルな服装で参加するように注意が為されていた様に思います。
がて、辺りの気温に不似合いとも思える黒いスーツ姿の屈強な男達が、黒いリムジンを取り囲むように歩いて現れたのです。
ニュース映像でよく見る大統領の登場シーンと同じ光景が演出されています。
黒いスーツの男達はシークレット・サービスを演じていたのです。
番組的には、効果音楽としてアメリカ国歌が流されました。
此処まで演出されると、大統領の登場をイメージするのは当然と言えるでしょうね。
我々の計画通り、ゲストが車から降りて登場すると、挑戦者は全員が緊張の表情になりました。
司会の福留さんも緊張した声を出して、ゲストを紹介していました。
↓こんなイメージです

Secret_Service3

Secret_Service

ゲストクイズの1問、2問目までは当時のカーター大統領に関する問題でした。
そして3問目に出されたのが次の問題でした。
問)本当は私は誰でしょう?

カーター大統領。
カーターのそっくりさん。
カーターの従兄。

正解

組を観ていた方は半分は笑っていたでしょうが、挑戦者の皆さんは、見事に騙され、10人中正解はたったの3人という結果でした。
挑戦者とスタッフの戦いで、スタッフの演出が勝ったという典型的な例でしょうね。
ぜ、優秀な挑戦者達が騙されたのか、当時の状況はアメリカ大統領そっくりさんが、テレビのコマーシャルに出て話題になっていたのです。
だから視聴者の皆さんはその事を知っていましたが、実はそのコマーシャルが流れたのは、我々がロケーション中の事で、挑戦者達はそんな人が存在した事すら知らなかったのでした。
この問題も、番組を盛り上げる要素となって、視聴率を高める牽引力となったものだと思います。
スタッフが面白がって提出したクイズ案を、実現させてしまうのもこの番組の特徴と言っていいでしょう。

記憶に残る名言

メリカ横断ウルトラクイズの主役は敗者です。
これはキャッチコピーでも、
「知力、体力、時の運。敗者が主役のウルトラクイズ」
ということで、当時の視聴者には広く浸透していました。
そこで、今回は敗者に関する強烈な思い出を振り返ってみたいと思います。
の番組の名物空港でのジャンケンで敗退した人は、単純計算で50人×16回として800人となり、その都度敗者が悔し紛れの捨てセリフを叫ぶのが恒例になっていました。
その中で、特に強く印象に残ったのは第2回の時に聞いた1言です。
「仏は我を、見離したかー!」
このように絶叫したのは、袈裟姿の若いお坊さんでした。
会場が爆笑の渦になったのが、強く記憶されました。
このようなアドリブは、作家が考えてもなかなか飛び出す言葉ではありません。
お笑いの専門家、落語家ならいざ知らず、このアドリブは瞬間的に飛び出したものだったのでしょうが、優れた一言だったと思います。
い事、敗者担当のアナウンサーは徳光和夫さんでしたが、この人もアドリブの名手です。
確か第6回の成田空港の屋上で、勝者が搭乗した飛行機を見送る場面で飛び出した一言でした。
敗者を引き連れて、シュプレヒコールを先導する役目でしたが、
「お前達が、泊まるホテルの社長は蝶ネクタイをしているぞー!」

というものでした。

成田空港_敗者シュプレヒコール

の言葉が、何故悔しさを晴らす凄い強烈なパンチだったかは、現代の人には解説が必要でしょうね。
その年の2月に、赤坂の「ホテルニュージャパン」が火災となって、33人が死亡するという悲惨な事故が発生していたのです。
勿論、社会的な批難が巻き起こり、その時のホテルの社長が蝶ネクタイ姿で、度々マスコミに登場していた、という社会的な背景があったのでした。

明けましておめでとうございます

初めてのブログなので、アメリカ横断ウルトラクイズらしく行きましょう。
新年を迎えました。
1度出題された問題ですが、お正月らしくクイズスタートしましょう。
第1問

日付変更線は地球上に何本あるでしょうか?
正解

1本。
太平洋上に1本あります。
だから世界で1番早く新年を迎えるのは太平洋に浮かぶ島なのです。
その国はキリバス共和国で、世界で1番早くお正月を迎えるのです。
↓キリバス共和国

キリバリ

第2問

日本語には、普段あまり使わない『朔望』(さくぼう)という言葉がありますが、その意味は?
正解 

月の満ち欠けのことです。

ウルトラクイズらしく解説も必要でしょうね。
解説 
朔には「新月」、望には「満月」の意味があります。
この呼び方の違いは太陽の位置関係で、太陽と同じ方向にある場合は「朔」で、反対方向にあるのが「望」です。その間に上弦、下弦(半月)があって、月は1月で地球を1周すると、子供の頃、理科の時間で習ったはずです。
※月は時間(期間)の単位の基で、1ヶ月の日数を30日、もしくは31日と定め、12ヶ月を1年としたのが、暦でしたよね。
故、年の初めにこんな話を書くのかと言えば、実はウルトラクイズスタッフの多くが、毎晩のように月を眺める習慣が付いていたのでした。
と、言ってロマンチストの集まりだったからと言うわけではありません。
別に風流で眺めていたわけでなく、実は月が1ヶ月で地球を周るのを実感していたのです。
由はスタッフの多くが家庭持ちだったせいもあって、日本に残してきた家族を思い、ホームシックになっていたのでしょうね。
毎度このブログでも書いていますが、ウルトラクイズのロケーションは、約1ヶ月間に渡ります。
その間、家族と離れているわけですから、ホームシックになるのも無理はありませんでした。
最初、月の形が満月ならば、それが欠けて再び元の満月に戻るのが1月です。
出発時に眺めた形と同じ形になれば家に帰る事が出来る

と誰かが唱えたために、それが癖になったようで、夜になると空を見上げる状態が伝染して毎年繰り返すようになったのでしょう。

満月

毎年ロケの行なわれた9月から10月頃、アメリカの気候は晴れの日が多いのです。
ですから、空を見上げると月が実に美しく見えたのもこの習慣の楽しみだったように思います。
月の満ち欠けを眺めながら、

「早く来い来い元の形」

と、念じながら夜空を眺めていた頃が懐かしく思い出されます。

月日が経つのは本当に早いものですね。
どうぞ、皆さん、本年も良いお年であるように、年賀状に代えてご挨拶申し上げます。

ウルトラスタッフ_おめでとう

番組の功労者、タフな女性軍団

メリカ横断ウルトラクイズは、永年に亘って人気番組でした。
ですからマスコミでも誰が功労者なのか、いろんな人達の名前が取沙汰された事がありますが、最初からずっと関わり続けた私の目から見ると、影で番組を最も支えてくれた人達がいたのです。
れは番組の最後に出るテロップでしか解りませんが、コーディネーターとして表示されている会社の皆さんです。
コーディネーターとは、撮影現場での交渉事をはじめ、現地の動きを事前に準備する重要な仕事をこなす人達です。
々スタッフは略称でACと呼んでいましたが、ニューヨークに本社を構えるコーディネーターの会社で、スタッフの大半が女性なのです。
社長は勿論女性で、Mさんという人です。
ウルトラクイズに参加した7~8人は全員がアメリカ人の女性たちです。
中でも日本人よりも日本語を上手く話すLという女性は、日本に住んだ経験もある体格の良い女性で、力仕事でも男のスタッフが顔負けするほど大活躍をしてくれました。
国を取材するテレビ番組の場合、大抵はその国に住む日本人のコーディネーターを使うのが、テレビ業界のしきたりのようになっています。
細かい言葉のニュアンスで、誤解が生まれないようにするのには、それがベストと考えられたのでしょうね。
そのような環境にあって、全員アメリカ人のACの皆さんほど優れたスタッフはそうはいないと思います。(但し、私の知る限りですが)
↓コーディネーターの女性と

コーディネーターと

女たちの責任感の強さと、バイタリティーには驚かされる事がしばしばありました。
えば第何回だったかは忘れましたが、飛行機便のミスで、撮影用の機材を詰めたジュラルミン・ケースが数個行方不明になった事がありました。
それが見つからなければ、スケジュールの通りロケが出来ません。
これは我々スタッフにとっては大事件です。
ですが、彼女たちは近くの大都市のレンタル会社と連絡を取って、多分徹夜で車を走らせたのでしょう。
行方不明になった物と同型の撮影機材を借り受け、ロケの危機を救う、というような離れ業をなんなくこなしてしまうのです。
々このブログでも紹介したと思いますが、ウルトラクイズのロケは過酷なスケジュールの中で行われていました。
ロケの前日は夜中まで会議が続くのは珍しくありません。
その上本番当日は5時起床などというキツイスケジュールでも不平不満を聞いた事がありません。
かも、彼女たちは全員車を運転しますので、ロケハンの時などは10数時間ぶっ続けで運転をしてくれたりします。
このように、彼女達の働きを振り返りますと、頭が下がる事ばかりのような気がするのです。
それなのに番組の功労者として忘れられている様な気がしますので、今回はあえてご紹介しました。
番組のスタッフ全員がお世話になっていた、恐るべき働き者の女性軍団でした。

それでは良いお年を。

アメリカ横断!ウルトラクイズの裏話