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ロケハンはしたものの

メリカ横断ウルトラクイズのロケハンは、毎年6月頃に、およそ1ヶ月間をかけてアメリカ各地を歩き回ります。
論、事前の調査で候補地を選んで行く訳ですが、当然、本番で訪れる場所よりも多くの現場を見たり、人に会ったりします。
惜しくも本番では実現しなかったけれど、思い出の場所も沢山あります。
ージニア州のノーフォークもそういった1つです。
第14回のロケハンで、アメリカ大陸を車で西海岸からスタートして、東海岸まで横断し、辿り着いた最初の大西洋側の港町ノーフォークでした。
あまり耳慣れない地名ですが、実はここは世界最大の海軍基地なのです。
↓ノーフォーク (バージニア州)

NorfolkfromHarborTower

しろ「アメリカ統合戦力軍」「アメリカ艦隊総軍」「アメリカ海兵隊総軍」といった厳めしい名前の本部が総てこの街に置かれているのです。
軍事オタクが聞いたら、よだれが出そうな街ですよね。
それだけに軍需産業、特に軍艦を建造する造船業で発展したという歴史を持っているのだそうです。
とにかく、強いアメリカの総本山みたいな印象を持たれるのは間違いありません。
↓国立海洋センターノーティカスと戦艦ウィスコンシン

ノーティカスと戦艦ウィスコンシン

いアメリカと言えば、その言葉にピッタリの方がこの街に住んで居ました。
何と昭和30年代の初めに、力道山と共に日本中にプロレス旋風を巻き起こした鉄人ルー・テーズさんが住んでいたのです。
↓「鉄人」ルー・テーズ

ルーテーズ4

は多くのレスラーが「20世紀最強である」と語っている不世出のレスラーとして知られています。
当時は外人レスラーの多くが悪役だったのに対し、常に正統派レスラーとして日本でも多くのファンがいました。
得意技は「岩石落とし」「脳天逆落とし」と訳された事もある「バックドロップ」で、この技の元祖であるのはあまりにも有名です。
力道山との2度にわたるNWA世界ヘビー級選手権は、プロレス界の名勝負として語り継がれています。
そんなプロレスの神様みたいな方が居るのに、素通りするわけには行かないとばかり、我々は彼のプロレス道場を訪れました。
る恐る面会を求めると、な、な、なんとあの鉄人ルー・テーズさんがニコニコと満面の笑顔で出迎えてくれたではありませんか。
とてもお人好しのお爺ちゃんといった雰囲気で、大歓迎してくれたのです。
私がまだ高校生の頃、日本中を沸かせたあの鉄人が目の前に居る、と思うと夢のような話です。

ルーテーズ1

お爺さんとはいえ、頑強な体つきは変わらず、我々にサービスで技をかけてくれたのです。
ほんの冗談のつもりでしょうが、その力の強い事!
身長190cmの体力自慢のA君でも、翌日まで首が回らないほどでした。
↓技をかけられるA君

ルーテーズ3

ルーテーズ2

かも彼は我々が帰る時に、何と飛行場まで車で先導して送ってくれたのです。
そのルー・テーズさんも番組で生かす事が出来ませんでしたが、懐かしい思い出です。

彼は我々が会った12年後の2002年、多くのプロレス・ファンに惜しまれながら86歳で他界しています。合掌。

最新情報!TBSラジオでウルトラクイズ特集を放送

メリカ横断ウルトラクイズは、未だに覚えてくれている人達が結構居るようですね。
関係者としては嬉しい限りですが、それをラジオ番組で取り上げるという情報がつい最近入ってきました。
度の日曜日、10月21日(日)TBSラジオ(954kHz)です。
毎週日曜日、13:00~17:00まで4時間の生放送「爆笑問題の日曜サンデー」で、この日は全編ウルトラクイズの話になるそうです。
スタッフの皆さんがみんなこの番組を知っていて、取り上げようということになったらしいのです。
本テレビの番組をTBSで取り上げるというのは、かなりの英断だったはずですが、担当の皆さんに敬意を表します。
は、私も番組の関係者としてインタビューを受けました。
私の話が、放送されるのは14時台と聞きましたので、思い出したらラジオのスイッチを入れてくださると有難いです。
の他にも、番組に関係したスタッフの他、司会の福留氏も生で出演する予定ですので、当時の知られざるエピソードが語られることでしょう。
あ、今になってウルトラクイズが取り上げられるというのも、テレビにも良い時代があったなあ、という郷愁かもしれません。
なにしろあれほど莫大な費用をかけ、常識外れの馬鹿馬鹿しい事に、大真面目で挑戦し、参加者も視聴者もみんなで熱狂した? ちょっと手前味噌かもしれませんが、本当に良き時代の産物でした。
↓87年ニューヨークで決勝戦が終わった後の記念撮影。

ウルトラクイズ_スタッフ_NY決勝の後

こんなに沢山のスタッフが番組を支えていたのです。
背景に9・11で消えたツインタワービルが写っているのも懐かしいです。

特別待遇の「鞄」

メリカ横断ウルトラクイズは毎年何万キロもの旅をします。
以前も書きましたが、撮影のための機材や美術のセットなどを入れた大、中のジェラルミンのケースが、120個~130個
それにスタッフの私物のスーツ・ケースが70~80個と膨大な量の荷物が飛行機やバスに載せられて移動します。
ういった荷物の中で1つだけ、絶対に手元から離せないケースがありました。
飛行機の中でも、バスの中でも必ず手元に置いて、絶対に荷物として預ける事はしません。
ホテルに着いても真っ先にこの鞄が部屋に運ばれ、それから荷物運びなどの作業にかかるのです。
↓問題担当チーム

ウルトラ_問題チーム

真の3人はクイズ問題を担当する放送作家ですが、左のH君が腰掛けているジェラルミンのボックス型の鞄がそれです。(因みに中が私、右がO君)

問題ケース

鞄の中には番組で使う全てのクイズ問題の原本が収められているのです。
ならパソコンにデータを入れておけば済む話でしょうが、当時はそんな便利なものはありませんでした。
従って、若しこの鞄が途中で紛失してしまうと、クイズの旅が出来なくなってしまうのです。
それこそクイズ問題を担当する私達にとっては、命よりも大切な鞄だったというわけです。
リバートン製のZEROの鞄ですが、なぜZEROかというと頑丈にして、例えば海に落ちても水が沁み込まないという神話から、この鞄が選ばれました。 
また、この鞄は他のスタッフが勝手に蓋を開けることが出来ないように、ロックされています。
真でもお判りのように、H君が何気なく腰掛けているようですが、実は番犬のように、リハーサルの間も手元から離さないように守っているのです。
そして中には1万問を越える問題が詰め込まれていました。
故そんなに沢山の問題が入っているの?
と不思議に思われるでしょうが、実は放送されるのはほんの一部分で、実際のロケでは誰も答えられずに、延々と問題が読み上げられる事があるのです。
どい時には、10問15問と誰も答えずにだんまりが続く事もありました。
しかも、1回読み上げられた問題は、2度と日の目を見ることがありません。
まり、挑戦者がお手付きを恐れて、慎重になり過ぎると起こる現象で、問題を作成する人間の立場からすると、涙が出るくらいもったいない話だったのです。
故ならば、前にも書きましたが、作られた問題に誤りが無いか、2重3重の調査が行われ、それで「大丈夫」となったところで初めて採用となります。
実に何人ものチェックマンが足を使い、時間をかけて完成させるわけで、それが一瞬の内に消えてしまうのですから、悲しくなります。
それほど、クイズ問題は大切な財産であり、だからこそ旅の間中、絶対に手元から離れる事が無かった特別待遇の荷物だったのでした。

TVスターが大量にゲスト出演

メリカ横断ウルトラクイズのモットーは豪華さ大袈裟
それを実行するには、恐れを知らぬ非常識さにあります。
つまり、常識的に考えて「そんなの無理だよ」というアイディアこそ大切にして、果敢に挑戦する事こそ、ウルトラ精神の真髄なのです。
9回ロスアンゼルスが象徴される場面だったと思います。
会場となったのは、映画の都ハリウッドユニバーサル・スタジオです。
となれば、誰でも知っている有名スターをゲストに迎えたくなるのが人情というものでしょう。
かし、ハリウッド有名スターともなれば、一人の出演料だけでも番組予算がぶっ飛んでしまうかも知れません。
そこで目を付けたのが、少しは閑になっているであろうと勝手に想像する、懐かしのスター達でした。
レビが日本に普及し始めた昭和30年代から40年代にかけて、お父さんやお母さんが若かりし頃、日本中のお茶の間を沸かせたテレビ番組がありました。
その主人公たちを一同に集めようというものでした。
れを知らぬ我々は思いつくままに、当時のスーパー・スターの名前を挙げ、次々と出演交渉をしてみたのです。
すると何と皆さん気持ちよくOKの返事が来たのです。
その顔ぶれは
「ララミー牧場」のジェス役で30年代のスーパー・スターだったロバート・フラー
彼が来日した時には、羽田空港が黒山のファンで交通マヒを起こし、大阪の御堂筋では30万人のファンが集まってパニックになったほどです。

ロバート・フラー

「サーフサイド6」「ハワイアン・アイ」のテレビ・シリーズの他、映画「恋愛専科」トロイ・ドナヒュー
当時は甘い2枚目スターとしてアラン・ドロンと人気を2分したほどの世界的なスターでした。

トロイ・ドナヒュー

「名犬ラッシー」のティミー少年役のジョン・プロボスト

ジョン・プロボスト

「サンセット77」のクーキー役だったエド・バーンズ
当時は不良っぽい彼の役柄が女子高生やOLに大人気で、彼をテーマにした歌まで作られたほどです。

エド・バーンズ

「ライフルマン」の主役、チャック・コナーズ
愛用のライフルで毎週悪漢を退治する痛快西部劇は、高視聴率を上げていました。

チャック・コナーズ

れらのゲストが、クイズ会場にズラリと勢揃いした時には、スタッフはみんな仕事を忘れて、感激したものです。
だって、スタッフのほとんどが若かりし頃、夢中になって毎週テレビにかじり付いていたのですから、無理もありません。
彼らは日本のスターと違って、偉ぶる気配は全く無くて誰にでもフランクに話しかけてきたりします。
また、アメリカ人らしくジョークも好きで、周りを笑わせてくれました。
んな中で今でも良く覚えているのは、トロイ・ドナヒューのこんな自己紹介でした。
「私は最近バイクに夢中になっています。日本人の皆さんはご存じないでしょうが、私が乗っているのはホンダというメーカーのバイクです」
これにはスタッフ一堂爆笑となりました。
た、我々はスターの皆さんと握手をしましたが、ライフルマンチャック・コナーズだけは、事前に「誰とも握手だけは遠慮したい」との申し込みがありました。
その理由は、何と「エイズが怖いので…」との事でした。
その頃は、エイズの記事が毎日新聞をにぎわせていた時代だったのです。
とにかく、こうした面々を集めて行ったのが
「懐かしのTVスター・ハリウッド版あの人は今、三択クイズ」

というもので、当時のスターたちの裏話を紹介したものでした。
思えば、昭和30~40年代は現在のように海外のTVドラマが日本でも盛んに放送されていたように思います。
「歴史は繰り返す」といいますが、TV番組もそれに当てはまることがあるようですね。
昔ヒットした番組を、現代風にアレンジして復活させる、という流れがあるようです。
アメリカ横断ウルトラクイズも、また是非復活させて欲しいものです。

若く見られる日本人

メリカ横断ウルトラクイズの移動は、ほとんどの場合で飛行機が使われます。
撮影機材を詰め込んだ大小のジェラルミン・のケースが120個~130個
その他にスタッフ出場者のスーツ・ケースが人数分あるわけですから、相当の量になります。
の荷物をホテルから車に積み込む作業、空港では車から降ろして、航空会社の受付まで運ぶ作業。
その都度、種目別に数量の確認が行われます。
これらの作業を全て、スタッフ総出で行うのです。
しかも、こうした作業を行う時には全員がお揃いのウルトラクイズのロゴが入ったキャップに同じくロゴ入りのウインド・ブレーカーを着用しています。
これは、作業中に部外者が紛れ込まないように、という予防策でもありました。

↓ド派手なショッキングピンクのウインドブレーカー

ウルトラスタッフ_お揃いジャンパー

↓ウルトラクイズのロゴ入りキャップ(既出画像)

ウルトラスタッフ帽子

おそらく普通の旅行者から見たら、異様な集団に見えるのでしょうね。
「キミたちは何者なの?」
とよく訊ねられます。
ういう中で一番間違えられたのが、野球チームの遠征でした。
中でも笑ってしまうのは、リトルリーグと間違われた事です。
「そうそう。我々はリトルリ-グのオールジャパンだよ」
ジョークで返事をしたつもりですが、
「試合は何処であるの?」
と真に受けられて困った事がありました。
かにアメリカ人から見れば、多少身体は小さいかも知れませんが、若いスタッフ少年に間違われてしまうのです。
んな事もありました。
私がスーパーで食料を買っていると、若いスタッフが酒の瓶を何本も抱えてやってきて、
「これも一緒に買ってください」
というのです。
「なんで?」
「実は俺たちが買おうとしたら、IDカードを見せろ。子供には酒は売らない、だって」
の子なら若く見られて嬉しいでしょうが、髭を生やしたいい大人が子供扱いされるのは、ちょっと情けない話でした。