インディアン嘘つかない?~その2

あれは第11回でのお話。
ワイオミング州といえばアメリカの中の偉大なる田舎
↓ワイオミングのイメージ画像

ワイオミング

多くの人々は農業牧畜業に従事し、みんな素朴で明るく善い人ばかり。

そういえば昔のテレビ映画で「ワイオミングの兄弟」という人間愛を描いた素晴らしい作品がありました。

↓ワイオミングの兄妹

そのワイオミングに、スピルバーグの名作「未知との遭遇」ラストシーンを覚えている方は思い出してください。

↓スティーブン・スピルバーグ監督「未知との遭遇」

未知との遭遇_スティーヴン・スピルバーグ

↓「未知との遭遇」ラストシーン

未知との遭遇_デビルズタワー

奇怪な形をした岩山、そうです。

人類宇宙人が接近遭遇するあの舞台となった山です。

あまりに不気味な形をしているところから、アメリカ人はこれをデビルスタワー(悪魔の塔)と名付けたのです。

↓Devils Tower(デビルスタワー)

デビルズタワー

ここでウルトラクイズ「ばら撒きクイズ」をする事にしました。
「ばら撒きクイズ」とは問題の入った封筒を上空からばらまき、挑戦者はそれを拾って司会者のところまで持ってくる。中には問題が入っていないハズレもある。
となれば、ばら撒くのは空飛ぶ円盤(UFO)に乗った宇宙人が最適でしょう。

そこで宇宙人出演交渉をしたのですが、彼らはガメつくてギャラが折り合わず。。。(ウソです)

あまりにお決まりすぎるパターンという事もあって、この案はNG
そこで、今回は上空からではなく、ご当地のインディアンの皆さんにクイズ問題ばら撒いてもらう事にしました。

彼らに交渉すると

「ハイハイ、馬を走らせ、クイズ問題ばら撒く。問題なーい。馬、モチロン沢山いるね。まかせる。OKよ」

という事で気持ちよく了承してもらったのです。

そして当日、彼らは西部劇戦士のスタイルで、ずらりと勢ぞろいしてくれました。

彼らは西部劇と同じように、馬には鞍を付けず裸の馬に跨っています。

「鞍が無くて落馬しませんか?」

心配したスタッフが声をかけると

「OK,OK, ボクたち、昔からこのスタイルね」

という事で、収録が始まりました。

↓馬に乗ったネイティブ・アメリカンのイメージ

馬上のネイティブアメリカン

ところが、馬が草原を走り出すと、インディアンのお兄ちゃん達が、馬からコロコロと転げ落ちるのです。

それも一人二人ではなく、次々と落ちてしまうではありませんか?

打撲、捻挫、骨折と現場は大混乱となり、どうにか< span style="font-size: 24px; color: rgb(132, 0, 132);">撮影を終えました。

そして聞いてみると、

「裸の馬、ご先祖さんはみんな乗っていた。
僕たち初めて。
だけどそんな事言えなーい。
これ難しいね。
インディアン嘘つかなーい」

という事でした。。。

インディアン嘘つかない?~その1

「インディアン嘘つかなーい」
というのは、西部劇では悪い白人に騙される、人の善い素朴な彼らの決まり文句でした。

最近はアメリカ映画の西部劇というものにあまりお目にかかりません。

日本のチャンバラ映画と同じで、その昔はカウボーイが活躍する西部劇大流行しました。
西部劇の大スター、ジョン・ウェインカーク・ダグラスが馬にまたがり、西部の荒野走り回る
老いも若きも、男も女もみんな揃って胸を躍らせたものでした。
ジョン・フォード監督の名作「駅馬車」

ジョン・フォード監督_駅馬車


「荒野の決闘」

荒野の決闘

の舞台となればご存知、
モニュメントバレー。↓

モニュメントバレー

メサと呼ばれる、赤土色の台地が幾つも立ち並ぶ奇景アメリカ西部でしか見られません。

↓メサ

メサ_侵食によって形成されたテーブル状の台地

西部劇で欠かせないのは、インディアン白人との戦いです。

丘の上にインディアンの大群が馬にまたがって待ち伏せをする、
と遥か彼方の山の向こうで攻撃の合図の狼煙(のろし)が上がる、
というのが西部劇のお決まりのパターンです。

ウルトラクイズモニュメントバレークイズを行った時のエピソードです。

ここは西部劇舞台ということで、現地のインディアンの子孫の方たちを何人かゲストとして招きました。
彼らは裸馬ではなく、ジープに乗ってジーパンTシャツ姿でやってきました。
そこで、ご先祖様たちと同じような扮装をしてもらいました。

ナバホ族

彼らには西部劇と同じように、クイズ開始の合図として狼煙を上げてもらおうとしたのです。

ところが狼煙は知っているが
「どうやって上げるの?」
と上げ方を知らないというのです。

そこで、スタッフが枯れ草を集めてきて、これに火を点け、その上から毛布を被せて煙を溜めこみ、頃合を見て毛布を外すと煙が大空へ向かって高々と昇っていきました。

それを見たインディアンの子孫たちは、
「スゲーッ!カッコいい。インディアン嘘つかなーい」
大喜び

狼煙の上げ方を、本場のインディアンに教えるというめったに出来ない経験をしたのでした。

↓狼煙を上げるインディアン

狼煙を上げるインディアン

恐怖の罰ゲーム、傑作集

ウルトラ名物罰ゲーム
毎年あの手この手で、敗者忘れられない思い出プレゼントしているが、その中でも私が個人的に傑作と思っているものを時々紹介してみたいと思います。
あれは第6回のダラスでの罰ゲーム
アメリカの歴史的犯罪者にボニー&クライドという男女の凶悪二人組がいたのをご存知でしょうか?

念のために説明すると、この2人は1930年代にアメリカの中西部を舞台に、カフェや銀行、ガソリンスタンドなどを襲っては、銃を乱射しながら暴れまくったアベック強盗なのです。

実際に罪もない人を13人も殺しているのですから、大悪党と言えましょう。
彼らをモデルに「俺たちに明日はない」という映画が世界的にヒットしました。

↓BONNIE&CLYDE 邦題「俺たちに明日はない」

BONNIE&amp;CLYDE_俺たちに明日はない

当時は今ほど海外旅行もポピュラーではなかったので、情報も少なく、敗者もアメリカは怖い所というイメージは持っていたはずです。
さて、敗者に与えられた罰ゲームは、広大な原野のど真ん中で放り出され、ヒッチハイクダラス空港まで帰れ、というものでした。
彼は道路に立って、親指を上に向け、ヒッチハイクのポーズをとりますが、中々止まってくれる車はありません。

やがて運よく、若い男女の乗ったバンが通りかかり、彼を乗せてくれました。
最初は機嫌よく敗者に話しかける男女。
ところがしばらく走ると、前方にパトカーが止まっていて、この車に停車するように合図しています。

と、それまでにこやかだった男女がいきなり、ダッシュボードからピストルを取り出し、彼におとなしくしていろ!と命じ、パトカーの制止を振り切って逃走したのです。

驚く敗者を尻目に、逃げる車と追うパトカーのカーチェイスが始まりました。
逃げる男女はボニー&クライドばりの凶悪犯、という設定なのです。

やがて、パトカーに行く手を阻まれて停車するや、警察官が拳銃を突きつけて二人の男女を逮捕します。
訳の解らぬ敗者は、車内で呆然自失
と、その時警官が「お前も降りろ!」と怒鳴り拳銃を突きつけ、手錠をガチャリとかけたのでした。

↓アメリカ警察のホールドアップのイメージ

hold_upのイメージ

即ち、アベック強盗の共犯者であろうという疑いです。
あまりの出来事に、気の毒な敗者は、腰を抜かして道路にぺたりと座り込んでしまったのです。

実は、このバンはスタッフが前の晩に徹夜で作り上げた改造車だったのです。
座席の後ろにマジック・ミラーが張られていて、カメラマンが車内の様子をしっかり隠し撮りしていたのです。
勿論、アベックの男女も警察官も全部仕込みなのは言うまでもありません。
いわゆる「ドッキリ」というやつです。

しかも、面白いのは、この警察官もパトカーもダラスの本物のお巡りさん達だったのです。
彼らは休日に楽しんで協力してくれたのです。

しかも、「パトカーは何台必要なの?」

とこのお芝居に大乗り気で、参加してくれたのでした。

↓ダラス警察のパトカー

DALLAS_POLICE

日本ではとても考えられないお役所の協力体制に、本当にびっくりしました。

地球のテッペンってどんな所?

地球は丸くて、南北の軸を中心にグルグル回転しているわけですから、当然この球形のテッペンがあるわけです。
そこを北極点といいますよね。
そのテッペンに最も近い場所にある町がアラスカ州バローというところです。
$今だから話せるウルトラクイズ裏話-アラスカ州バロー
勿論、電車はおろか路線バスでも行けません。
遥か彼方の辺鄙な淋しい、この場所に行くには飛行機しかないのです。
そこに住んでいるのはイヌイットと呼ばれる人たちです。
顔は日本人に良く似ていて、特にお年寄りの中には田舎のお爺ちゃんにソックリ、なんて人もいたりして、ついつい笑顔で話しかけてしまいたくなりそうです。
ウルトラクイズ第12回では、こんな地の果てまで、ぞろぞろと出掛けて行ったのです。
その時に体験した、お話を幾つかしてみたいと思います。
私達が最初にロケハン(撮影前の下見)で訪れたのは、7月の事です。
アラスカ州のアンカッレジから国内線の中型機で飛び立ちました。
飛行機の窓から下の景色を見ていると、山や森の木がだんだんと消えてなくなり、湿地帯のような荒野に変わってきます。
夏の事ですから、白い雪は見えませんが、褐色の地面や水辺の水の色がキラキラと太陽の光を反射させ、お伽の世界に迷い込んだような不思議な風景が延々と続き、やがてバローの空港に到着しました。
太陽は頭上で眩しく輝いています。
空港の建物を出て、町を車で走り回るのですが、何となく殺風景なのは街に街路樹が1本も見当たらないのです。
↓Barrow beach
$今だから話せるウルトラクイズ裏話-Barrow_beach
それもそのはず、冬はあまりの寒さで、樹木が生育しないのだそうです。
我々はクイズ会場に相応しい場所を探すのですが、時間を忘れて時計を見たら、何と午後11時ではありませんか。
「ええっ!もう夜中だぞ」と仰天。
それもそのはず、白夜の季節なので、夜だというのに暗くならなかったので、時間を忘れてしまったのです。
そんなこんなで、ホテルにチェックインしたのが、夜中の事。
そして部屋に入って、窓から外を眺めると、公園の広場が見え、自転車で子供達が遊んでいます。
時間を確認すると、真夜中の2時です。
一体この国では、子供の教育はどうなってるんだ?
と叫びたいけれど、それは大きなお世話です。
そこで、こうなったら白夜の太陽はどのように西に沈んで、どうやって東の空から上がってくるのかを確かめてみたくなりました。
窓から徹夜で観測していると、太陽は西の地平線に沈む一寸手前でストップし、やがて横滑りの状態でだんだんと横へ横へとスライドして、昇り始めます。
つまり、上り始めた方向が東だったわけです。
↓バローの白夜
$今だから話せるウルトラクイズ裏話-バローの白夜
太陽が沈まない街、バロー。
ここは1988年に鯨が2頭、流氷の中に閉じこめられ、その救出作戦が米ソ協力の下に行われ、連日テレビのニュースで報じられたのでご存知の方も多いと思います。
このクジラ救出の話は後に「誰もがクジラを愛してる。」という映画にもなりました。
↓映画「誰もがクジラを愛してる。」
$今だから話せるウルトラクイズ裏話-誰もがクジラを愛してる
この地の人は、人間も動物も、いつも厳しい自然と戦いながら、生きています。
白夜があれば、その反対で暗黒夜といって、夜ばかりの季節もあるのです。
現地の人に訊ねたところ、夜ばかりといっても午前6時か7時には起きて、狩りに出たりするそうです。
そして、夜は8時間くらいは睡眠をとるという生活をしているのだそうですよ。
ロケは9月に行われましたが、すでに日照時間は短く、空港に着くと外は吹雪でした。
ところが、現地のスタッフはみんな半そでのTシャツ姿なのでびっくり。
聞けば
雪が降るのは暖かいから。本当の真冬こんなもんじゃないよと笑っていました。
地球には、ほんとに色んな人が住んでいるもんですね。
・・・今回はここまでにしておきます。

最初はたったの404名

毎年10万人以上の応募があり、5万人もの人が東京ドームに集まって来たクイズの祭典「ウルトラクイズ」

でもね、記念すべき1977年の第一回大会の時は・・・

集まったのは、たったの404名でした。

彼らはパスポートを胸に、王選手の世界記録756号のホームランで沸いた後楽園球場の1塁側スタンドに集まってきました。

↓756号ホームランを打った王貞治選手
今だから話せるウルトラクイズ裏話-王貞治756号ホームラン

まだ、予算もなく、番組のためだけに球場を借りる事はできませんでした。

そこで、ジャイアンツの試合が始まる前、少しだけスタンドを借りて撮影が始まったのです。

球場ではジャイアンツの選手が試合前の練習をしていて、

「今日は何がはじまるの?」

と声をかけてくるような、そんな長閑(のどか)なスタートでした。

そして記念すべき第一問

「上野動物園のパンダ夫婦の名はリンリンとランランである、○か×か」

というものでした。

今なら携帯やスマホでインターネットにつないで、アッという間に正解を探す事が出来ますが、その頃は携帯もなく、知識がなければそれまでです。

因みにこの問題は×が正解で、パンダ夫婦の名前はカンカンランランが正解です。

↓はじめて日本にやってきたジャイアント・パンダ カンカンとランラン
今だから話せるウルトラクイズ裏話-ランランとカンカン

だけど、その頃リンリンランランという双子姉妹の人気アイドルがいて、彼女たちが歌うCMソングでよくテレビから「リンリン、ランラン…」という歌声が流れていたので、勘違いした人もいたのでした。

↓香港からやってきた双子デュオ リンリンとランラン
今だから話せるウルトラクイズ裏話-双子デュオ リンリン・ランラン

北海道や沖縄から、交通費自腹でやってきて、この1問を間違えて帰った人もいたわけですから、罪な番組と言えないこともありません。

でも、それを承知でみんなフィーバーしたんですから、日本もとても平和な時代だったんですね。

この時は、404名中80人が第一次予選を通過して、羽田空港に駒を進めました。

という事は、5人に1人が予選を通過したわけですから、ムチャクチャ確立が高いですよね。

このブログを読んでくださっている方の中には、東京ドームまでやって来て、あの5万人の中でクイズに挑戦した方もいると思うのです。

あれを勝ち抜いて、成田まで駒を進めるのが、どんなに大変だったかを思い起こすと、最初の頃はホントに甘かったんですよ。