苦しいほど楽しい思い出

アメリカ横断ウルトラクイズの思い出を書いていますが、現在スカパーの「ファミリー劇場」で、第13回の再放送が放映中です。

久しぶりに番組を見ると、忘れていたような出来事が新たな思い出となって、次々と頭の中によみがえってきました。

当時のスタッフや挑戦者がゲスト出演して「今だから話せる裏話」も放送されていますが、彼らも苦しかった当時の思い出を、楽しそうに語っていました。

例えば、夜中にぐっすり眠っているところを、突然叩き起こされてクイズが行われ、「成績発表は翌日に空港で!」といった形式まで登場。

その後、福留アナに「ゆっくりお休みなさい」などという言葉を掛けられても、心配で眠る事など出来る筈が有りません。

番組では、挑戦者が気の毒なほど苦労をさせられていて、ロケ中に良く反乱が起きなかったと思うくらいでした。

でも、当時の視聴者はそんなイジメにも似た苦労を笑って見ていたお蔭で視聴率が稼げ、長寿番組になっていたのです。

挑戦者の皆さんも、そんな苦労を「人生最大の思い出!」と笑って語ってくれていますので、人間の心理は面白いと実感しています。

さて、忘れていたエピソードですが、オーストライアまで行きながら、有名なエアーズロックのクイズが無かった事に気が付いた方も多かったと思います。

Ayers Rock Under a Blue Sky

折角、オーストラリアまで足を伸ばしながら「エアーズロック」が無い、これは画竜点睛を欠くと言われるかもしれません。

実はロケハンでは、パースから自家用機をチャーターしてエアーズロックまで足を延ばしているのです。

でも、この地を背景にして「さすがー!」と言えるようなクイズ形式が発明出来なかったのです。

既成の定番、「大声クイズ」「ばら撒きクイズ」という案も出ましたが、手抜きの印象は免れません。

そこで残念ながら世界一巨大な石の塊、エアーズロックのクイズは幻となって実現しなかったのです。

でも、この石と1、2を競う大きな石、アトランタのストーン・マウンテン公園ではその3年後、第16回にクイズが行われました。

場所に合わせたクイズ形式、これが理想ですが、アイディアが煮詰まって浮かんで来ない、私にはこれも当時の苦しい思い出です。

今でも時々夢に見る入試に苦しんだ学生時代に似ています。

 

 

マグロ大量死の謎?

 

アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題には各分野のクイズ問題が大量に出題されていました。

最近のニュースで東京の葛西臨海水族園で、マグロが大量死するという謎の多い出来事が有りました。

この公園では昨年の11月現在、大きな水槽にクロマグロが69匹、その他、ハガツオ、マスなどの回遊魚が160匹も泳いでいて、その壮観な眺めが人気になっていました。

ところが今年に入ってから、魚たちが次々と死亡して減って行ったのです。原因が不明のため、ストレス説、ウイルス説などが飛び出し、専門家も調査を開始しました。

2月12日現在、魚たちはほとんど姿を消し、マグロはたったの3匹にまで減ってしまったのです。

中には11月に「スマ」と呼ばれる回遊魚を30匹余り、同じ水槽で飼育を始めたため、この魚がウイルスに感染しており、それが原因という説も囁かれていますが、未だ真相は不明です。

マグロの大量死で、マグロの生態が報道されており、それによればマグロは生涯休むことなく泳ぎ続けるので、水槽のガラスにぶつかり死亡したのでは? という説まで飛び出しました。

IMG_05781[1]

そういえばウルトラクイズでもそんな問題があったのを思い出しました。第10回のグアムで「突撃○×泥んこクイズ」での事です。

問・マグロは一時も休むことなく泳ぎ続ける。

答・○

解説  動物の生態には意外性のあるものが多いのですが、マグロも生まれてから死ぬまで、休むことなく泳ぎ続ける動物なのですね。

呼吸と体制を保つために、生涯休む事が無いとの説明文が有りました。同じような魚は他にも何種類もあるようで、人間の感覚ではストレスもたまりそうですね。

「マグロって一生眠らないんだぜ!」 そんな話のネタになるような話題を見つけてクイズ問題を作る。当時のクイズ作家も眠れない毎日でした。

日本の昔話から

 

アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題には、我々が子供の頃に聞かされた「昔話」から題材を取ったクイズ問題が沢山ありました。

テレビの視聴者が老若男女という事を考えれば、日本人なら誰でも知っている知識の範疇ですから、これは問題を作るのには恰好の分野と言えます。

と言えども、あまりに簡単な問題では視聴者も回答者も満足してくれません。誰もが知っているようで、知識の盲点を突いた問題が良い問題と言えるでしょう。

最近放送されているCMで、桃太郎、金太郎、浦島太郎などが登場し架空の会話を楽しんでいるものが有りますが、興味を惹く点で考えれば納得の行くアイディアと言えるかもしれません。

昔話の盲点を突いた問題としては、第16回のグアムで次のような問題がありました。

問・浦島太郎が玉手箱を開けて、お爺さんになった後に変身した鳥は何?

答・鶴

解説  浦島太郎がお爺さんになった、ここまでは小学生でもみんな知っている常識中の常識です。

うらしまたろう

でも、浦島太郎が「鶴」に変身したというのは、「御伽草子」にまで進まないと知らない知識でしょう。

御伽草子は室町時代から江戸時代にかけて日本各地に伝わる短編物語を集めたもので、300編以上の話が収められています。

各地に伝わる伝説といえば、出典は判明しない事も多く、諸説ある場合も当然有りえます。

その中に書かれている話で、「お爺さんとなった太郎はその後乙姫さんと再会し、末永く暮らした」という説があるそうです。その節では浦島太郎は「鶴」で乙姫さんは「亀」であると伝えられています。

日本で、昔から鶴と亀が縁起物と言われるのは、浦島太郎と乙姫様の「鶴亀説」が有力であると考えられているようです。

浦島伝説は丹後半島の他、日本各地に数多くの伝説があって、そうした中で語り継がれてきた日本人の財産かも知れません。

これからは鶴を見る目が、ちょっと変わるかも知れませんね。

諺に登場する職業

アメリカ横断ウルトラクイズの問題には、良く諺を扱ったクイズがありました。諺は知識の基礎になるものも多いので、クイズ問題の定番といって良いかもしれません。

とは言え、単に諺の意味を問うだけでは、小中学校の国語の試験のようでクイズとしての面白さが見られません。

我々はその様な単純な問題は「教科書問題」という括りで、会議で不採用にしていました。

諺を中心に、その周辺を探って、何か面白そうな疑問を見つけ、クイズ問題に仕上げるというのが一般的な作業でした。

諺は古い日本人の生活の中から生まれたものが多いので、若い人には理解できない言葉が出てきたりします。

例えば「紺屋の白袴」という諺があります。文字で見れば「紺屋」という漢字から何かの職業とは想像も出来ますが、言葉で「こうや」といわれても瞬間的に何を商う職業か思いつかない人も居るでしょう。

こうした盲点を探してクイズ問題を作っていました。

第7回のボストンで出題された問題です。

紺屋の白袴。紺屋って何屋さん?

答・染め物屋

000140211[1]

解説  昭和の時代までは、何処の街にも染物屋さんが看板を挙げていました。しかし、時代が変わって、今では街中で染物屋さんを探すのも難しいでしょう。

時代と共に消えて行く職業は多いのでしょうが、染物屋さんも残念ながらその中に含まれているようです。

この諺の周囲には同じような意味で、「医者の不養生」という諺が有り、類似語としてバラエティー番組のクイズ問題で出題されたのを見た事が有ります。

染物屋さんが街から消えたのと同じで、この諺もやがて死語となって行く運命かも知れません。

昔の言葉には味わいが有りますが、でも、それらも時代と共に死語になって行く、時の流れかも知れませんね。

火星人の生みの親は?

アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題を振り返ってみると、時には面白い事を知らせてくれる問題があります。

クイズですから世の中の森羅万象が問題の範疇ですが、それにしても普段あまり考えた事も無いような知識を問題にする事があります。

今ではSF(サイエンスフィクションという言葉は小学生でも知っている常識になっていますが、では、火星人というものを世界で初めて生み出した人は誰? と聞かれると中々即答できません。

火星人のイメージは世界共通であり、漫画でもお馴染のタコに似た姿をしています。

では、この様な姿の火星人を最初に生み出したのは一体何処の誰なのでしょうか?

これが第6回、ワシントンの準決勝で出題されていました。

SFの祖と呼ばれ、透明人間やタコに似た火星人を創作した作家は?

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答・H・G・ウェルズ

解説  H・G・ウェルズ(1866~1946)はイギリスの文明批評家でした。彼は小説家としても人気作家となって、SF小説のジャンルを確立した人物としても知られています。

「透明人間」は1897年の作。翌年に発表された「宇宙戦争」では、火星人が登場し、あのタコのお化けのような姿が描かれました。

今ではSF小説というジャンルがしっかりと定着し、数多くの作品が本屋さんの棚に並んでいますが、これにも元祖と呼ばれる人がいたのですね。

UFOや宇宙人が居る、居ない、はテレビで良く討議され人気がありますが、こうした夢を語る番組がテレビの世界で生まれたのも、元を辿れば、このウェルズさんのお蔭だったのです。