異常気象に思う事

アメリカ横断ウルトラ・クイズのロケーションを振り返って見ると、天候不順で悩まされた思い出はあまりありません。

今年の日本の気候を見ると、4月に入ってから東京で雪がぱらついたり、極端な寒さが訪れたり、着る物に毎日神経を使うような異常気象ですね。

ウルトラクイズの撮影のように長期間ロケをする場合、一番神経を使うのは天候の事です。

大勢の挑戦者とスタッフが団体で移動するロケですから天候によって中止するような事は出来ません。

例え、雨が降ろうが槍が降ろうが、予定の通り撮影をして、次の場所に移動しなければならないという過酷な条件が付いていたのです。

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ですから我々は最初から雨の少ない季節を選んでロケのスケジュールを組んでいました。

それだけでは安心できないので、アメリカ大陸の中でも雨の少ない地方を選んでコースを組むという作業も怠りませんでした。

アメリカには、雨の少ない地方という物が存在するのですね。

第12回のラスベガスで、天候関連の問題が出されています。

・ノースカロライナからカリフォルニアに至る、北緯37度より南の15州を、太陽が降り注ぐことから何地帯という?

答・サン・ベルト地帯

解説 アメリカ合衆国の南部、ほぼ北緯37度以南の地域を日照時間が長い事からこの様に呼んでいます。

ノースカロライナ、ジョージア、フロリダ、テキサス、テネシーなど15の州がこれにあたり、農業などの産業が盛んです。

天気と陽気が良いので棲み易いという事もあって、他の州から移り住む人も増えているようです。

アメリカではこれに対比する州は5大湖周辺の北の地方で、スノーベルト、フロスベルトなどと呼ばれており産業の分布も変わって来るのですね。

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我々は番組の開始当初から、これらの天候の条件を細かく調査してロケのコースを決めていたので、雨に悩まされる事は少なかったのです。

備えあれば愁い無し、とはいえ雨に全く悩まされなかったという訳では有りませんでした。

動物保護運動

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返って見ると、時代の動きが手に取るように解る事があります。

何時の時代も、人間は自分たちの生活を守るために競争相手と戦って国を守ってきました。

しかし、近代では戦争を防ぎ、平和的に問題を解決しようと世界中が動いていますが、それも中々難しいようで、あちこちで戦いが勃発しています。

それはさて置き、世界中が同じ意見で協力している物に環境保全が有りますね。

地球を住みやすい環境にしたいという思いは万国共通で,そのため1980 年に世界環境保全戦略が提起されました。

簡単に言えば、人間が自然界と調和し、幸せに生き延びましょう、という提案です。それには植物や動物を含め大切にしようという論理ですね。

世界遺産、動物保護、大気汚染といった会議が世界規模で進んでいます。

各分野でクイズ問題になりそうなニュースは度々登場しますが、この運動のきっかけになったような出来事がありました。

第10回のロスアンゼルスで出題されています。

問・世界的なベストセラーで映画にもなった「野生のエルザ」。さて、エルザってどんな動物?

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答・ライオン

解説・映画を観た方ならば簡単に正解出来る問題です。しかし、それ以外の人は想像を巡らせて、動物の名前を探さなければなりません。

元々この物語はジョイ・アダムソンというノンフィクション作家の作品で、ペットとして飼っていたライオンを野生に帰すための努力を感動的に描いたものでした。

ペットとして飼っていても、それが大きく育ち過ぎて、困った飼い主が「鰐」を池に放棄したというようなニュースが度々登場します。

無責任な飼い主は、犬や猫のように身近な動物にもあるようで、そうしたニュースに接する度に心を痛める人も多いことでしょう。

ペット好きは年々増える傾向のようですが、飼うなら最後まで責任を持ってくれよ」とペット達が言っているようですよね。

 

日本語は難しい

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題には「日本語」という分類があって、言葉の使い方の過ちなどを問題として、出題した事がありました。

最近のテレビ番組を見ると、正しい日本語を教えるという目的のコーナーがアチコチで見られます。

日本人が正しい日本語を使うのは当たり前の事ですが、しかし誤解して覚えてしまった言葉を改めるという作業は中々難しいようです。

近頃の様に、外国人旅行者がテレビのインタビューに流暢な日本語で答えている姿を見ると「凄いなー」と驚いてしまいます。

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日本語は我々日本人でも時々間違った使い方をするくらい難しい言語のようですね。

その様な盲点を突いて言葉の問題は作られていました。

例えば「分ける」という単語があります。

漢字で表すと「分ける・湧ける・沸ける・別ける」などと表記され意味によって書き方が変わってきます。

更に「掻き分ける」「押し分ける」など、場合によって使い方も変わって来るので国語は苦手という人も多かったのではないでしょうか?

面倒なお話は退屈なのでこの辺にして、第11回のグアムで、グッスリと眠っている挑戦者を叩き起こして「深夜のトレード早押しクイズ」という理不尽なクイズが行われました。

獲物をみんなで分けるのは「山分け」。では、新しい分野を開拓した人は「なに分け?」

答・草分け

解説 通常の頭が回転している日本人なら誰でも正解出来る日本語でしょうね。

でも、寝惚けマナコの挑戦者にとっては、何を問われているのかが理解できない状態です。

特に「分ける」という言葉の場合「御すそ分け」「形見分け」のように時と場合によって使い方が変化します。

通常の早押し問題なら「何だ!そんなのがクイズか?」とブーイングが来そうな問題です。

でも、時と場合によっては、こうした易しい日本語もクイズ問題になってしまうという例外として、ご紹介しました。

この時、もし両者が答えられなければ「痛み分け!」との判定を出し、引き分けでオチを付けようと狙っていたのですが、それも空振りに終わりました。

今だから話せるお粗末な失敗談でした。

 

4月の就職シーズンに思う

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題の中には人間の生き方を問う問題が結構含まれていました。

例えば「有名人の残した名言」。昔から伝わる「諺、格言」などの問題は知識の度合いを測る恰好のクイズ問題になります。

4月はテレビを見ていても、話題の会社の入社式の様子がニュースとなって、新入社員のインタビューがお茶の間に流れていますが、皆さん希望に満ちた表情をしていて実にさわやかです。

何時の時代でも狭き門を潜って、入社にまでこぎつけた皆さんには「頑張れよー」と声援を送りたい気持ちになりますね。

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学校を卒業し、社会人になる時には会社を選ぶ判断で誰でも大いに悩むものです。

第一番に初任給が気になります。次に会社の規模や将来性、自分の性格に合った仕事があるのか? 様々な要素を検討して会社を選ぶのが一般的です。

しかし、その様な要素を検討する前に、もっと大きな選択が在るのです。

第10回のモニュメントバレーで、出題された問題の中にありました。

問・大きい集団の下っ端よりも、小さな集団のリーダーの方が良い事をたとえて,鯛の尾(しっぽ)よりも何の頭という?

答・鰯(いわし)

解説  「鯛の尾よりも鰯の頭」昔から伝わる日本人の格言ですが、選ぶ立場から言えば迷う判断です。

大きく見栄えのする団体の属員になるよりは、小さな団体でもその先頭で指導者になる方がましだ、という例えです。

この2者択一は時代によって、判断が分かれているようですね。

現代の様に社会が不確実な時代には、どうしても安定を求める「鯛」に人気があるようです。

でも、逆に自分に自信が有り余っている人は「鰯」を選んで頭になり「鯛」よりも勝る会社にするのだ、と夢を膨らませる人も居るでしょう。

家族の立場で言えば「鯛が良いよ」。人間は安定が一番だから。

「いや、鰯で十分戦え」。人生一度しかないのだから遣りたいように生きて見ろ!

家族にしても意見はマチマチ。この2者択一は永遠に正解と言える答は出そうにありません。

近頃は考え方もアメリカ的になって、能力を高めて転職をする、という若者も増えているようです。

終身雇用で定年まで頑張る、この様な考え方は骨董品のように古すぎると割り切っている人もいます。

日本人の考え方はどこまで変化するのでしょうね? などと考えるのは余計なお世話というものです。

 

 

常識問題の盲点を探す

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題では、一般常識を問うという問題は少なかったように思います。

クイズ好きの皆さんは、常識を心得ているのでその様な問題で失敗をする人は無いだろうとの考えから、常識問題には慎重になっていました。

とは言え、誤った常識を覆すような問題は時々出題されていました。

「えっ、そんな決まりがあったの?」というような盲点を突いた問題ならば「採用!」との判断がなされていました。

初期の頃の第3回で次のような問題がハワイで出題されていました。

列車やバスの席で、上席に当たるのは窓側、通路側、さあどっち?

答・窓側

解説  列車やバスの座る席で、上席、末席と言ったような序列があるのか、それ自体を知らない人も多い事でしょうね。

しかし、団体旅行などで幹事を経験した人には体験があると思いますが、座る席にはれっきとした序列があって、配置を間違えると不満が出る事が有ります。

景色が良く見える窓側が好きという希望者が多いので、観光業者の常識では窓側が一番の上席なのだそうです。

でも、トイレが近いので、席を立ったり座ったりの回数の多い人にとっては、通路側の方が落ち着くという事もあるでしょうね。

好みは人によって異なりますが、バスや列車の常識では窓側が上席となっています。

また、新幹線の様に3人がけの場合は、窓側が上席通路側が次席真ん中が末席になるそうです。

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会社で上司と出張などの場合は、切符の手配は部下がするものですが、この様な場面では一応知って欲しい常識なのです。

サラリーマン社会では、こうした細かい配慮が出来ないと出世に響く事もあるのです。

馬鹿馬鹿しいようですが、世の中はこうした常識の積み重ねで評価され易いのです。

常識に逆らわない、それが上手な世渡り術と言えるでしょうね。

尤も、常識外れが好きという事で成功した例も沢山ありますがね。悩ましいところです。