何故か日本人が好む数字

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、生活習慣の中で、我々の常識になっている事柄から作られた問題が沢山ありました。

クイズの分類では「常識」と呼ばれる範疇です。

昔から日本人は縁起を担ぐ人が多く、数字でも好きな数と嫌いな数がありましたね。

例えば4という数字は「死」に通じる処から、嫌われる数の代表格でした。

また、9も「苦」に通じるなどで、祝い事では避ける忌み数字となっていました。

そのような日本人の生活習慣から作られた問題が第9回のアルバカーキで出題されていました。

問・草、道具、光、といえば頭につく数字は何?

答・七

解説 「草」は春の七草、秋の七草。主だった季節の草を七種類選んでいます。

「道具」は七つ道具と呼んで重要な道具を七種類並べるのが武士や町人達の古来からの仕来たりでした。

「光」は七光りと言って、主君や親などの威光がその後大きく影響する様を表します。

七はその他にも、「七変化」という言葉がありますね。

また、「七福神」「七転び八起き」「七種の節句」「七種の宝」「七宝」など万葉の時代から好まれた数に挙げられていました。

このような言葉は日常生活に密着しており、お茶の間のお爺ちゃん、お婆ちゃんでも参加出来る問題として時々出題されていました。

難解な問題を好むクイズマニアには物足りないかも知れません。

でも、我々の番組は老若男女すべての人々をターゲットにしていたので、問題には強弱をつけ、易しい問題も適度に配分していたのです。

 

世界一は問題の宝庫

 

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を創っている時に、目を向けるのは「何でもNO1」を調べる事、と問題制作作家に注文していました。

日本一の○○、世界一の××。NO1になる事象には、知って得する情報が詰まっているはずです。

或るNO1を縦、横、斜めから観察すると数多くの情報が隠れている事が解ります。

その中から面白い情報を切り取って、クイズ問題に仕上げるのは簡単な作業と言えるでしょう。

例えば世界一高い山を調べると、数えきれないほどクイズ問題になりそうな情報がありました。

エベレスト

第12回のイグアスで次のような問題が出されています。

問・1953年、ネパール人のシェルパ、テンジンと共に世界で初めてエベレストに登頂したニュージ-ランドの登山家は?

答・ヒラリー卿

解説 エドモンド・ヒラリーは世界最高峰の初登頂の功績でエリザベス女王からSir(サー)の称号を贈られています。

世界的にはエベレストの名で知られていますが、これは英国人でインドの測量局長官ジョージ・エベレストに因んで名付けられた英語表記です。

これもクイズ問題に使えそうな情報ですね。

今ではチベット語のチョモランマと呼ばれる事も多く、日本ではこの名の方が知られています。

標高は公式には8848mとされていますが、GPSによる測量では8850mとされ、氷の厚さが計量に入るのでは?等異論が出ています。

日本人の登山家も数多く登頂していますが、記録としては1975年に女性初の登頂として、田部井淳子さんの名が刻まれています。

これまた、クイズ問題になりそうです。

更に、2013年に三浦雄一郎さんが80歳で登頂し、最高齢登頂の記録を打ち立てています。

1988年の5月5日には、日本テレビが開局35周年の記念特別番組として「世界初・山頂から衛星生中継」の番組を放送しています。

さすが世界一高い山だけに、山ほどのクイズネタが積み上げられていました。

 

 

問題で解る隔世の感

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返って見ると、世の中の動きが手に取るように解る事があります。

クイズ問題は、その時代の話題を取り上げる事が多いので、「あー、あの時代の出来事だ」と思い返す事が出来ますね。

例えば、良く話題になる救急医療の事を振り返ってみましょう。

救急車が病院をたらい回しされた挙句、患者さんが手遅れになったというニュースが時々ありました。

このような状況を無くす為には、病院や医師を増やさなければ解決しない、と社会問題になりました。

最近では救急医療も大幅に改善され、ドクター救急車やドクター・ヘリの活躍がテレビなどで良く報じられています。

でも、以前は救急車にドクターが乗るなどは、夢のような事だったのです。

第16回のアトランタで、次のような問題が出されていました。

問・今年から活動を開始した、救急車の中で医師からの指示に従って医療行為が出来る人のことを何という?

答・救急救命士

解説 救急救命士は平成4年に初めて誕生した訳ですから、23年の歴史しかありません。

国家資格なので、誰でも簡単になれる職業ではありませんが、この救命士の誕生によって助けられた命も格段に増えた筈です。

救急医療の進歩は年を追って進み、平成19年にはドクター・ヘリが全国的に普及し、僻地の救急患者も都会の医療機関へ搬送されるようになりました。

人の命を救うために、この様な設備に莫大な費用を投じるのは、先進国としての務めと言えるでしょう。

それにしても、今では常識になっている救急車に救急救命士が20数年前には乗って居なかったという事実は驚きです。

正に隔世の感とはこの事でしょうね。

 

夢を呼ぶUMAの噂

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、人々の夢を誘うUFOやUMAに関する問題がありました。

UFOは宇宙人という夢を誘いますが、UMA(ユーマ)もまた、実在するのかしないのか、未確認動物をこの様に呼んでいます。

有名なところでは、ヒマラヤの雪男、ネス湖のネッシーなどが在り、これ等を探索するテレビ番組が人気を呼んでいました。

我がウルトラクイズでは、第13回のクイーンズ・タウンで次のような問題がありました。

問・岐阜県東白川村で行われた捕獲大作戦で、賞金まで賭けられた幻の動物は?

答・ツチノコ

解説 ツチノコ捕獲大作戦は、この年に話題になったニュースからの問題でした。

賞金は100万円で全国のUMAファンが大捜索に参加しましたが、残念ながら賞金獲得者は現れず、幻の懸賞金となりました。

因みにツチノコは、胴が太いヘビと形容され日本全国で目撃例があるとされる幻の動物です。

未だに発見されたという情報は無く、幻のままの方が夢が在って良いのでしょうね。

日本には昔から幻の生き物がいて、天狗や河童など妖怪に含まれる類から、小説で創作されたものまでUMAの幅が広がっています。

夢の少ない現代なので、この種の「噂」は心の癒しとして永遠に姿を現さない方が楽しいように思えますねー。

 

 

世界の大学ランキング

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、世の中の興味のある話題を取り上げる事が基本でした。

昔から、世の親達の興味のランクをつけると、上位に子供の教育問題があるでしょうね。

子供は良い塾に通わせたい。そして、レベルの高い高校や大学に進学させたい。

大学では日本の最高峰は、東大、京大のような国立大学に通わせ、良い会社に入社させたいと考えるのが一般の親のようでした。

中には世界の有名大学に留学させたい、との夢を持つ親もいるかもしれません。

世界の有名大学といえば、ハーバード、ケンブリッジ、オックスフォードなどが頭に思い浮かびます。

第14回のグアムで次のような○×問題がありました。

問・ハーバード大学は、なんとケンブリッジ市にある。

答・○

解説 2015年世界大学ランキング第1位のハーバード大学はマサチューセッツ州ケンブリッジ市にあります。

創立は1636年でアメリカ最古の私立大学。校名は牧師であるジョン・ハーバードを記念して付けられました。

何人ものアメリカ大統領を輩出した名門校で、イギリスの名門ケンブリッジ大学と紛らわしい、ケンブリッジ市にあるのがクイズ的には目の付け所でした。

因みに2015年世界大学ランキングでは、1位ハーバード(USA)2位ケンブリッジ(英)3位オックスフォード(英)。

日本の東京大学は12位。京都大学は27位で、残念ながら世界ランクではベストテンから漏れています。

受験生にとっては、ハーバードもケンブリッジも夢の又夢のような遠い存在かもしれません。

でも、諦めが肝心などという言葉はさっぱりと忘れ、夢を目指して頑張れるのも、若者の特権です。

そう言えば若者よ大志を抱け、クラーク博士はよい言葉を残していますねえ。