歴史の枝葉が面白い

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、歴史の問題が沢山含まれていました。

学校の歴史の時間に習う、歴史年表的な問題は数の上から見ればさほど多くありません。

クイズには学科試験的な要素もありますが、でも答を聞いた人が「なるほどねえ」と感心したり、面白がったりする要素が無いと娯楽番組とは言えないからです。

歴史の問題も、一般的な常識問題は避け、新しい発見や変わったエピソードを探し問題を創っていました。

例えばテレビ・ドラマで時代劇を見ている時に「何故なんだろう?」という疑問が湧く事があります。

クイズ問題の作者はこの素朴な疑問を調べて、クイズを創るという習慣を普段から身に付けていたのです。

例えば時代劇を見ていると、江戸の街には「町火消」が登場し大活躍をする事があります。

町火消は江戸の街いろは48組がいる事は、良く知られた常識の範囲です。

有名な処では「暴れん坊将軍」で辰五郎親分の率いる「め組」がありますね。

でも、48組の内「ヘ(屁)組」「ひ(火)組」の様な語音の悪い組があったのか? という素朴な疑問が起こります。

これを○×問題で、「いろは48組の中にはへ組もあった」というクイズも出来ますね。

こうした素朴な疑問から創られたのが、第6回のバーストウで出題されていました。

問・江戸時代「町火消」を編成した江戸南町奉行は?

答・大岡越前守忠相

解説 火事の多い江戸の街を守る、という目的で儒学者荻生徂徠の進言で、大岡忠相が享保3年(1718)に町火消の制度を創りました。

「いろは48組」の組織を編成したものの、語音の悪いものは「へ=百組」「ら=千組」「ひ=万組ん=本組」に替え、正式に成立したのが1720年の事でした。

上記の調査資料は、問題用紙の裏側に全て記入し、現場で挑戦者から疑問が出た時、納得出来る説明のために常にクイズ会場に備えていたのです。

画面に出ない場所でも、クイズ問題に関してはこの様な万全な準備がなされていたのでした。

本日は問題担当者の裏話でした。

懐かしい日本の民話

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、あの時代に話題になった出来事からタイムリーなクイズが出されていました。

その様な目線で振り返ると、70年代から80年代にかけて、全国的に日本の民話に人気が集まり、ブームになった事がありました。

民話に関して、数多くの書籍が出版され、テレビやラジオなどのメディアでも取り上げられる事が多かったのです。

民話とは元々が庶民の生活の中から生まれ、民衆によって口承されたものですね。

内容や形式によって「昔話」「伝説」世間話」など、各地方に伝わる懐かしいお話の数々です。

当然の事ながら、若い人よりはお年寄りの方が詳しい分野なので、我々は「年配者向け問題」と区分けしていました。

第8回のサンフランシスコで次のような問題が出されていました。

問・民俗学者柳田国男が「遠野物語」の中で書いた旧家の奥座敷などに居ると言われる小さな妖怪とは何?

答・座敷童(ざしきわらし)

解説 昨年亡くなられた水木しげるさんのマンガのお蔭で妖怪がブームになりました。

でも、それよりも遥か昔から、岩手県を中心に東北地方に伝わる妖怪が存在したのです。

赤ら顔の童子で、お河童頭、旧家の奥座敷に棲み付いている愛すべき妖怪とされています。

テレビでは「座敷童」に会いに行こうという番組が何本か創られていましたが、残念ながら会えた番組にはお目にかかっていません。

「座敷童」のような伝説は、そっと語り継がれた方が夢があって楽しめる代表でしょうね。

最近は新刊の本があまり売れない時代、という話を聞きますが、日本には懐かしい民話も沢山あります。

時にはそんな物語に目を向けるのも良いのではと思い、本日の話題として取り上げて見ました。

生まれた時はどうなの?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は素朴な疑問をクイズにする事がありました。

クイズ問題を創る作家の皆さんに、時々説明会を開くのですが、新聞や雑誌に出ている記事からタイムリーな問題を創るのも結構。

この様な記事から創られた問題には、出典を明らかに書き込むのがルールでした。

でも、資料があって創られた問題よりは、自分の素朴な疑問を調べて、問題に仕上げた方が面白いという話を事ある毎に説明していました。

その説明の例題として、例えば「虫でも動物でも特殊な状態」で知られる生物がいます。

それは、生まれた時から同じ状態だったのか? という素朴な疑問を持って調べると面白い問題が出来るでしょう、と説明した事がありました。

「禿鷹は生まれた時から剥げている」。○か×か? のような問題がこの様な説明の後に生まれた、印象深い問題でした。

翌週には同じ傾向の問題が創られ、クイズ問題選考会議では「面白い」と多数の賛同を得た事があります。

第11回のグアムで、その問題が2問出題された事があります。

問・蛍は卵の時にも光る。○か×か?

問・生まれたばかりのヤドカリは、貝殻を持っていない。

答・○

解説・2問とも○が正解でした。

蛍は、卵の中に光の酵素があるので、連続的に弱い光を放っているのだそうです。

また、成長するに連れてヤドの貝殻を変えるヤドカリは生まれた時には、水中を浮遊しながら育ちます。

つまり、自分の宿は生涯持った事がない、ホームレス状態なのです。

適当な大きさに育った段階で、小さな貝殻を見つけ、ヤドカリとしての生涯をスタートさせるのですね。

これ等のクイズは、問題の作者自身が素朴な疑問を調べて作った問題なので、出典は「発想」となります。

世の中で広く知られた常識ではないので、問題を聞いた人にも、新鮮な驚きが残る印象深い問題になります。

ウルトラクイズの問題が「面白かった」と評価される事がありますが、作者の発想問題が多かったせいでしょうね。

常識の盲点を探し、クイズを創るのも結構。また、自身の素朴な疑問を調べてクイズに仕上げるのも良し。

クイズ問題作者は地味な存在でしたが、番組が評価されたのは、彼らの働きがあったからに他なりません。

ウルトラクイズの真の功労者は、当時大学生だったり、或いは主婦など、クイズ大好きな問題作家の皆さんでした。

 

渡来してきた神様たち

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、知識をストレートに引き出す問題と、逆に混乱しそうな知識を試す問題がありました。

似て非なるものと言う言葉がありますが、同次元で記憶が混乱しそうな事象が良く存在します。

例えば日本には外国から様々な神様が伝えられていますが、その姿形で記憶するので、時には勘違いが起こる事があります。

渡来の神様の代表は、市民信仰の七福神でしょう。

尤も七福神の中で、恵比寿様だけは、渡来ではなく日本で生まれ育った神様として知られています。

他は、中国やインドから伝わった福を呼ぶ神様ですが、その姿から多くのクイズ問題が創られています。

また、5月人形に登場する神様もその「姿」で七福神と間違えて記憶しそうな神様もおります。

第15回のエルパソで次のような問題がありました。

問・唐の玄宗皇帝の夢の中に登場したとされる人物で、魔除けや守護神として5月人形でもお馴染の、鬚ボウボウの神様とは何?

答・鍾馗(しょうき)

解説 玄宗皇帝が或る時、マラリアに罹って高熱でうなされながら夢を見たそうです。

そこに大男の鍾馗が現れ、玄宗の周囲に纏わり付く小鬼を捕えて食べてしまう。

夢から覚めた玄宗は病気が治っている事に気が付く。

そこで夢で見た姿を当代一の絵師に描かせたのが、鍾馗様の姿だと伝えられています。

鍾馗様は病気から守ってくれる守護神として、5月人形に飾られるようになりました。

鬚ボウボウで強そうな大男、この文言で七福神の毘沙門天と勘違いする人も結構いるようです。

我々は、あえてこうした記憶の勘違いが起こり易い題材を選び、クイズ問題に仕上げる事もしていました。

番組を盛り上げるあの手この手の一つを、本日の裏話としてご紹介しました。

 

初夢!

 

アメリカ横断ウルトラクイズの問題の中には、人々の基本的な知識から始まって、各分野の細部に亘る知識まで実に幅の広い範囲から出題されていました。

細部の知識は、正解を聞いた人が「へー、そうだったの!」と面白いと感じる情報が好まれていました。

そんなこと知って何になるの? という問題は愚問としてクイズ選考の会議で「没」になっていました。

さて、昨年辺りからテレビの話題で時々取り上げられる話題に「寄付」という行為があります。

東日本大震災のような災害が発生すると、寄付行為が盛んになりますが、でも最近話題の寄付は一寸性格が変わっています。

それは「故郷納税」という制度の登場によって、全国の市町村が知恵を絞って、寄付者を集う競争が始まったからです。

応援したい地方の市町村に寄付をすると、2,000円を超えた金額が、現に住んでいる市町村の住民税を控除できるという制度です。

しかも寄付者は額に応じて、寄付された市町村から謝礼の得点を受けられるのです。

つまり、2,000円で高価な謝礼品がもらえるという事で我先にと寄付行為が盛んになったという次第です。

各市町村は謝礼品に頭を絞り、総務省が10月に発表した27年度「故郷納税上半期ランキング」では、第1位が山形県に決まりました。

その額、何と50億円を突破して、第2位以下を大きく引き離したと報じられています。

謝礼に戴ける品物がインターネットで直ぐに調べられるので、餌に食いつく魚のイメージが無いわけではありません。

寄付という「善行」と本来の意味がスライスしているような印象が否めません。

さて、ウルトラクイズでは寄付行為の大きな話題が、問題になった事がありました。

第16回のニューヨーク決勝戦での事です。

ニューヨークの国連本部がある土地を寄付した実業家は誰?

答・ロック・フェラー2世

解説 第二次世界大戦後、アメリカで国際連合の設置が計画されました。

この情報をいち早くキャッチしたロック・フェラー2世は、1946年にこの土地を850万ドルで購入し、国連に寄付したそうです。

当然、故郷納税のように謝礼が目当てでは無かったでしょうね。

でも、世界の平和を守る国連本部の土地を寄付したという輝かしい事実は歴史に残ります。

世界の大財閥は、流石にやる事も桁外れで度肝を抜いてくれます。

アメリカには、アメリカン・ドリームという言葉があるように、成功すると多額のお金を寄付する習慣が根付いているようです。

この様な他人のためになる習慣は世界中に広がって欲しいものです。

私も、そんな身分になりたいなー。今年の初夢です。