恐怖の罰ゲーム

ウルトラ・ファンの質問の中で、一番多いのは
「あの罰ゲームは本当にやるの?」
というものでありました。

勿論、全部本当に体験してもらっているのは言うまでもありません。
中には放送した以上に、恐ろしい事が起こっている事もあります。

あれは第12回、その年は北極圏にあるバローから南極圏のフェゴ島まで、南北アメリカ大陸を縦断するというコースでした。

ブラジルにある世界最大の滝、イグアスの滝でクイズが行われ、敗者が決定しました。

↓イグアスの滝
今だから話せるウルトラクイズ裏話-イグアスの滝

負けたのはうら若き女の子です。

彼女に与えられた罰ゲームは、滝の下流を一人乗りの小さな船に乗ってのんびり下ってもらおうというものでした。

実は、下流にはブラジル、アルゼンチン、パラグアイと三つの国の国境があり、何処へ流れ着くやら川まかせというおまけ付き。

今だから話せるウルトラクイズ裏話-パラグアイ地図

スタッフは川岸で彼女とバイバイ。

彼女は心細そうにジャングルを流れる川を流されて行ったのです。

カメラは遥か離れた丘の上から望遠レンズで彼女の様子を撮影しています。

と、何処からともなく1隻の高速警備艇が現れ、彼女のボートの側に水しぶきが上がたのです。

見ると警備艇から機関銃が連射されているではありませんか? 
しかもその音がパパンパパンとこだまとなって聞こえてきたのです。

驚いたのはスタッフの方でした。

そんな演出は何も考えていませんから、
「エッ!なんだあれは?」
と仰天したのは言うまでもありません。

すぐさまこちらも川岸に無線で連絡、彼女の船を追跡するように指令が出されます。

スタッフがようやく船を発見すると、それは国境警備隊のパトロール船で彼女の身柄は拘束されていました。

勿論機関銃は本物で、警告のための実射でした。

我々はテレビの撮影だ、と説明したのですが
「カメラなんかないじゃないか」
と最初は信じてくれません。

このままだと彼女は拿捕されてしまいます。

そこで、「遠い丘の上にカメラのクルーが見えるでしょ」
必死で説明しました。

結果的にこの出来事は、警備隊を買収して丸く治めました。
その時の対価は、ウルトラクイズのロゴ入りのTシャツ3枚とやはりロゴ入りのキャップ(野球帽)3個

これで、国際問題にも発展せず、国境侵犯の罪もすべてチャラになったのでした。

はじめに

テレビは世の中を動かす怪獣です。

テレビでCMが流れれば物は売れるわ、その辺のお姉ちゃんでも人気があれば、ある日突然大学教授に変身!

芸人でも国会議員に変身!とばかり何でもアリの怪獣がテレビなのです。

その怪獣の中でも、ひときわドデかい怪獣が出現、それが70年代に生まれた

「アメリカ横断ウルトラクイズ」

でした。

70年代といえば、まだ庶民にとっては海外旅行なんて夢のまた夢で憧れの時代。

そんな時代に、


「ニューヨークに行きたいか!」

「罰ゲームは怖くないか!」


の掛け声で、クイズの参加者をいきなり外国へ連れ出しちゃったのですから、日本中のクイズ好きがパニックに巻き込まれてしまったのです。

毎年後楽園球場(後の東京ドーム)に集まる参加者は5万人

それも日本全国から自費でやってくるのですから、ご苦労さんな事です。


しかも、第一問で落ちてしまえば、「ハイ、それまでよ」ですから高い旅費を考えれば泣き出したくなるような心境だったでしょうね。


それでも、なんだこの問題は!とクレームをつけてくる人が一人もいなかったのですから、みんなお祭りに参加するような気持ち、或いは宝くじを買うような楽しみで集まってきたのだと思います。


そして、クイズに正解さえすれば、100人が成田までは行ける。



更に、魔の関門、ジャンケンに勝てば海外へ飛び立てるという、甘い誘いに乗って中には休暇が取れず、会社を辞めてまで参加したという人までいたのです。


そのくらい人生を変えてしまうような怪獣だったのです。