アメリカ横断ウルトラクイズは、常識を飛び越えた事を平然とやってしまうというのが、開始当時の評判でした。
それだけに、アメリカでも多少は知られた存在になって、かなり多数のゲストが出演しています。
そのゲストクイズの古い記録を振り返ってみると、この形式が最初に行なわれたのは第1回の時の、アメリカ大陸上陸最初のチェックポイントであったサンディエゴでのことでした。
その日は朝からスタッフは緊張した面持ちで準備に取り掛かっていました。
ロケ現場の周囲も何となく警戒態勢を演出しています。
確か挑戦者には出来るだけフォーマルな服装で参加するように注意が為されていた様に思います。
やがて、辺りの気温に不似合いとも思える黒いスーツ姿の屈強な男達が、黒いリムジンを取り囲むように歩いて現れたのです。
ニュース映像でよく見る大統領の登場シーンと同じ光景が演出されています。
黒いスーツの男達はシークレット・サービスを演じていたのです。
番組的には、効果音楽としてアメリカ国歌が流されました。
此処まで演出されると、大統領の登場をイメージするのは当然と言えるでしょうね。
我々の計画通り、ゲストが車から降りて登場すると、挑戦者は全員が緊張の表情になりました。
司会の福留さんも緊張した声を出して、ゲストを紹介していました。
ゲストクイズの1問、2問目までは当時のカーター大統領に関する問題でした。
そして3問目に出されたのが次の問題でした。
問)本当は私は誰でしょう?
① カーター大統領。
② カーターのそっくりさん。
③ カーターの従兄。
正解
②
②
番組を観ていた方は半分は笑っていたでしょうが、挑戦者の皆さんは、見事に騙され、10人中正解はたったの3人という結果でした。
挑戦者とスタッフの戦いで、スタッフの演出が勝ったという典型的な例でしょうね。
なぜ、優秀な挑戦者達が騙されたのか、当時の状況はアメリカ大統領のそっくりさんが、テレビのコマーシャルに出て話題になっていたのです。
だから視聴者の皆さんはその事を知っていましたが、実はそのコマーシャルが流れたのは、我々がロケーション中の事で、挑戦者達はそんな人が存在した事すら知らなかったのでした。
この問題も、番組を盛り上げる要素となって、視聴率を高める牽引力となったものだと思います。
スタッフが面白がって提出したクイズ案を、実現させてしまうのもこの番組の特徴と言っていいでしょう。