アメリカ横断ウルトラ・クイズでは、挑戦者は一緒に旅を続けているので、いつしか仲間意識が芽生え、連帯感が生まれてきます。
だから、敗者が1人負けて帰って行く時には、涙のお別れのシーンが演出出来、これも人気の場面になっていました。
しかし、クイズは常に自分1人で戦うのが本筋ですから、相手は全部「敵」というのが原則です。
いくら気の合う仲間といっても、その誰かを蹴落とす事によって、自分が生き残る訳ですから、サバイバル・ゲームなのには変わりがありません。
そのような旅で、挑戦者が、お友達気分になる前に、対戦する相手を憎んでしまうという意地の悪い形式がありました。
それが顕著に現れたのは、第15回のハワイでした。
ハワイといえば定番はワイキキ・ビーチですが、この回は穴場発見という触れ込みで、ワイマナロ・ビーチがクイズ会場でした。
穴場は穴場でも、このビーチには我がスタッフが、前の晩、せっせと砂浜に数多くの穴を掘っていたのです。
海辺のビーチには、穴、穴、穴と挑戦者の人数分だけ、26の穴が掘られているではありませんか。
彼らはこの穴に入って、1対1のクイズ対決をすることになったのです。
3ポイント勝ち抜けの早押しクイズ。
相手が1ポイント獲得すると、負けた人の穴にバケツ3杯分の砂がかけられてしまう、というルールです。
2ポイントで更に3杯の砂、3ポイント取られると、合計バケツ9杯の砂がかけられる訳ですから、負けると砂浜に首だけ出して、埋められてしまうという結果になります。
対戦が終わった後には、惨めな顔をした生首状態の首だけが残されるという訳です。
全部の対戦が終了した時には、砂浜に敗者の生首が13個。
しかも、暑さと砂の重さが体に響き、「助けてー!」の声も出せないような状況です。
この時の罰ゲームは、哀れな彼らに、水中メガネとシュノーケルが与えられるというものでした。
そうです。
間も無く海は満潮となり、敗者は海の中へ沈んでしまう運命だったのです。
恐怖で引きつる敗者の顔、これって怖い罰ゲームですよね。
多分、憎むべきはクイズに勝った、対戦相手だ、となった事でしょう。