今では多い死語の話

メリカ横断ウルトラクイズでは、数多くのクイズ問題を作り出題して来ました。
今から20年前、30年前にはクイズ問題として通用した日本語も、現代では普通の日本人では理解できないような言葉も沢山あります。
世の中から消えてしまった言葉で「死語」と表現される言葉ですね。

私自身の体験で言えば、小学生の孫に、
「玄関の乳母車を片付けなさい」と言ったのです。
すると孫は、キョトンとした顔で
「乳母車ってなーに?」
と不思議そうに聞くのです。
「これだよ、入り口に在っては邪魔でしょ」と言うと、
「いやだー、これはベビーカーでしょ」と遣り返されました。
確かに乳母車という言葉は、当の昔に世の中から消え去り、赤ちゃんを運ぶのはベビーカーですね。
しかし、我々の年代の古い人間は、時々昔の言葉が考えも無く口から飛び出すので、
「爺ちゃんは古い!」の一言で切り捨てられてしまうのも現実です。
その様な目で昔の問題を読み返すと、今では死語となったような言葉を求める問題が多いのにびっくりします。

えば、第4回のソルトレイクで、次のような問題がありました。
・「押し付け」「叩き」「つまみ」「手もみ」「足踏み」と言ったら何の方法?

洗濯板

・洗濯(又は洗い方)

解説
日本では戦後、洗濯機が普及したので、一般の家庭の主婦でもこの様な言葉を知らなくなっています。この問題は今から30年以上前ですから正解が出ましたが、現代に出題されても普通の若い人にはとても答えられない問題でしょう。
第一、たらい洗濯板などは見た事の無い日本人が多いのが現代です。
その様な世の中で、つまみ洗い、手もみ洗い、と聞けば「なるほど」と頷く事も出来るでしょうが、突然「押し付け」叩き」「つまみ」などと言われても、「強盗の手口かな?」くらいしか思い浮かばないでしょう。

ついでながら、日本人が古くから習慣的に行っていた洗濯の方法は、「ふり洗い」「板もみ洗い」「刷毛洗い」など、材質や汚れ方によって、効果的な洗い方が先人の知恵で行われていました。
という事は、クイズ問題の分類もこの問題は「生活、家事」ではなく「歴史、伝統」の分野に変えなければなりません。
時代と共に、古いものが忘れられていく、これは自然の法則でしょう。
その様な世の中にあって、ウルトラクイズを忘れずに、このブログを読んで下さる皆さんに感謝です。
なお、今夜8時から「第12回アメリカ横断ウルトラクイズ」の再放送がCS放送の「ファミリー劇場」であります。
時間のある方は、是非ご覧ください。

ファミリー劇場

罰ゲーム、見方を変えれば?

メリカ横断ウルトラクイズのお楽しみの一つに罰ゲームがありました。
敗者に与えられた過酷な罰、というのが売り物で、我々スタッフはクイズ形式と同じようにあれこれと思考を巡らせ、敗者にとってはキツイ! 苦しい! 恐ろしい!この様な体験をして頂こうというのが罰ゲームの基本コンセプトでした。
度々このブログでも取り上げていますが、罰ゲームは単に敗者いじめではありません。
視聴者が見て、「コイツは面白い」と笑えることが条件です。
敗者の体験が、お茶の間で見ていてみんなが大笑いできる、それが理想の罰ゲームでした。
そのためには、敗者が恐ろしい体験をする、苦しい状態になりそうだ、そのプロセスを安全なお茶の間で見ながら、大笑いしていた、それがウルトラの罰ゲームでした。

罰ゲーム2

罰ゲーム

ゲームを実施するについて、我々には最初から基本的な決まり事がありました。
恐ろしい体験をさせるためには、担当のディレクターが自分で体験する事が必須条件でした。自分では怖くて出来ないような体験を敗者に無理やりさせてはならない、という当然の配慮です。
例えば、スカイダイビングをさせる、という案でも人によっては気を失うほど恐ろしい体験かも知れません。
このスカイダイビングは担当ディレクターが実際に体験しても「ダメ!」という事で許可が出なかった事もありました。
また、第13回のニュージランドではバンジージャンプを、実施寸前まで進行させ、直前にストップをかけた事もあります。
ドッキリ・カメラ風の作りにしたのです。
体験者は失神寸前で救われたのですが、これなどは成功例の代表として、当時話題を呼んだ罰ゲームでした。
この真相は、実は我々スタッフの誰1人、怖くてジャンプが出来なかったので、それを挑戦者にやらせるわけにはいかず、ドッキリ風でまとめたという現実があります。

この様なご当人には恐ろしい罰ゲームも「罰」というよりも、人によっては 「ご褒美」みたいな体験もあります。
つまり、そんな貴重な体験一生のうちに出来ないだろう、というものです。

えば第8回のフィラデルフィアでの罰ゲームがそれでした。
フィラデルフィアは人気映画「ロッキー」の舞台になった街です。

Philadelphia_Museum

当然、ご当地問題はロッキー関連の問題が何問か出題されました。
また、罰ゲームはボクシング関連が良いだろう、との事で、敗者のお二人さんは映画のロッキーと同じく生卵を5個も一遍に飲まされ映画でお馴染だった博物館前の大階段でボクシングのしごきを受けたのです。
映画でシルベスタ・スタローンが演じた場面をそっくりやらされたのです。
これを映像で残せるなんて、素敵な体験とも言えます。
しかし、これで終わったのでは面白さに欠けてしまいます。

その後、フラフラの敗者の2人が案内されたのは、何と元・世界ヘビー級王者ジョー・フレーザーのジムだったのです。
何も知らないでリングに上がらせられた敗者は、スパーリングをする事になりました。
そして、スパーリング相手として登場したのが、褐色の殺人パンチャーとして世界にその名を知られた、ジョー・フレージャーご本人だったのです。

ジョー・フレイザー

ウルトラって何をするか解らない!
でも、ボクシング・ファンならこんな体験、罰というより大変なご褒美だと思いますよ。
幾ら殺人パンチャーだって、素人相手に本気でパンチを打ち込むはずはないのですから。
でも、撮影の時、我々はハラハラ、ドキドキしました。
だって彼は本気で空振りをしながら、打ち込むポーズをしたのです。
もし、パンチが当たってしまったっら?
彼のサービス精神は、我々の胃に命中したようでした。
あの撮影は胃が痛かった。

易しい問題の出る形式

メリカ横断ウルトラクイズでは、どこで、どのような問題を出すのか、クイズ問題の配分に神経を使いました。
難しい問題が続くと、家庭で見ているお茶の間の皆さんが参加出来なくなってしまいます。
お茶の間の年齢層もバラバラですから、老若男女皆さんが参加できる配分を考えて配列しなければなりません。
小中学生の年少者でも参加できる易しい問題も必要です。
また、お爺ちゃん、お婆ちゃんなら常識になっている問題も、若者にとっては超難問に聞こえるかもしれません。
この様な問題を、程よくカクテルして問題の出題順を決めて行くのが、クイズ本番前夜の私たちスタッフの重要な作業でした。

その様な中で、特例がありました。
それは、ウルトラクイズの恒例となった「ばら撒きクイズ」です。

リハーサル_バラマキクイズ

砂漠のような広い場所に、ばら撒かれた問題の入った封筒を、挑戦者が走って拾ってくるあの形式です。
一生懸命に走って、折角拾ってきても、中に問題が入っていない「ハズレ!」という意地の悪い仕掛けが、「挑戦者イジメ」と非難の声を浴びながらも、人気の形式でした。

ハズレ

封筒の中身のクイズ問題は、拾ってきた順番に紹介されるので配列の必要はありません。
だからといって、そこにある問題を無造作に封筒に入れている訳では有りません。

我々は、出題される問題を一枚の用紙にアイウエオ順に書き出し、答えも一覧表にします。
アトランダムに読み上げられた問題の正誤を判定して、審査の音をピンポーン!」あるいはブー!」と鳴らさなければなりません。
この問題の一覧表はディレクター、カメラマン、審査員がそれぞれ手元に置いて、本番に備えます。
これは咄嗟の判断なので、私は現場で慌てないように問題も答も全て記憶するように努めていました。
また、このバラマキ問題には、もう一つの特徴がありました。
それは、全ての問題を仕分けする時に、比較的簡単で易しい問題を選んで、ばら撒きに当てたのです。
何故か? 理由は次のようなことでした。

クイズ形式は全て事前にシミュレーションを行いますが、全力で走った後は、脳の働きが鈍るという事が解ったのです。
普段なら簡単に思い出せるような記憶も、中々思い出す事が出来難いという事です。
勿論、個人差はありますが、平均して思考力が鈍るという事のようです。
だから、昔の問題集を読み返すと、ばら撒きクイズは易しい問題が沢山並んでいました。
あの時代、「なんであんな易しい問題を誤答するの?」と不思議に思われた人も多いとおもいます。
でも、ばら撒きは思考力が鈍っている状態で、答えていたという事情があったのです。
審査員として、私は問題も答もすべて記憶したと書きましたが、ネタを明かせば易しい問題だったから、それが可能だったのです。
これって、真実の告白です。