春の便り

アメリカ横断ウルトラクイズの問題には、日本の四季に関する問題も沢山出題されていました。

3月に入り、待ちに待った春の到来ですね。

この時期になるとテレビでは毎日のように桜前線が話題になる、というのが情報番組のパターンになっています。

日本人が最も愛する「花」とも言える桜は、昔から和歌や短歌、俳句などでも歌われ、日本の伝統文化に貢献しています。

と、なればクイズ問題に採用される事も多く、何度となく登場していますが、その中で思い出深い問題がありましたのでご紹介しましょう。

第⒑回のグアムで出題されていました。

桜島には桜の木はない。○か×か? という問題でした。

答・×

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解説  これは判断に迷う問題ですね。一般にクイズ研究会の人達なら「無いから問題として取り上げられたのだ」と考えるでしょうね。

でも、島中に一本も無いならば、その理由がある筈でそれを問題にするべきだ、と短い間に先の先まで思考が進んで判断に迷ってしまいます。

一方、桜が沢山あるからこの名が付いた、とストレートに判断する人達も沢山いるはずです。

○×クイズは判断が5分と5分に分かれるのが理想で、その条件を見事に備えていたので採用されました。

桜島は鹿児島県の錦江湾にある面積77㎢の島で、活火山として噴煙と降る灰が度々ニュースとなって話題になります。

桜島の名称については以下の3つの説が有ります。

①古くから木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)の神社があって、咲耶島と呼んでいたのが、何時の頃からか桜島に変化した。

②大隅半島を治めていた桜島忠信公の名に因んでその様に呼ばれていた。

③海に一葉の桜の花びらが浮かんで、それが島になったという伝説があった。

いずれも確証は無いのですが、桜島にも昔から桜の花は沢山自生していました。

それ以上に、世界一大きな桜島大根が有名ですね。

桜前線は今年も今頃から、テレビで話題になり、南から北へと北上して来ます。

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日本人は桜の便りを聞くと何となく明るくウキウキした気分になります。

いや、日本人に限らず春の到来は人間にとって待ちどうしいものです。

それどころか動物だってみんな春を待っているのですね。

頭の回転を試す

アメリカ横断ウルトラクイズの問題は個人の知識を競うのが目的のクイズ番組でした。

森羅万象の中からクイズ問題が作られ、知識を競う番組ですからクイズ自慢の人達が全国から集まって、熱戦が繰り広げられた訳です。

と、いってもいつも難問ばかりを出題した訳では有りません。

視聴者が問題を一緒に考えられるように、老若男女の皆さんが参加出来るレベルの問題を数多く取り入れていました。

中には普通に考えれば、超が付くほど易しい問題もありました。但し、その様な問題は特別な場面で出題されていたのです。

良く、人間の脳は活発に働く時と、その逆に寝惚けている時では全く働きが違うと言われています。

それが本当なのか? 試してみようというクイズの実験的な場面を作り、実行した事が何度かあります。

深夜の夜襲クイズという形で、夜中にぐっすり眠っている挑戦者を叩き起こして、クイズを実行するという手法です。

このクイズ形式は好評だったので何度か行われましたが、一番気の毒だったのは第11回のグアムでのクイズでした。

題して「枕争奪・深夜のトレードクイズ」。

成田でジャンケンに敗れ、名古屋縦断ミニトラ・クイズで敗者復活したしぶとい3名が一行に遅れて深夜便でグアムに到着したのです。

しかし、彼らにはその夜眠る宿が無い、という設定。

そこで、機内ペーパーテストで成績の悪かった3名を叩き起こして、復活した3名と計6名で対決の早押しクイズを行おうという訳です。

夜中にグッスリ眠っているところを起こされて、突然「クイズをやるぞ」と言われても、寝ぼけマナコで頭は回転しません。

その様な状況で、2問勝ち抜けで勝った3名にベッドと枕が与えられるというルールでした。

そこで出されたのが次のような簡単な問題。

仲良く親子3人が枕を並べて寝るのは川の字。では、1人で伸び伸び寝るのは何の字?

答・大の字

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解説  人が手を広げて寝ている姿が、漢字の「大」に似ているところからその様に呼ばれています。

普通に頭が回転していれば誰でも答えられる易しい問題ですが、寝惚けマナコの3人には、何を聞かれているのかサッパリ?

と、いう状態で、哀れ叩き起こされた3人が揃って討死するという結果でした。

敗者復活組の3人にベッドと枕を強奪され、夜中にホテルを追い出されるという罰ゲームまで受けてしまったのです。

こんなイジメとも思えるルール、今の時代ならコンプライアンスという言葉で許可されなかったでしょうね。

全く良い時代の夢のような番組でした。イヒヒ…

 

 

惑わす問題に要注意

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は「素直じゃない」問題も多くありました。

クイズ問題は知って得する面白い知識が喜ばれますが、その様な理想的な問題ばかり出来る訳では有りません。

言葉の意味や成り立ちでも、工夫を凝らせばクイズ問題になる様な単語が日本語の中には沢山あります。

その様な言葉の意味を、単にクイズ問題にしたのでは国語のテストと同じで「教科書問題」という判断でクイズ会議で不採用になってしまいます。

そこで一味工夫を凝らすと、立派なクイズ問題になってしまう事があるのですね。

その方法の一つに「引掛け問題」という手法が有りました。即ち同類で紛らわしい言葉があるものをクイズに仕立てるのです。

昔から本来は畑にならない場所を開拓して畑を創るような時に「開墾」「干拓」「埋め立て」「潮留」「灌漑」といった類語が沢山あります。

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こうした単語は学校で習ったはずの言葉ですが、意味を聞かれると明快に定義を答えられない場合があります。

つまり、早押しボタンを押したものの、いざ答えるとなると、迷って誤答し易い部類の単語なのです。

第16回のグアムで出題されました。

水の中に土などを盛って陸地にする事を埋め立てと言うが、土を使わずに水を退けてしまう方法を何という?

答・干拓

解説  我々は「灌漑」という誤答を予想していました。スタッフのクイズ問題会議でもその様に誤答したスタッフが数名いたからです。

干拓と灌漑は間違いやすい単語で「干拓」は浅い海を堤防などで区切り、内部を排水して陸地にする事を言います。

一方の「灌漑」は田畑を耕作するのに必要な水を、川や湖などから水路で引いて農地を潤す事です。

似ていながら否なる単語、この様な間違いやすい言葉を探してクイズ問題を作るわけで、クイズ作家って素直じゃない性格になってしまうのです。

人間は素直じゃないと、周囲に嫌われてしまいます。

でも、その様な人間を番組は養成していたのですから、罪作りな番組でもありました。大反省!