日本アルプス物語

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの放送されていた時代には、山登りと言えば主に男性のスポーツでした。

その証拠に、〽娘さん、良く聞けよ、山男に惚れるなよー、という歌が山男たちに唄われていました。

しかし、現代では「山ガール」の言葉が2009年頃からインターネットに登場し、山を愛する女性が急激に増えているようです。

それに関連して、山登りのファッションが流行するくらいのブームになっていますね。

昨年の「御嶽山の噴火」でも大量の犠牲者が出たのはこの様なブームの影響と言われています。

さて、山の好きな方にとって日本アルプスという名称は避けて通れない知識でもあります。

クイズ問題にしても、日本アルプス関連の知識だけで、何問でも作る事が可能でしょう。

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そこで、日本アルプスの概要を簡単に記しておきましょう。

そもそも、日本アルプスとは、本州の中央部にある3つの山脈の総称です。

飛騨山脈(北アルプス)富山、岐阜、長野、新潟の4つの県に跨っています。

木曽山脈(中央アルプス)長野、

赤石山脈(南アルプス)長野、山梨、静岡、

これらの山脈の中には、乗鞍岳、穂高岳、白馬岳、北岳、槍ヶ岳のような日本の名山も含まれています。

1881年(明治14)にイギリス人鉱山技師ゴーランドが登山して、本場のアルプスに似ている風景に感動し日本アルプスと名を付けました。

その後,「日本アルプスの父」と呼ばれるイギリス人宣教師ウェストンが世界に紹介し、この名が世界的に定着しました。

このウェストンの功績を讃えて、上高地には「碑」が建ち毎年ウェストン祭が行われています。

これらの情報だけで、クイズを作るならば5問や6問は簡単に作れるでしょう。

第6回のアラスカで出題された問題があります。

問・日本アルプスと言えば、飛騨山脈、木曽山脈ともう一つは何?

答・赤石山脈。

解説 最初は飛騨山脈だけを日本アルプスと呼んでいたという歴史があります。

後に、木曽、赤石の2つの山脈も加わり、総称して日本アルプスと呼ばれ、これをウェストンさんがが世界へ紹介したのでした。

3つの山脈のうち、一番多くの県にまたがるのは? とか、槍ヶ岳があるのは何山脈?

日本アルプスで一番高い山は?

のように、日本アルプスの基本情報を並べると、山岳関連の問題はどんどん膨らんでいきます。

また、ウェストンさんの名を当てるという問題も出来ますよね。

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今、手元に有る資料を参考に、クイズ問題が作られる工程をご紹介してみました。

宇宙探査の進歩をたどる

メリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、人々の興味の高い分野から創られたものが多数あります。

挑戦者も、テレビを見ている視聴者も、興味のある問題は知識が豊富で、一緒に考えられるのでクイズ問題を創る基本とも言えます。

大人も子供もみんなが興味を持つものに宇宙開発の歴史がありますね。

中でも注目すべきは、アメリカ航空宇宙局(NASA)によるアポロ計画といえます。

これは人類初の月への有人飛行計画で、アポロ11号が1969年に人類初の月面着陸に成功しました。

この時のテレビ中継は全世界で放送され、地球上に生きる人類の5分の1の人達が見ています。

歴史的にこれ程、視聴率の高い番組は2度と現れない事は確実でしょうね。

アームストロング船長が月面に降り立った時の言葉「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」も名言として歴史に残りました。

今年は国際宇宙ステーションに日本人の油井亀美也さんが搭乗、先日「こうのとり」がドッキングして、話題になっています。

ウルトラクイズでも、宇宙開発の歴史、日本人の宇宙飛行士に関連した問題は多数出ています。

その様な中で、宇宙研究の最も古典的な問題が第5回のアカプルコで出題されていました。

・ガリレオは望遠鏡を使って多くの星を発見したが、彼が「耳のある星」と言い表した星は?

答・土星

解説 ガリレオ・ガリレイはイタリアの物理学者、天文学者、哲学者などの顔を持つ16世紀から17世紀にかけて大活躍した学者です。

中でも望遠鏡を使って天体観測をし、数多くの業績を残し、天文学の父と称されています。

しかし、ガリレオの望遠鏡は精度が低かったので土星の輪までは見えず、耳のように見えたのでしょう。

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実際に土星の輪を発見したのは、ガリレオが亡くなってから13年後の1655年で、発見者はホイヘンㇲという人物でした。

星の観察は古代からありましたが、天文学として研究されたのは最近の事なのですね。

コペルニクスの地動説を支持しただけで、異端者として差別され、裁判にかけられて有罪判決を受けたガリレオさん。

それでも地球は動いている、も名言です。

現代ならノーベル賞クラスの研究者も、一歩間違えると犯罪者になり兼ねない学問の世界でした。

クイズ問題を創っていると様々な分野の歴史が見え、先達の苦労が手に取るように覗けるのでした。

 

 

 

紛らわしい題名は要注意

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、挑戦者の心理を混乱させる問題が時々出題されました。

クイズは知識を競い合うゲームですから、本当の知識がある人は正解出来るのが基本です。

しかし、深い知識が無くても、広く浅い知識を持ち合わせているだけの人がクイズに強い場合も有ります。

例えば文学の問題でも、作品を読んでいなくても、作者が誰か? どのような人物が主人公か? そのくらいの知識で正解出来るのが普通のクイズ番組です。

でも、我々のウルトラクイズは、その様な浅い知識の挑戦者をふるいにかけて、真の知識を持ち合わせている人間を勝者にしようと図っていました。

そのためには作品の題名だけでは正解出来ない問題を時々出題して、挑戦者の実力を試していたのです。

例えば第3回の後楽園で、次のような問題が出されています。

問・「未完成交響曲」は、シューベルトの最後の作品である。

答・×

解説 クラシック音楽に詳しい人なら、正解出来る問題です。

この問題の場合、広く浅い知識ながらクイズに強い人は勘を働かせて行動するでしょうね。

「未完成」の題名を捕えて、完成しない内に死亡したので最後の作品に違いない、と○に走る事でしょう。

真実は、未完成交響曲は別名「交響曲第7番」と呼ばれ、彼が25歳の1822年に作曲された作品です。

シューベルトはその6年後の1828年に31歳の若さで亡くなっています。

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ベートーベンの「運命」、ドヴォルザークの「新世界」と並んで、クラシック音楽の大衆的人気作品です。

では、何故「未完成交響曲」の名が付けられたのかは真のクラシック・ファンは良く知っている話でしょうが、その辺はクラシック・オタクの世界です。

オタク的な細部の知識は、「重箱の隅をほじる問題」という意味で我々は避ける傾向にありました。

クイズ問題の「難問」「易しい問題」の線引きは微妙な差ですが、逆に知っている問題は誰でも易しい問題でもあります。

クイズが年齢差なく、多くの人に面白いゲームと言われる所以ですね。