アメリカ横断ウルトラ・クイズがブームになった時代に、日本中の大学でクイズ研究会というサークルが誕生していました。
当時、ウルトラクイズのスタッフは「クイズ研が嫌い」という噂が「真しやか」に出回っていましたが、これは全くのデマでした。
我々はクイズ番組ですから、それを研究するサークルは大事なお客さんであり、嫌うはずがありません。
むしろライバルとして、彼らの「裏をかく」ような積りで問題を作るよう問題作者に注文していたのです。
文献や資料からだけでなく、自分の素朴な疑問を調べて問題に仕上げるという方法を推奨していました。
素朴な疑問には、意外に面白い真実が隠されている場合が多いのです。
例えば、火星人といえば「蛸のような姿」をしていますが、一体何時、誰がそのような姿に描いたのか疑問ですよね。
その疑問を調べて、第6回のワシントンで出された問題がありました。
問・SFの祖と呼ばれ、透明人間やタコに似た火星人を創作した作家は?
答・H・G・ウェルズ(1,866~1,946)
解説 イギリスの文明批評家であった彼は、「透明人間」(1,897年)や 「宇宙戦争」(1,898)の小説を発表。SF小説のジャンルを確立しました。
「宇宙戦争」の火星人の姿が、今や世界中に知れ渡っている、あのタコに似た姿だったのです。
正に「SF小説の祖」に相応しい発明といえるかもしれません。
どのような分野にも「元祖」と呼ばれる人達がいますが、この元祖はクイズ問題の基本として押さえて置きたい知識と言えるでしょう。
大学のクイズ研究会も、研究のテーマとして広い分野の「元祖」を調べ上げて記憶していた事だと思います。
でも、SFの元祖がリストに上がっていたかは、我々が知る由もありません。
ウルトラクイズは、挑戦者とスタッフがクイズ問題を予想して、互いに競い合っていた、その様な番組でした。