宝物の正式名称を知ろう

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、人々の知識の深さを測る設問が中心でした。

誰でも知っている常識は、簡単過ぎてクイズ問題にはなりません。

意外性があったり「へー、そうなの?」と楽しめる様な知識の盲点を探し、問題を創っていました。

例えば、近年世界的に話題になる世界遺産の認定と言う話がありますね。

人類にとって「世界の宝物」と思われるのが世界遺産ですね。

同じように国にも、「国の宝物」として永く後世に残したい大切な事象が沢山「あります。

「国宝」「重要文化財」などの名称で呼ばれていますが、これらもクイズ問題になり易い素材です。

第11回のグアムで、次のような問題がありました。

問・どんなに素晴らしい作品であっても、生きている人の作品が重要文化財に指定された事はない。

答・○

解説 判断に迷う悩ましい問題ですね。

普通に考えれば生きている人の作品でも、国の宝にしても良いだろうと考える人も居るでしょう。

現実に「人間国宝」と呼ばれる人が存在するではないか、という意見もあるかも知れません。

でも、重要文化財は1,950年(昭和25)に制定された文化財保護法によって細かく規定されています。

基本的には日本に在る建造物、美術工芸品、考古資料など歴史上、芸術上、価値の高い物を国の責任で後世に残そうという法律です。

最近では、三越デパートの日本橋本店が、重要文化財に選ばれ話題になっていますね。

「三越、」の画像検索結果

同じ日本の宝でも「国宝」「重要文化財」に分かれ、それぞれの法律で保護されています。

中でも重要文化財は、作品が世に出てから50年~100年をめどに協議判断されて認定されるそうです。

また、存命の方で「人間国宝」と評されている方々も各界に数多く存在します。

この定義は、文部科学大臣が指定した、重要無形文化財保持者を指す通称の呼び名との事です。

日本語の辞書でも「人間国宝」は、重要無形文化財保持者の通称と記されています。

言葉の定義で細分化される名称。日本語は難しい上に、ややこしいというのが現実です。

この様な些細な解釈の違いを発見して、クイズ問題にするならば、早押し問題で次の問題が出来るでしょう。

問・日本の宝「人間国宝」の正式名称は何? 

答・重要無形文化財保持者。

重箱の隅をほじる様な問題で、知識の深さは解りますが、楽しい問題とも言えません。

でも、決勝戦などの場面なら、この難解な問題も正解を聞いた視聴者が「凄い!」と驚く効果が期待できます。

我々は、クイズ問題をどのような場面で出すか、気を使って分類していたのです。

「人間国宝」は正式名称ではなく「通称」である。本日の一言知識でした。

 

 

 

 

 

良く目にするマークを知る

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、誰でもが疑問に思う知識を問う事が基本になっていました。

誰でもが日頃、目にしていながら、その意味が解らない現象はクイズに最適な題材と言えるでしょうね。

例えば、地図に記されているマーク、道路に設置されている標識、これ等の中で知っているようで知らない事象が結構多いのです。

我々は、この様な盲点を探し、クイズ問題に仕上げていました。

第9回のパリの決勝戦で次のような問題がありました。

問・マルの中にアルファベットのCを書くと著作権。では、マルの中にRを書くと何?

答・登録商標。

解説 Ⓡはレジスター(Register)の略で、登録されたという意味の登録商標を表します。

現代では、権利が大きな財産を生む事が多く、©の著作権をはじめ、Ⓡ登録商標など権利関係の表記があちこちに提示されています。

今なら一般常識になっているこのマークも、問題が出された時代には、まだ世の中にあまり知られていなかったのです。

バブル景気が始まったのは、この翌年からで、バブル時代に高価なブランド品が飛ぶように売れ、偽物のコピー商品が出現したのでした。

「コピー商品取締...」の画像検索結果

高級ハンドバック、財布、衣類など、偽物を掴まされ腹を立てた方も多かった時代です。

この時代からⒸのマークが一般的に知られる事になりました。

以後、権利を巡っての争い事も多くなりましたね。

最近では、スイスの高級時計フランク・ミュラーとパロディー商品「フランク三浦」の裁判騒動が有りました。

知財高裁では、フランク三浦側が勝訴しましたが、収まらない御本家の方は、上告するなど長引きそうな雲行きです。

数多くの商品や宣伝文などの印刷物に登場する、こうしたマークや記号にも、それぞれの意味が在る訳です。

「?」と思っても普通の人は見落としてしまう。でも、クイズマニアは、疑問に思う事は意味を追及します。

この辺りの心構えが、クイズの勝ち負けの分かれ道なのでしょうね。

 

 

通称という表現も要注意

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、通常の常識と、その分野の専門家の中で知られた知識が混在しています。

中には「そんな決まりがあるの?」と問題を聞いて、初めて知る様な問題もあります。

第2回、番組の初期の頃の問題ですが、デンバーで次のような問題がありました。

問・「音楽の母」と呼ばれる作曲家は誰?

答・ヘンデル

解説 「音楽の父」といえばバッハといわれています。外国でもThe  Father  of  Music と呼ばれています。

そのバッハとヘンデルは共に1,685年生まれの同い年で、バロック音楽の2大巨匠と言われていました。

誰が決めた訳ではなく、一方が父と評されているのだから、残る一方を母と評したという説が有力です。

男性なのに母との表現はおかしい、との声もありそうですが音楽の世界ではこれが定説になっています。

定義によって決められた訳で無くても、専門の世界の常識ならば、正解と言うのが我々の基本でした。

因みに、後世に名を遺した大作曲家の中には、通称として様々な呼ばれ方をされた偉人が多勢います。

覚えて置くとクイズに役に立つ通称は以下の通りです。

交響曲の父、弦楽4重奏の父=ハイドン。      神童=モーツアルト。               楽聖=ベートーベン。               ピアノの詩人=ショパン。             歌曲の王=シューベルト。

schubert[1]

ほとんどが、ご当人が亡くなってから後世の人々が、自然発生的に偉業を讃えて評したと伝えられています。

音楽に限らず、文学、スポーツなど、各界で名を遺した偉人は、本名の他に通称○○と呼ばれていた、という問題が多数ありましたね。

こうした知識の幅を広げるのも、クイズに勝ち抜くための方策だったのです。