言葉の遊び

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は難しい問題もありますが、小学生でも答えられるような易しい問題も沢山含まれていました。

家族で愉しんで戴きたい番組、という主旨からいえば小学生でも参加出来るレベルの問題は当然必要です。

但し、問題に遊びの要素があれば理想的、という観点で問題を作成していました。

第3回のグランドキャニオンで次のような問題がありました。

・カエル、雷、ネーブル、ゴマ。関係の深い言葉は何?

答・へソ。

解説 現代の小学生では難しいかもしれませんが、当時流行したコマーシャルで、カエルの置物の前で、悪ガキ風の子供が「おまえヘソ無いじゃないか!」というのがありました。

悪ガキのキャラクターと、カエルにヘソが無いのを題材にしたヒットCMでした。

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雷さんは人間のヘソが好物で、「お腹を出していると雷さんにおヘソを取られちゃうよ」というのが昔の親の教えでした。

夏に子供がお腹を冷やさないために考えられた、親の知恵から生まれた格言なのでしょう。

ヘソの垢をヘソのゴマと呼んでいたのは、昔からの日本人の考えた言葉です。

また、ブラジル原産ネーブルオレンジは、球形ないし楕円形で、頂点がヘソのように盛り上がっていることから輸入された当初はヘソと呼ばれていました。

このように、数個の単語に関連する言葉を探す問題は小学生でも参加出来るクイズ問題として、時々採用されていたのです。

このブログにコメントをお寄せ下さる方の中にも、小学生時代から番組を見ていた、という人が多いのに驚きます。

当時の我々の願いが、この皆さんに伝わっていた証であり、とても嬉しく思います。

 

 

地球は丸い 証明の問題

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題の中には地球が丸い事に関する問題が多数ありました。

例えば大航海時代に、マゼランが1522年に人類初の世界一周を果たしました。

マゼランはポルトガル人の航海士で冒険家、マゼラン海峡の発見者、太平洋の名付け親、など多くのクイズ問題になっています。

人類初の世界一周はマゼラン、と学校の教科書では習いました。

でも、マゼランの歴史を調べると、世界一周したのはマゼランの率いるスペイン艦隊なのです。

当のご本人は航海の途中、1521 年に島の住民と戦いになり、戦死しているので残念ながら世界一周を果たしていなかったのが解ります。

この辺はクイズ問題には出ていません。

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ヨットマンが世界一周をする場合、マゼラン海峡を通過しないと、太平洋から大西洋に抜けられません。

でも、マゼラン海峡を通過せずに、他の方法で太平洋から大西洋へ通過した船があったのです。

それは第12回のバローでの敗者復活戦で出題されていました。

問・北極点を通過し、太平洋から大西洋に抜ける事に初めて成功したアメリカの潜水艦は?

答・ノーチラス号

解説 アメリカ初の原子力潜水艦、ノーチラス号が1958年の8月3日に北極点を通過しています。

この時は太平洋からグリーンランドへ向かう航路で「ノーチラス、北90度」と打電しており、この電文も有名です。

マゼランの世界一周から436年後、潜水艦が北極海の氷の下を潜ったまま、太平洋から大西洋へ抜けた訳ですから、人類の知恵は驚くべき進歩ですね。

この問題はバローの海岸で、見渡す限り氷の北極海を目の前にした場所で、ご当地問題として出題されました。

「あの氷の下を潜っていたのだ!」挑戦者の感慨はひとしおだったと思いますよ。

 

 

懐かしい風景に出会う

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズのロケやロケハンでアメリカ各地を旅していると、スタッフや出演者がホームシックにかかる事があります。

家族や友人と別れて、長い旅を続けている訳ですから当然の心境と言えるでしょうね。

第14回は、アメリカ大陸を西海岸から東海岸まで全コースを車で横断するという、文字道理「アメリカ横断」の旅でした。

アメリカは広い国ですから、車で何時間走っても、地平線が見えるだけで景色の変化が見られない場合が多いのです。

その様な時に「おや!、これはどこかで見た景色」と懐かしい日本の道路を走っているような気分になった事がありました。

道路の先に、あの白い帽子を被ったお馴染みの富士山の姿があったのです。

どのように眺めても富士山にそっくりの姿。

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日本各地には富士山に似た姿の山が点在し、それぞれ山の本名の他に「○○富士」と呼ばれています。

ロケハンでこの山を見た時に、早速クイズ問題を創りました。

その問題は、第14回のオレゴン街道で出題されました。

問・頭に万年雪を被った「マウントフッド」。かつてオレゴン州に住む日系移民たちが、日本を懐かしんで名付けた呼び名は?

答・オレゴン富士

解説 実に簡単明瞭で、クイズとは言えないほど易しい問題でした。

このマウントフッドはオレゴン州、ポートランド市の東南東80kmの場所に位置する、富士山のそっくりさんなのです。

標高も3,427mと富士山に近い高さですし、スキー場などもあって、地元では観光地になっていました。

クイズの挑戦者達も、初めてこの山を見た瞬間には「わーっ、富士山にそっくり!」とホームシックも吹き飛ぶくらい喜んでいました。

考えて見れば、日本にも同じような形の山が各地に在るのですから、広いアメリカ大陸に在っても不思議ではありません。

この年のコースは、太平洋側から大西洋側まで、北米大陸は直線で結んで6,000kmと言われています。

我々はジグザグにコースを組んで走ったので9,000kmもの距離を走りました。

その一部分、富士山を眺めながらのドライブは、しばしホームシックを忘れさせてくれた妙薬でありました。

 

意外!レジャー用具の目的

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、時には聞いてビックリの意外性のある情報が含まれています。

知って得する話、思わず他人に自慢したい知識、クイズ大好き人間の好む問題として、我々は常に意外性のある問題を探していました。

その様な中で面白い情報が入ってきました。

当時、レジャーの中で、海底を散歩するスキューバダイビングが人気のスポーツとして流行していました。

海の底には、様々な魚やサンゴ礁など、日常では御目にかかれない別世界が拡がっています。

その様な別世界を、自由に散歩したいと思うのは自然の欲求でしょう。

とは言え、誰でもが自由に潜れる訳では有りません。

スキューバダイビングを楽しむためには、一定の訓練を受けライセンスを取得しなければならないのです。

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現代では人気のレジャー・スポーツですが、元を辿ると何んと戦争の兵器として開発されたものだったのです。

そこで作られた問題が、第14回のタヒチで出題されています。

・ダイビング用具の「スキューバー」を発明したフランスの軍人は誰?

答・クストー

解説 ジャック・イヴ・クストーは元フランス海軍の軍人で、第2次大戦中に特攻兵器の一つとしてアクアラングを発明しました。

退役後は海洋学者として海底の研究に没頭し、世界的な名声を得ています。

ドキュメント映画「沈黙の世界」をルイ・マルとの共同監督として国際映画祭で最高のパルムドール賞を受賞しています。

日本でも「驚異の世界ノンフィクションアワー(日本テレビ系)で海底の不思議な世界を描き、話題になっていました。

今では海のレジャーの代表的なスキューバーダイビングが、元を辿れば戦争の兵器目的で開発されたのです。

そう言えばジェームス・ボンドが活躍する、「007シリーズ」でも、ボンドが海底でスキューバーダイビングを使い、敵の艦船を爆破するようなシーンがありましたね。

今では映画やテレビの、海底の活劇には欠かせない道具でもあるようです。

この意外性がクイズ問題の楽しみでもありました。

 

 

自然現象の恐ろしさ

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、台風や地震、津波、土砂崩れなど、自然現象に関する問題も多数含まれていました。

今年は7月7日から気象衛星ひまわり8号が本格的に始動をはじめたので、天気予報が格段と正確に伝えられるようになりました。

ひまわり8号の特徴は、世界初となる地球のカラー写真の撮影に成功したことで、より正確な情報が得られるのだそうです。

それにしても今年は台風の数が多いとか、大雨が続くとか、それによって各地で大水や崖崩れが発生するなど、自然災害に見舞われています。

また、日本ではあまり被害の無かったはずの竜巻が各地で発生し、気象情報でも詳しい説明がなされています。

現代の人なら正解率は高いのでしょうが、第11回のグアムで次のような問題がありました。

問・つむじ風が成長すると竜巻になる。○か? ×か?

答・×

解説   つむじ風は地表で渦を巻いて吹く強い風です。

原因は地面が熱せられて起こる上昇気流の渦が、砂を巻き上げたり、テントを吹き飛ばしたりする事があります。

これに対して竜巻は上空の空気の不安定が原因で発生し、空気の細長くて強い渦巻きで、地上の物を巻き上げて破壊したり大暴れします。

つまり、つむじ風が成長して竜巻になるのではなく、発生の原点が異なっているのですね。

Record Rains Spawn Epic Floods In Austin, Texas Hill Country

どちらも怖い自然現象ですが、被害が大きくなるのは竜巻の方と言えるでしょう。

科学の進歩によって、気象情報が一昔前とは大違いで、天気予報も当たる確率が高くなりました。

その内に、台風の進路を変更させる技術が発明されると良いのですが、それは夢のまた夢という位、遠い夢なのでしょうね。