語源が今話題になっている

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には「言葉」という分類がありました。

外来語、方言、語源など細かく分類する事も出来ますが、これ等を一括して言葉という範疇の問題が毎年数多く創られていました。

何故か、最近テレビのワイドショーで言葉をクイズ形式で紹介するコーナーが誕生し、好評のようです。

知識欲は何時の時代にも、興味の対象なので、このコーナーを楽しみにしている視聴者が多いと聞きます。

ウルトラ・クイズで出題された語源も幾つかありましたが、それはさて置き、第15回の東京ドームで次のような問題がありました。

問・「つめたい」という言葉は、「爪が痛い」と言うところからきている。

答・○

解説 爪が痛いから「冷たい」! まさかそんな馬鹿なと思う素直な人が半分。

逆に、まさかと思うから○だろう、と逆に疑り深い人が半分。

東京ドームの問題は5分と5分に分かれるのが理想的でした。

辞書でも「冷たい」は「爪」痛しの転と説明されているように、語源は爪にあったのです。

昔は、現代と異なり、瞬間湯沸かし器などと言う便利なものは存在しません。

冬の水は「爪痛い」ので、これを短縮して「つめたい」と生活の中から自然発生的に生まれた言葉でした。

この回は語源の○×問題が何問かあり、グアムでも次の問題がありました。

問・ズボンは足を「ズボン」と入れる処から、この名が付いた。

答・×

解説 そんな馬鹿な! とトメさんの声が聞こえそうな問題です。

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正しくはフランス語のペティコートを表す「jupon」が訛って「ズボン」になったと言われています。

馬鹿馬鹿しい例と、真実を取り交ぜて挑戦者の思考を混乱させる、クイズ問題にはその様な落とし穴が仕掛けられていたのでした。

 

 

 

 

琴奨菊の優勝に沸く相撲ファン

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、スポーツの枠で相撲関連の問題が毎年出題されていました。

相撲は日本の国技ですから、相撲に関する知識は日本人の常識であり、クイズ問題の定番とも言えます。

先日終わった初場所では、琴奨菊が日本人として10年ぶりに優勝し、相撲人気が盛り上がっています。

今までは日本の国技でありながら、モンゴル出身の力士が強すぎましたね。

それだけに、日本人の優勝が10年間も空白になっており相撲ファン以外の人達まで大フィーバーしていました。

ところで、相撲では歴史的に誰が一番強かったの? と言う話題が出る事があります。

これに記録の優勝回数で、判断する人達がいますね。

現在の優勝回数では1位白鵬の35回、2位大鵬の32回、3位千代の富士の31回がベスト3です。

しかし、戦前に活躍した双葉山は優勝回数こそ12回で8位ですが、当時は年に2場所で、69連勝という記録を打ち立てています。

これは驚異的な記録であり、場所数などを考えると誰が一番強いか、単純には比較できません。

第14回のグランドテイトンで、同じような設問がありました。

問・あまりにも強すぎるため、「鉄砲」「張り手」「かんぬき」の三手を、禁じ手にされた江戸時代の名大関は誰?

答・雷電為右衛門

解説 伝説の力士である彼は、これだけのハンデでも、優勝26回、全勝8回、土つかず23場所という大記録を残しています。

時代が異なるので、直接対決は不可能なのです。

従って「誰が一番強かった」という議論はナンセンスなのですね。

久々に盛り上がった相撲人気、果たして来場所は琴奨菊が連続優勝なるか? この期待で一層盛り上がりそうです。

日本の国技を守るためにも、日本人力士の横綱の誕生が期待されています。

頑張れ! 琴奨菊~。乞う、日本人横綱誕生!

 

 

奥の深い神話の世界

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、超難問も含まれていました。

クイズの問題選考会議で「そんな問題に正解者は出ないだろう」と否定されている問題です。

この会議に出席するメンバーは、クイズに詳しいと自負する人間が多いのですが、彼らでも答えられない問題が時々出てきます。

でも、調べて見ると背景が面白いので、正解者が出れば「拾い物」との意味でその様な問題も時には採用されていました。

第16回のフィラデルフィアで、出題されています。

問・仏教を守護する神である四天王。この四天王に踏みつけられている鬼を何という?

答・天邪鬼(天の邪古でも可)

解説 人の言う事やする事にわざと逆らうひねくれ者を天邪鬼(あまのじゃく)といいますね。

これはどの様な鬼なのだろう? と疑問を持って辞書で調べると、説明の中で四天王に踏みつけられている鬼との解説がありました。

特に毘沙門天が腹部に付けている鬼の面、との説明もありました。

一般に「四天王」の言葉も有名ですが、ではその4人の神様とは? これも謎です。

仏教では東を守る持国天、南の増長天、西の広目天、北の多聞天(毘沙門天)の4人の神様で、仏教の守護神とされています。

四天王とは、元々はインドの神話の中に出て来る4人の神様達だったと伝えられています。

でも、これ等の神様は熱心な仏教徒ならご存知でしょうが、一般的には余り知られた神様ではありません。

でも、七福神でお馴染みの「毘沙門天」は有名なので若しかすると正解者が出るかも、との予測で採用された問題でした。

クイズに強い人は、こうした難問にも果敢に早押しボタンを押してきます。

知らなくても済む知識を吸収する!多分、彼らは日頃周囲から、「あまのじゃく」と影口を囁かれているかも知れませんね。

天邪鬼の語源から発生した、クイズ問題。

更に神話を調べると、小説よりも面白い物語が出てくるような予感がします。

私にも天邪鬼な素質がありそうで……。

 

 

時代で変化する花形職業

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返って見ると、時代の流れによって人々の興味の対象が変化している事が解ります。

例えば、憧れの職業等も時代によってどんどんと変化します。

例えば最近の女の子のデータでは、1位保育士、2位看護師、3位パティシエの順だそうです。

男子の場合は、公務員、医療関係、プログラマーなどが人気のようですね。

昔は女の子なら、スチュワーデス、美容師、花屋さんなどが人気でした。

又、男の子の場合は野球選手、サッカー選手など、スター選手に憧れるというのが一般的な流れでした。

でも、現代は夢よりも実利を求める人が増えているような傾向です。

第14回のエリーで、次のような問題がありました。

問・アメリカで初めてスチュワーデスが登場した時、採用条件としてある職業の資格が必要でした。さて、その資格とは何?

答・看護婦。

解説 現代では看護師と呼び名が変わりましたが、1930年、初の飛行機便が誕生した時のスチュワーデスの採用条件は以下の通りでした。

年齢25歳以下、体重52㎏以下、身長163cm以上、そして正規看護婦の資格を有する事。

要するに容姿端麗で、乗客が体調を崩した場合、その手当が出来る事、という厳しい条件だったのです。

それだけに待遇も優遇され、女性の人気職業だったようですね。

日本では大部遅れて、70年代~80年代にはスチュワーデス(キャビンアテンダント)が憧れの職業第1位になっていた事がありました。

歴史は繰り返すという言葉がありますが、その昔アメリカで人気職業だったのがスチュワーデス、その資格が看護師さんでした。

その看護師さんも、時が流れて再び若い女性達の憧れの職業になる、正に歴史は繰り返していたのです。

 

 

 

魚類の分類?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の分類で魚類という枠がありました。

魚には、成長すると名前が変化する出世魚と呼ばれる魚がいます。

有名な処では、ハマチ→メジ→ブリが代表的な出世魚と言えるかもしれません。

セイゴ→フッコ→スズキも、クイズには良く出る出世魚の例でしょう。

又、魚の名前を表す漢字もクイズの定番ですね。

魚編に弱いと書いて「鰯」。魚編に里と書いて「鯉」のように魚の名前は大体魚編が付いています。

このような魚の問題で一味変わった問題が、第⒕回のタヒチで出題されています。

問・「シラウオ」「シロウオ」「シラス」このうち成長すると名前が変わる魚は?

答・シラス

解説 シラスはイワシ、アユ、ウナギなどの稚魚を総称した名前です。

つまり、成長するとそれぞれの名前で食卓に上がる魚の稚魚なのですね。

これに対して、シラウオはシラウオ科。シロウオはハゼ科の魚で、良く混同されますが出世魚ではありません。

この様に、魚の名前は混同し易い分野なので、クイズ問題にはなり易いのです。

でも、我々が特に留意したのは魚は地方によって、呼び方が変わる場合が多いのです。

学名が何であれ、実際に地方で使われている言葉を問題にする場合には、細心の注意を払わないと正解に対してクレームが付きます。

答の正誤に疑問符が付くクイズは、例え面白い問題と言えども、採用は出来ないというのが我々の姿勢でした。

神経質に成り過ぎ、という批判が出るかも知れませんが、視聴者の信用は一度失ったら回復するのは大変です。

番組が長寿になるにつれ、責任が重くのしかかる、それがスタッフ全員の運命でした。