外来語の不思議な効力

アメリカ横断ウルトラクイズの問題の中には、世の中の流行を捕えた問題が時々出されています。

60年代70年代辺りから、日本人の会話に外来語が多く登場するようになりました。

では、人々が使う言葉の正しい意味を理解しているのか? そんな疑問を問う基本的問題がありました。

第12回のブエノスアイレスで出題されていました。

アメリカの心理学者・エリクソンが定義した言葉で「自己同一性」「自己存在証明」といった意味を持つ言葉は?

答・アイデンティティー

解説 本来この問題は、ウルトラクイズらしからぬ問題でした。

我々は、常々教科書にあるような問題は避けおり、この問題は英語の単語を問うようで相応しくありません。

でも、巷ではこの言葉が盛んに使われていたので、人々は意味を理解しているのか試してみたのです。

辞書によれば「身元、本人である事。自我同一性、自分が自分であることの認識」とあります。

難しい説明ですが、心理学の基本概念の一つで、超難問とも言える問題だったのです。

でも、当時の人々の会話に良く使われていたので、クイズマニアであれば、辞書で意味を確かめた事でしょう。

処で、当時外来語を多用したのは化粧品、広告宣伝業界の人々でした。

「化粧品 ブラン...」の画像検索結果

対話の相手が「それ、どういう意味?」と聞き難いので、煙に巻く魔術の効果を狙ったものと思われます。

そういえば、テレビのコメンテイターや文化人で、外来語を多用する人がいます。

これも怪しいですよ。

これ等の人の言葉は、耳で聞いていると辻褄が合っているように聞こえます。

でも、活字に起こして読むと意味不明だったり、論点が矛盾する事がしばしばです

との現実を考察すると、外来語は会話の魔術的効果があると言えそうです。

社内の会議でも外来語を多用する社員がいますが、魔術効果を狙っての事でしょう。

騙されないようにご用心!

 

国会議員の素顔と現実の差

 

アメリカ横断ウルトラクイズの問題を振り返ると、現代に通じる設問が見当たります。

7月23日と24日の2日間、国会予算委員会で加計問題、自衛隊南スーダンのPKO日報問題、がテレビ中継されました。

国民的な関心事だったせいもあり、多くの国民がテレビの前に釘付けになった事でしょう。

この中継で、大臣やそれに準ずる政府の高官が、ずらりと並んでテレビで大写しされていました。

第6回のワシントンで、こうした情景を問う問題がありました。

問・国会の本会議場の大臣及び政府委員の席を、俗に何と呼ぶ?

答・ひな壇

解説 日本古来の伝統的な儀式に、桃の節句があります。女子の健やかな成長を祈る儀式です。

平安時代、貴族階級の遊びに端を発しており、諸説あるので詳しい解説は省きます。

いずれにしても、ひな壇に飾られるのは、内裏雛(親王と親王妃)を中心に宮中の高貴な方々です。

雛祭りのひな壇に準えて、国会の重鎮の並ぶ席をひな壇と呼ぶようになりました。

「加計問題参考人...」の画像検索結果

さて、先日の国会中継での、ひな壇に並んだ政府高官は国民の尊敬に値する姿だったのでしょうか?

誰が見ても、追及に対して真実を語っているようには見えませんでした。

新聞社の調査では、大多数の国民が「嘘、又は信じられない」と答えています。

「忘れた」「記憶に無い」「覚えていない」の同じ言葉のオンパレードでした。

少なくても、正直でない、誠実さが感じられない、との感想を持った国民が大多数でした。

SNSでも、こうした声が氾濫していましたね。

と、なると立派な紳士淑女の仮面をかぶる議員センセイの素顔は、果たしてどうなのでしょうね?

親分を守るためなら、嘘なんて当たり前のように見えましたよ。

でも、政治家が本来守るべきは、国民の安全、安心、平和な生活のはずでしょう。

我々の先祖は、良い言葉を残してくれています。

「嘘は泥棒の始まり」政治家は先ず「日本の諺」を学ぶ事からスタートしてください。

 

脚光を浴びる将棋のルール

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、時流に乗った旬の知識と、常に変わらない不変的な知識の2種類がありました。

昔から日本人の娯楽であった将棋が、今年は天才中学生藤井聡太君の登場で、ブームになっています。

日本人の大多数が、子供の頃に将棋で遊ぶとの経験があるようで、多少はルールを知っている事でしょう。

将棋のルールは、日本人には不変的な知識の範疇に入るかも知れません。

否、全くルールを知らない人であっても、今年の旬な話題ですから、多少興味を持たれた人もいるでしょう。

今から30年以上前の第12回に、将棋のルールに関する問題がありました。

東京ドームでの第1次予選、〇✖問題です。

問・将棋の対局中、相手側に回って将棋盤を眺めるのは反則である。〇か✖か?

答・✖

解説 当時の調査では、加藤一二三9段は相手側に回って盤を見る事がある、と説明されています。

「加藤一二三」の画像検索結果

面白いのは、今年の将棋ブームのルール解説でも、この件が話題となり、当の加藤名人が直接説明していました。

加藤名人によると、相手にプッシャーをかける等、勝負の戦術の一つでもあったようです。

尚、加藤名人は昭和54年14歳7カ月で史上初の中学生プロ棋士となり、62年間第一線で活躍してきた重鎮です。

それが奇しくも、藤井聡太君に敗れたのをきっかけに、引退を発表しています。

将棋でも、相撲の様なスポーツでも、勝負の世界ではどんな強者も、引退を迎える時がやって来ます。

史上初の中学生プロ棋士が、現代の天才中学生に敗れるというドラマ・チックな戦い! 今年の重大ニュースになるでしょうね。

今年の旬な話題、将棋界の記憶に残る名勝負を振り返って見ました。将来クイズ問題になりそうな題材として。

 

 

元祖!真夏の夜の愉しみは?

 

 

 

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人の常識を問う設問が多くありました。

日本人の常識の定番で、真夏の夜の愉しみに「怪談話」がありますね。

娯楽の少ない江戸時代に、暑い熱帯夜にゾクゾクと寒気を呼ぶ手法として、怪談話は最適です。

数多い怪談の中で、元祖と呼ばれるのは「四谷怪談」でしょうね。

日本人の常識、「四谷怪談」に関する問題は第13回のクイーンズ・タウンで出されています。

問・江戸・四谷怪談の田宮伊右衛門の妻は誰?

答 お岩さん

解説 日本人の常識として、「四谷怪談」の粗筋くらいは知って置きましょう。

「四谷怪談とは」の画像検索結果

そもそも「四谷怪談」とは、元禄時代に実際に起きた殺人事件をモデルに創られたお話です。

一つは鶴屋南北という戯作者が書いた歌舞伎のお芝居で大当たりしました。

もう一つは三遊亭圓朝の落語でした。

共に、実在の事件をモデルに創られていたので、リアリティーがあり、江戸っ子達に大人気だったのです。

事件は江戸の雑司ヶ谷・四谷町(現・豊島区雑司が谷)が舞台です。

基本的なストーリーは「貞女・岩が夫・伊右衛門に毒殺され、幽霊となって復讐を果たす」というものでた。

田宮伊右衛門(31歳)と妻のお岩(21歳)が四谷に新居を構え新婚生活を送っていました。

ところが伊右衛門は田宮家の婿養子の身でありながら、上役の娘と重婚して子を儲けてしまったのです。

その事を知ったお岩は発狂、後に失踪(実は伊右衛門によって毒殺されていたのです)

その後、お岩の祟りによって伊右衛門の関係者が次々と死んでいき、最終的には18人が非業の最期を遂げたとのストーリーです。

この芝居や映画を作ると、お岩の祟りで関係者が次々不幸な事故や災難に遭遇するとの伝説があります。

於岩稲荷田宮神社3.jpg

従って、現在でも作品化する時は、関係者が「お岩稲荷神社」にお参りをするのが恒例になっているのです。

真夏の夜向きの、サスペンス・ドラマの元祖は「四谷怪談」だったとのお話でした。

常識の不思議を覗く

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本人の常識を試す問題がしばしば登場します。

常識とは、誰でもが知っている知識と解釈しますが、中には知っているようで、実は知らない事もあります。

この様な事象を集めて、常識の不思議との書籍も各分野で多種出版されています。

日本の常識、世界の常識、各分野の常識、それぞれ多数あり、音楽で覗いて見ると面白い記事がありました。

日本人が知っている童謡でも、実は知っているようで謎が多いのだそうです。

第4回のコロラド・スプリングスで、次のような問題がありました。

問・童謡「七つの子」でカラスは何と鳴く?

答・可愛い、可愛い

解説 〽可愛い 可愛いとカラスは鳴くの、可愛い 可愛いと鳴くんだよ~

常識の不思議は、この設問でスタートしたいと思います。童謡「七つの子」は日本人に尤も親しまれた唄と言えますね。

「童謡、七つの子」の画像検索結果

野口雨情・作詞、本居長世・作曲。1921年(大正10年)に発表された名作です。

カラス 何故鳴くの カラスは山に 可愛い七つの子があるからよ

誰でも知っている詩ですね。でも、七つの子とは、7歳の子なのでしょうか? それとも7羽の子なのか?

子供に質問されたら、どちらともハッキリ断言出来る人は少ないと思います。

批評家は、雨情の私生活との関連で、無事に七歳まで育ってほしい親心を託した歌だ、等と解釈。

また、別の研究者は、子供の頃の淋しさを思い、7人兄弟でにぎやかな家族を望んでいたはず、との説を唱えたりしています。

雨情ご本人は、七つの意味を述べていないようです。

そこで、鳥類の研究者に尋ねると、カラスは卵を一度に7個も産まない。7羽の子の説はダメ。

7歳まで元気に育つ説は? カラスの寿命はそんなに長くないので、非現実的で論外との事。

という事は、正確な結論は出ないのです。

要は、常識の不思議であって、それぞれの解釈で心温まる説を子供達に伝えるのが親の努めでしょうね。

童謡は、昔は子供が弱年の頃、親が唄って聞かせ、親子の絆を深める役目をしていました。

でも現代では、アニメやゲームが取って代わり、童謡を子供に唄って聞かせる親も少ないでしょう。

世の中の移り変わりは、見方によっては「無情」と言えますね。また、年寄りの冷や水ともいえます。