日本人の常識も変化する

 

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本人なら知って欲しい伝統的な常識問題が数多く採用されていました。

間もなく春たけなわ。春と言えば誰でもが知っている、春の七草がありますね。

子供の頃、セリ、ナズナ、ごぎょう、はこべら、仏の座、スズナ(蕪)すずしろ(大根)春の七草と記憶した方は多いと思います。

これ等は、春になると道端で見かける草であり、昔の子供達はそれぞれの草の名前を知っていました。

とは言え、現代では道端に草が生える環境が減ってしまい、草の名前など覚える機会も極端に減っています。

日本人の常識的な知識も、時代と共に変化する代表的な例でしょうね。

クイズの場合は、多くの人が忘れている知識を競うゲームでもあります。この春の七草に関しては、第12回パシフィカで次の問題が出されています。

問・春の七草の一つ。実の形が三味線のバチに似ているのでこの名がついたのは何?

答・ペンペン草

解説 三味線の音にひっかけてペンペン草と呼ばれていました。この草の正式名はナズナです。

「ナズナ」の画像検索結果

上の写真で解るように、小さな実が三味線のバチに似ていたので、誰が言い出したのか、自然発生的にこの名前が付けられたものと思われます。

間もなく野山では草木が芽吹く季節。毎年、山菜を求めて山に入るのを楽しみにしている方も多い事でしょう。

秋のキノコ狩りは、毒キノコの危険も有り、専門家でも選別が難しいとされています。でも、春の新芽はそうした事故がニュースになる事はありませんね。

本題に戻ります。

時代によって人々の常識は変化します。本日は身近な現象を例にクイズ問題でご紹介してみました。

 

 

動物の習性は面白い!

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、知って得する面白い情報を集めて創っていました。

面白い話の中には、動物に関する習性がありますね。子供から年配者まで動物が好きな人は多いので、興味を惹く話題です。

そのような中から、特に印象に残った問題を振り返って見ました。多分、記憶に残っている方もいると思います。

第7回の後楽園球場で出された問題です。

問・シロクマは、アザラシを襲うとき、黒い鼻を手でかくして近づく。〇か✖か?

答・✖

解説 問題の状況を想像すると、実に滑稽で有りそうな漫画的な場面ですね。もしかすると本当だろう? と考える人が半分。

否、面白いけれど、そんな話は聞いたことがない。引掛け問題に違いない、と疑う人が半分。

我々は、そのように計算し、適当な人数が残った第4問目に出題したのです。

結果は予想の通り見事に半々に別れ、同時にあちこちで笑いの声が巻き起こったのです。

「白熊」の画像検索結果

因みに白熊はアザラシを狙う時、優れた嗅覚で匂いを察知し、氷上にいるアザラシに忍び寄って捕獲するそうです。

白熊以外にも動物は本能的に動き、その中には面白い動作が多いですね。研究者はそれぞれに理由をつけ、人々も納得しています。

そんな中には、問・カメレオンは目かくしをすると色が変わらない。〇か✖か? 答・✖

解説 カメレオンは周囲の状況に合わせて、同じ色に変色します。外敵から身を護るもので保護色と呼ばれます。

しかし、目で視て変色する訳ではなく、肌全体で周囲の状況に合わせているので、脳の仕掛けはそのように創られているとの事です。

自然の成り立ちは、本当に凄い事が解ります。

この様に知って面白い情報は、主に雑誌や新聞などが情報源ではありません。クイズ作家の皆さんが、自分で発想し調査した結果、解った事なのです。

クイズ問題には作者の欄に、情報源を記す枠があり、ここに発想と書かれた問題が「面白い」と評価されていたのです。

ウルトラクイズが17年も続いたのは、クイズ作家の皆さんのこうした地味な働きが大きな原動力だったのです。

本日の裏話は面白いクイズ問題の成り立ちのお話でした。

 

 

 

 

ご当地問題の愉しみ

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、クイズのロケ地に関するご当地問題と呼ばれる設問がありました。

世界各地でロケを行った番組なので、普段は誰の目にも止まらないような知識が紹介されるので、クイズ・ファンには好評の問題でした。

第15回で大西洋のドミニカ共和国を訪れた時に、次のような問題があり、多くの人の好奇心を呼び起こしました。

コロンブスの新大陸発見の際、インドと間違えたために命名された諸島とは何?

答・西インド諸島

解説 コロンブスがインドと勘違いして到着したのは、現在のドミニカ共和国の在るイスパニオーラ島です。

この島は、キューバに次ぐ大きな島で、島の東部がドミニカ共和国、西部はハイチ共和国です。

アメリカ大陸を発見したコロンブスが、何故この国の名前になっていないのか? 次のような理由が有ります。

コロンブスはこの島をインドの一部だと勘違いしていた。

これに対しアメリカの名の由来は、アメリゴ・ヴェスブッチとの航海者から命名されたものなのです。

ヴェスブッチはイタリアのフィレンッェで生まれ、大航海時代に航海者として大西洋を渡り、アメリカに到達しています。

「アメリゴベスプ...」の画像検索結果

ヴェスブッチは、コロンブスの1,492年より5年早い1,497年に島を発見、上陸して各地を探検、「島ではなく新大陸」と呼んだのだそうです。

コロンブスはインドと勘違いしたのに対し、ヴェスブッチは新大陸と呼んだので、後の学者たちの合議でヴェスブッチの名を国名に採用したとの事です。

これには研究者によって諸説あり、その一つが以上の説である事を念のため付け加えます。

何れにしても、ご当地問題は世界の面白そうな情報が散りばめてありましたので、雑学的には宝庫だったかも知れません。

本日の裏話は、アメリカ合衆国の国名に関するお話でした。

 

昔話が懐かしい

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返って見ると、忘れていた昔の記憶を呼び戻す事があります。

子供の頃には、多くの子供達が親しんだ「昔話」や「お伽話」は子供時代の常識的な知識でした。

でも、大人になって思い出そうとしても、記憶がハッキリしないものが結構あります。

一般には「ド忘れ」と呼ばれ、大して重要な問題とは考えません。しかし、クイズ問題はこの辺の隙を突いて作られます。

ド忘れの典型的な問題を探したところ、第8回のフェニックスで次の問題が出されていました。

問・アラジンと魔法のランプに出てくるアラジンはどこの国の人?

答・中国

解説 舞台はエジプトですが、アラジンは中国人で仕立て屋の子供でした。

後に中国皇帝の姫君と結婚し、皇帝の跡を継いで、国民に慕われた立派な政治をしたお伽話です。

「アラジンと魔法...」の画像検索結果

アラビアン・ナイト「千夜一夜物語」の中の代表的な話で、世界中の子供たちが、胸を躍らせながら楽しんだ物語です。

こうした昔話の中からは、問・浦島太郎は何年竜宮城で遊んでいた? 答・700年 など忘れ去られた記憶の問題がありました。

昔々は知っていた記憶も、時には思い出してみるのも、頭のトレーニングに効果があるようですよ。

でも、近頃は親が子供にこのような話を聞かせる事も減り、子供達はテレビのアニメで育っているようですね。

SNS時代ですから、スマホが一台あれば事足りるわけで、子供の頃から親子の会話が減る傾向は淋しい事です。

そんな心配こそ余計なお世話。時代遅れかもしれません、反省!

 

 

常識問題の落とし穴は?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、普遍の常識問題と流動的な知識が混在して出されていました。

流動的な知識は、その時代に「旬な話題」と思われるものの中から選別されて創られていたので、現代の視点で振り返ると懐かしい話題が多いのです。

普遍的な常識問題は数が多いので、問題に採用されたのは、勘違いで誤答する可能性がありそうな話題が選ばれていました。

第14回の東京ドームで出された、勘違いされそうな問題が以下の設問です。

問・「豚に真珠」とはイエス・キリストの残した教えである。〇か✖か?

答・〇

解説 キリスト教徒の皆さんなら迷わず正解した事でしょう。「新約聖書」のマタイ福音書第7章に「真珠を豚に与えるな」とあります。

これは、群衆の前でイエスが語った教えの一節と伝えられ、価値の解らない者に、価値あるものを与えても意味が無いとの教えです。

「豚に真珠 意味」の画像検索結果

逆に勘違いしたのは、豚とイエスは結びつかない。豚を良く食べるのは中国人で、それなら孟子か孔子の教えではないか? と勘を働かせたのでしょう。

〇×クイズ、特に東京ドームのように群衆で走る問題は、他人に付いて走る事も多く、自分の感、又は確信で答えないと後悔する事になります。

北は北海道から、南は九州・沖縄まで、交通費自己負担で東京までやって来たのですから後悔先に立たずになってしまいます。

先人が創ったこの諺は、実に正しい教えですね。

MCの福留さんが「自分の考えで走れ!」と声を枯らして叫んでいたのには、上記の意味が含まれていたのです。

普遍的な常識問題の場合は、常に勘違いしていないか? 冷静な判断で答えるのが勝ち進むコツだったのです。

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「馬の耳に念仏」「猫に小判」「犬に論語」動物を使った諺は数多くありますが、それぞれ正しい意味を知っておくのがクイズ王への道でしょう。

ウルトラクイズでは、簡単と思える常識問題こそ要注意が本日の裏話でした。