芸術作品の変遷は面白い

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、知って面白い情報が多数含まれていました。

例えば、世界的に有名な芸術作品の中には、作者の意図が正しく伝わった作品は当然で、逆に意図が全く別の方向に進んでいるものもありました。

その代表的な作品が、問題になった例をご紹介しましょう。        第14回のタヒチで、次の問題が出されていました。

問・ロダンの作品で、発表当時「詩人」という題名だった彫刻と言ったら何?

答・考える人

解説 ロダンの作品で有名なのは「考える人」。これは常識なので、感で早押しボタンを押す事が出来ます。

「考える人 ロダ...」の画像検索結果

「考える人」「詩人」が同一作品か? との疑問は後からMCの説明を聞けば良い、と解答した挑戦者が勝ちました。

正に、咄嗟の判断が勝敗を分けた問題でした。

高さ186cmのこの像は、実はロダンの没後、鋳造職人リュディエによっ造られたもので、「考える人」も彼の命名と言われています。

では、ロダンはこの作品を何時、何の目的で制作したのでしょうか?

1,880年、ダンテが書いた「神曲」をモチーフに「地獄門」の上で、地獄で苦しむ罪人の姿を見ている人として制作したのです。

従って、ロダン本人は「見ている人」との意思で作品を仕上げたので「考える人」とは全く異なる作品だったのです。

ロダンご本人も、現代の「考える人」の人気を知ったら「ええッ!」と驚く事でしょう。

芸術や音楽の世界では、こうしたオリジナル作品が、思わぬ方向にスライスするような事例は珍しい事ではないそうです。

芸術とは、優れた作品は時代を超えて後世に残るもの。そう言えば日本でも「芸術は爆発だ!」と叫んだ芸術家がいました。

彼は1,970年に開かれた大阪万博で、メインになる「太陽の塔」を制作した岡本太郎先生です。

世界的に名の在る芸術家で、この塔は彼の名を更に高めました。その秘密は塔の内部にまで大変な工夫がなされていたからです。

実は、今年48年振りに内部を公開するツアーが話題になっています。これを一目見たいとヨーロッパからも駆けつけているファンがいるそうです。

ゴールデン・ウイークには、長い行列が出来話題としてニュース番組で紹介される事でしょう。

流石、岡本先生は後世に名を遺した芸術家と言えますね。

本日は芸術家の作品には、思わぬ変遷があるとの意外な一面のご紹介でした。

 

 

 

時代の変遷の先には?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の問題の中には、時代の移り変わりを極端に感じさせる設問があります。

20年前~30年前には、誰でも知っていた時の人が現代では全く姿を変え、やはり第一線で活躍している場合があります。

たとえば、当時のアイドル・タレントやスポーツ選手が政治家に転向、政府の重職になっている例は数多く見られますね。

その代表的な問題が、第12回のパシフィカでありました。

問・ヤクルトの長島一茂に公式戦プロ入り初のホームランを打たれたピッチャーは?

答・ビル・ガリクソン

解説 この試合は1,988年4月27日、ヤクルトVS巨人戦の6回裏にルーキーの長島一茂が初安打、しかも初ホームランの記録を達成しました。

初安打、初ホームランとは話題の新人選手として、スター性も父親譲りの華々しいデビューです。

「長島一茂 、ヤ...」の画像検索結果

彼は立教大学で活躍し、ヤクルト球団がドラフト1位で指名、入団した当時のスター選手でした。

その後、巨人軍へ移籍などを経て、大きな活躍の場もなく引退。

現代ではタレント、スポーツキャスター、野球評論家、俳優等多方面で活躍中です。

処が面白いのは、若い人達は彼が元プロ野球選手だった事を知らない人が結構多いのです。

先日も、クイズ・バラエティー番組で、彼の元の職業を問う問題があり、お笑いタレントと答えた人がいました。

日頃の明るい発言から、彼にはそう勘違いされる要素も有り、スタジオは爆笑でしたが、当時を知る大人は苦笑した事でしょう。

時の流れは、年配者に時代の移り変わりを知らせるバロメータで、寂しさを感じさせます。

本日の裏話は、誰もが感じるノスタルジーのお話でした。

 

 

 

歴史的解釈と真実の違い

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を読み返すと、あの時代には当然の常識が、現代では通用しない事もあるのに気が付きました。

第6回のアラスカで、その典型的な問題が出されていたのです。

問・別名、斑鳩寺(いかるがでら)と呼ばれ、聖徳太子が建てたと伝えられている寺は?

答・法隆寺

解説 法隆寺は聖徳太子が建てた、これは日本人の常識です。

「法隆寺」の画像検索結果

その他、憲法十七条の制定、遣唐使の派遣、厩戸皇子(うまやどのおうじ)など、聖徳太子に関する歴史的知識は数多くありました。

ところが驚く事に、現代では聖徳太子そのものが、架空の人物であり、推古天皇の皇太子も架空の話との説が出ています。

と、なると日本人が今まで学んできた歴史は何だったのか? 怒りの気持ちが湧いて来る人も多い筈です。

聖徳太子の架空説は、多くの歴史学者が唱えているようです。でも、その人達が何世紀も前に生存していたわけではありません。

過去の資料から推測する仮説であり、真実という訳ではありません。

タイムマシーンでも発明されない限り、真実などは誰にも分かりません。それなのに新説を唱え、世の中を混乱させるのは如何なものでしょう。

最近では、教科書からも聖徳太子を削除する傾向にあるようです。

「聖徳太子」の画像検索結果

時代によって、世の中の常識が変化するのはクイズの宿命ですが、それにしても一万円札の肖像画までが、時代を誤った絵であるとの説も出ています。

偉い学者さまが、何を発表するのも自由ですが、庶民の夢をあまりぶち壊さないで戴きたいです。

本日はクイズ問題を振り返り、常識が大きく変化していた事に気が付いたので思わず悲鳴を上げた次第です。

危険な問題とは?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には一歩間違えると、社会的に大問題になりそうな危険性を含んだものがありました。

本日は、その代表的な問題をご紹介して、考えてみましょう。

第8回のグアムで出題された問題です。

問・女性の方が、男性より面の皮が厚い。〇か✖か?

答・✖ 解説 一般に「面の皮が厚い」とは、丁寧に表現すれば厚顔、普通の会話なら「図々しい」となり、言われた相手は怒り喧嘩になるでしょう。

「美顔、化粧品」の画像検索結果

もし、正解が〇なら、視聴者の女性たちが黙っていないほど、重大な騒ぎになり兼ねません。

我々は、この問題の採用に賛否両論があり、正解が✖なので、知識としては面白い情報との判断で採用しました。

当時の生理学的な統計では、女性は皮下脂肪が男性の2~3倍ありました。だから顔の皮膚も厚いだろうと錯覚し易い状況でした。

でも、皮膚そのものは、医学的常識では男女共に約1mmと考えられていました。

最近のテレビでは、国会の女性議員、女性お笑いタレントなど、面の皮が厚そうな発言や行動が話題になっています。

しかし、それを言うなら男性議員、男性タレントにも同じ事が言えそうで、この問題には男女の差はなさそうです。

民主主義の現代では、男女同権は常識です。

ところが、最近の相撲界では、土俵上で救助活動をしていた女性看護師に対し、「土俵から降りなさい」とアナウンスしました。

女性を土俵に上げない、この原則に従ったための発言との事でしたが、ニュースとして世界的に話題になりました。

相撲協会理事長は、事件後直ちに謝罪しましたが、この一件を見ただけでも日本はいまだに、男女差別があるような印象を与えてしまいます。

日本を生んだ神様は「天照大神(あまてらすおおみかみ)」なので、男女差別などあり得ない事を、世界に知らせるべきでしょうね。

それ以上に、女性が生んだ国なので「女性上位の国」のイメージを、世界にPRするチャンスかも知れませんよ。

本日の裏話は、男女差別の問題のご紹介でした。

勘違いを探す

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、世の中の人達が良く誤解をしている知識を試す問題が含まれていました。

例えば食品の材料や種類でも、見た印象、色、味などが似ているために、同類と勘違いするような事があります。

第14回のグアムで、勘違いし易い食品の問題がありました。

問・「コンブ」は環境の悪い場所で育つと「ワカメ」になる。〇か✖か?

答・✖

解説 「昆布」と「ワカメ」は同類と思われている海藻の代表的な存在でしょうね。中にはコンブの若い芽を「ワカメ」と理解している人もいます。

「ワカメ」の画像

しかし、この海藻は種類が異なり、正式には別物なのです。

海藻図鑑では、昆布は褐藻(かっそう)植物・コンブ科・コンブ属の総称。ワカメは褐藻植物・チガイソ科の海藻と説明されています。

一見同じ物のようですが、でも「ワカメ」は総称の中のチガイソ科という別物なのです。

この問題は、細かい重箱の隅を突くような違いですが、異なる種類である事だけは確かです。

こんな小さな違いを発見して、得意そうに問題を創るとは「意地悪な連中だね」との声が聞こえそうです。

そう! クイズ問題には、回答者側から見ると常にこうした意地悪い側面が存在するのです。

だから、頭を悩ませるし、解れば爽快! 誤答は悔しいと感情がむき出しになります。だから面白いゲームなのでしょう。

本日の裏話は、クイズの愉しみの一端をご紹介しました。