アメリカ横断ウルトラクイズには、17回の他、「史上最大の敗者復活戦」という番外編が1982年に放送されています。
この番組に関しては今までも何回かブログで書いていましたが、今日はそのお話を裏話としてご紹介します。
何故か、この番組は急遽放送が決まったために、構成者である私が責任者のプロデューサーをすることになってしまったのです。
勿論、Pとしてはずぶの素人ですから、苦戦の連続でした。
その中でも、最大の苦境に立たされたのは九州予選の前日の事でした。
予選会場は熊本県の阿蘇山にある草千里という広々とした牧草地でした。
当然、会場の使用許可を取るのも私の大事な仕事です。
地元の役所、関係団体として牧草地を管理する組合、牧畜を管理する組合などの許可をいただいて、いざ本番の前日、あいさつのために地元の役所を訪れました。
「明日は、この様な手順でテレビの撮影を行います」と内容の説明をこの場で関係者にした訳です。
皆さんの了解を戴く目的でした。
ところが、牧畜を管理する組合の責任者が、
「許可出来ない」
と、突然待ったをかけたのです。
その理由は、我々の撮影内容にありました。
第一問の正解は、○× と書かれた大きなサークルに、上空からハングライダーが下りて来るという演出でした。
そんな事をしたら、馬や牛が驚くだろうからハングライダーは認められないとのご説でした。
確かに理屈は解ります。
それでも、我々は阿蘇の青空にハングライダーが現れ、正解のサークルに着陸する、このスケール感を出したいので安全性を懸命に説明しました。
しかし、反対のおじさんは頑として、耳を貸そうとしません。
私は、ウルトラクイズの馬鹿馬鹿しい失敗談などを語りながら、何とか心を開いて頂こうと努力をしました。
同席した他の方々が笑顔で私の話を聞いていると、反対したおじさんが怖い顔で、一括するようにに睨み付けます。
すると一同は下を向いて黙ってしまいます。
まるで、コントのような場面でした。
多分、このおじさんは地元では頑固な煩い存在だったのでしょうね。
一度言い出したら後に引かないタイプなのでしょう。
我々は説得をあきらめて、次のアイディアを明日までに考えなければなりません。
協力してくれている地元のテレビ局で対策会議を開きました。
明日の本番を控えて、地元のアルバイトさんも会議に出席して、ハングライダー中止の経緯を説明しました。
すると、アルバイトの若い女性が手を挙げて
「大丈夫です。私に任せてください」
ときっぱり言うのです。
彼女の説明によれば、その頑固なおじさんは知り合いで、
「私が説得します」との事でした。
大の大人が必死で説得出来なかった事を、若いアルバイトさんがどうするつもりか、疑問だらけの話です。
でも、藁にもすがりたい私は、一升瓶のお酒を2本買って、彼女と共におじさんの事務所を訪ねました。
すると、何という事でしょう。
先ほどの頑固な怖い顔は別人のように笑顔に変わり、我々を歓迎してくれたのです。
「おめえが、出てきたんじゃ仕方がない」とアルバイトさんに言うのです。
つまり、お二人はご近所で普段から仲良しだったらしいのです。
お蔭様で、予定通り、ハングライダーが正解のサークルに降りるという演出は実行できました。
このシーンの功労者は若いアルバイトさんです。
勿論、馬や牛が驚いて暴れる様な事もなく、無事に収録をする事ができました。
何気なくご覧になっているテレビも、準備段階では、いろいろ苦労があるという一端をご紹介しました。
交渉は、人間関係が一番 これが結論です。
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>茜さん
歓迎です。
これからも宜しくお願いします。
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どもども☆ブログ見させて頂きました(^▽^)/記事更新楽しみです!!(o^∇^o)ノ機会があったら私のブログも読んでくれたら嬉しいです♪
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>まささん
東北予選の会場がだいぶ復興している、とても嬉しい情報です。あの場所は今でも懐かしい場所として良く記憶しています。
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>月舟さん
「聖地巡礼」は初めて聞きました。地方の皆さんも町興しで、いろいろ工夫をしているのですね。
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>城明日華@TeNYさん
初めて書いたので初耳になるでしょうね。
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>マル51さん
毎回工夫する印象深い場面は、結構裏で苦労する事が多かったのです。
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地方での交渉は人脈が大切ですからね。
史上最大の敗者復活戦は各地方の名所や自然の魅力が最大限に引き出されていたと思います。
東北予選の会場は完全にとまではいきませんが、戻りつつあります。
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『聖地巡礼』と称してロケ地巡りも流行っているそうで、町起こしの一環で映画のロケなどに協力的な自治体が増えているとか。
シャレやエンターテイメントに対する理解が以前より深まったかもしれませんが、当時は大変だったでしょうね。どう説明すればいいのやら(笑)
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初耳
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たまたま地元の方をバイトに採用した事が、番組側としては良かったですね!
という事は、この方がいなければ番組が成り立たなかった。
そうなるとアノ高校生Qも産声をあげていなかったかもしれませんね。
毎回工夫された派手な正解発表も、原点はこんな所からだったのですね。
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そのアルバイトさんが直接動くきっかけになったのが「ウルトラクイズ」という、皆から信用を集めていたソフト…それを真摯に作り続けていた、即ち「何時でも誠実であれ」ということなのでしょうね。
いい加減な作りでしたら、ここまで大きくならなかったでしょうし、ましてやロケーションでも現地の許可がなかなか下りなかったでしょうね。
前に言われました「情けは人の為ならず」…転じて「しん(信用・真摯)も人の為ならず」って所でしょうか。
見事なお話にお粗末なコメントでございました…。