一問のクイズ問題の裏側

メリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題は、数多く作られた問題の中から厳選された問題でした。
クイズ問題の責任者として17回全部の問題に関わった私には、人知れぬ戦いがあったのです。
前にもブログで書きましたが、作られた問題を会議で通過させないと、問題は成立しません。
ところが、作者の苦労を知らないスタッフは、会議で読まれた問題を、その場の思い付きで簡単に「没」という言葉で拒否する事が多かったのです。
私は問題作家を擁護する立場ですから
「何故、この問題が没なのか?」
と発言します。
時には言葉も強くなって喧嘩腰になる事も多かったと思います。
この様な事が続いたので、或る時、会議出席者は全員がクイズを作るように提案し、それを決定事項に持ち込みました。
しかも、私は何時も会議で「没」を連発するような作者の問題は、先に作者名を出して問題を読むような作戦を立てました。
この作戦は結構効き目があって、いたずらに「没」を連発するような事が減りましたが、しかし、このクイズ会議を通過させるには、それなりの面白い作品でなければ本末転倒になってしまいます。

は時々クイズ作者に注文を出して問題を発注していました。
第8回でキーウエストに行く場合には、ご当地問題としてヘミングウェイの問題を発注しました。
ヘミングウェイは世界的な大作家ですから、沢山の問題が作られました。
クイズ問題作家は、当然ヘミングウェイの作品や人物を調査して問題を作ってきました。
代表作と言えば「日はまた昇る」 「武器よさらば 「誰がために鐘は鳴る」など、戦場を舞台にした作品の他「老人と海」が知られています。

老人と海

クイズ問題はその様な作品と作者を結びつける問題が数多く提出されたと記憶しています。
戦場とヘミングウェイのエピソードは数多いのです。

例えば19歳の時に、傷病兵の運搬車の運転手としてヨーロッパ戦線に向かい、爆撃に遇って大怪我を負っています。
この体験は「武器よさらば」で生かされています。
また、スペイン戦争では、ドキュメンタリー映画「スペインの大地」の制作に携わっていました。
更に第2次世界大戦では新聞記者として戦場に行っていますが、勝手に軍事行動に携わり、軍法会議にかけられるなど、勇ましいエピソードにも事欠きません。
戦場の作品が多い割に、彼が兵士としての戦争参加は無いというのも、クイズのネタになりそうです。 
そのような個人の情報から作られた問題も沢山有ったと思います。

また、ヘミングウェイと自殺の関係も見逃せません。
本人自身が猟銃自殺を遂げたのを始め、彼の父親、妹、弟も自殺をしていますし、姉も自殺が疑われる様な最期をむかえています。
しかし、自殺をテーマにしたクイズ問題は適当ではないので「没」になっていました。
では、この様に題材の多い中で作られた作品で採用された一問の問題は何だったのでしょうか?

・キーウエストを心から愛したヘミングウェイ。
さて、そのヘミングウェイが、ノーベル賞を受賞した作品は何?

キーウェスト

・老人と海

解説
ヘミングウェイは1,952年に発表した「老人と海」で、ピユーリッツア賞とノーベル文学賞を受けています。
この問題の優れているのは、キーウエストで書かれた作品という事で、ヤマ勘で答える人もいるでしょう。しかし、ノーベル賞を問題にしているので、若しかすると戦場の話?と、答えに迷う要素が有る事です。ノーベル賞ではなく、ピユーリッツア賞を問題にしたのでは、誰でも「老人と海」とストレートに答えてしまうでしょう。でも、賞の名前が変わる事で、「戦争」という迷いが一瞬頭をかすめる、そこがクイズの面白さだと思うのです。
小さな配慮のようですが、問題文の中に、この様な気配りも大切だったのです。

ヘミングウェイを題材にしたたった一問の問題の陰に、クイズ作家が調べた材料を取り上げましたが、このような題材発注で作る問題もあったのです。
あまり知られていない裏話でした。

「一問のクイズ問題の裏側」への16件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS:
    初めての訪問です!はじめまして、訪問したのでコメント残させていただきます☆アメブロ始めてまだ日が浅いですが、色んな人に刺激的な表現を送れるよう僕も頑張って記事を書いています^^また記事を拝見させていただきます!お互い交流を深め合えたら嬉しいです!

  2. SECRET: 0
    PASS:
    17回の問題をきっかけにそこから派生して更に調べて日常に生かしたりなんらかの微力ながら人を励ます言葉をかけたりした事もあります。
    17回参加後「もし仮に脳に脂肪がたまったら大変ですか?」と医師に聞いた事がありそこから派生して脳に血液が入る怖さから派生して脳梗塞や脳溢血の怖さまで医師から聞いて健康を心がけたり
    当時は落ち目のアイドルを「あんなアイドルは学芸会」と掲示板で中傷されてたときに
    「あの宝塚でも最初は学芸会みたいだったんだ」みたいなカキコミをして反論して
    そのアイドルファンからは喝采され
    それをきっかけにアイドルファンたちが「落ち目アイドルを長い目でみて行こうよ」みたいな流れになったり。
    ウルトラクイズ17回に参加しなければ脳梗塞脳溢血の予防を心掛けたりアイドルファンを励ましたかどうか分かりません。
    13回に参加された方で大震災での津波発生から即座に避難を呼び掛け命を救った方もいるかも知れないし・・・。
    (ウルトラクイズ13回ドーム予選出題問題をきっかけに更に調べていくと津波のスピードの凄まじさが始めてわかりましたし)。
    ウルトラクイズに参加しそこで出題された問題をきっかけに日常に生かしたり、誰かの為になるような事をする人がいれば良いなと思います。

  3. SECRET: 0
    PASS:
    >マル51さん
    クイズの世界を良く分析したコメントで「その通り」と声を大にして叫びたい内容でした。
    クイズ作家の責任という訳ではなく、注文を出すPやDの能力の問題と言えるでしょうね。テレビ番組の中身の責任はすべて、PとDの能力にかかっているからです。

  4. SECRET: 0
    PASS:
    思ったのですが、ウルトラクイズで出題された問題は、何か一つ一つが物語になっていると感じます。
    だから、スタッフも心に響かない問題はボツにしたのでしょう。
    永田さんの番組でも、現役Q作家が出てましたが、「アルジェリアの首都は…」の時点でナイジェリアの方を答えるパターンは「笑点」の大喜利でもやってるぐらいですし、首都当ては地理マニアなら幼少の頃から覚えてるから、余程の話題性のフリが来ない限り面白みがないです。
    ウルトラクイズみたいな「ミイラ取り」がいなくなって、クイ研あがりが今のQ界を牛耳り「ミイラ」が「ミイラ」にクイズを出題しているのが今の現状です。
    Q大会に出た「百戦錬磨」の永田さんが筆記で空欄が目立つ様な問題を、黄金期を知る自分ら世代なんかが答えられるワケがないです。
    ひょっとして、永田さんがテレビのクイズをやってほしいというのは、ウルトラクイズの様な、(地上波・ゴールデンタイムの)テレビだからこその心に響くクイズを待ち望んでいるのではと考えたのです。
    このブログを読んでいる現役Q作家のみなさんは、この現状を理解して頂いてますか?

  5. SECRET: 0
    PASS:
    >とどさん
    クイズ好きがテストの予想に繋がったのは、とても良い流れでしたね。問題作りも趣味の範疇でやっていると知識が増えて、人間の幅が広がる良い趣味だと思います。

  6. SECRET: 0
    PASS:
    >月舟さん
    問題の前振りは、問題の核心への導入です。いくらクイズ研でも核心を想定出来ないので、早押しのフライングを防ぐ目的もあったのです。それを単なる素人っぽいと批判するのは勝手ですが、それぞれの作り手の特徴ですから、無視するしかないでしょうね。

  7. SECRET: 0
    PASS:
    ヒゲボーボーの敏彦です。やはり人のブログを読むといろんな発見がありますね!僕はヒゲ脱毛というブログを自分の体験記として書いてます^^面白いと思うのでよかったら僕のとこにも遊びに来てください♪

  8. SECRET: 0
    PASS:
    皆さん熱かったんですね。
    作者の名前を先に出したのはお見事です。
    老人と海。
    当時四年生だった私には全くわかりませんでしが、ヘミングウェイという人がその作品を書いたというのを後に理解出来ました。
    何年か後に難しい事柄が出ても、ウルトラで聞いたことがある物は(老人と海)のように理解できる物が結構ありました。
    ウルトラだからこそ記憶に残りやすかったのかな?

  9. SECRET: 0
    PASS:
     問題作成は、ウルトラクイズにとことんのめり込み、高校生クイズが始まったばかりの頃、作って友達に出題していました。
     クイズの面白さを実感したのは、まさに今回の記事であったような問題作成にありました。問題文に意表をつくか、解答に意表をつくかした問題は、当時の友達に出題すると答えるのに一瞬間が生じて面白いものでした。
     余談ですが、問題作成は大学2年まで続きました。もちろん、大学時代の問題は「単位取得」のためのテスト予想問題。これも、講義を受けて先生の問題作成の癖を知り、いろいろとその教科の資料を調べて作っていました。ついでに、山当て問題は作っていません。全体を網羅する問題を作っていました(大学の試験は知識定着が目的でしたので…)。ある意味、クイズの問題作成と同じようなものだなぁと、今思うと感じています(Quizは日本語でも「小テスト」の意味がありますから…)。

  10. SECRET: 0
    PASS:
    ウルトラクイズの問題の特徴に、前振りがあると思います。ヘミングウェイの問題も「さて」までの文は問題の本筋とは関係ありません。「さて」のあとからが問題であり、普通なら不要といえると思います。
    ご当地やゆかりの人としての話題性を活かすために、あえて足しているのでしょうか? それとも先読みして押されることを防止するためでしょうか?
    先読みする人なら、この問題をトメさんが読み始めたら、どう変化するか見極めていたところに『さて』のあとの流れを聴いて「変に先読みして押さなくてヨカッタ」あるいは「ナンだ今の前振りは!」とズッコケると思いますよ(笑)
    決勝戦の第1問目はニューヨークに関わる問題になっているのでこの傾向が特に顕著です。第10回の『ニューヨークといえば摩天楼。では摩天楼を英語でいうと何?』なんて、前振りではまず先読み不可能ですよね。この辺りがいわゆる『セオリー』通りではないのでクイズに通じてる人ほど問題が『素人っぽい』という感想につながるのかもしれませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください