アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人の一般常識を基本に創られていました。
一般常識は、誰でもが知っている知識なので、番組を見ている大多数、小学生から老人まで誰でも知っている知識です。
従って、挑戦者は早い者勝ちで早押しボタンを押す事になり、問題の途中で先を読んで押すフライングも時々起ります。
問題の全部を聞けば、ほとんど正解出来る易しい問題をご紹介しましょう。
第16回のフィラデルフィアの準決勝で出された問題です。
問・薬を煮るのに用いられたことから、その名がついた日用品といえば何?
答・薬缶
解説 実に易しい問題で素直な人は正解出来ます。ただ、深読みをする人は「ホーロー鍋」を思い起こすかもしれません。
銀杏などをゆっくり焼くのが「ホーロー鍋」。若しかすると薬草を煮るのに、この鍋を使っていたかも知れないとの深読みです。
このような単純な問題は、深読みする事象があるのが理想的な問題としていました。引掛け問題ですね。
薬缶は文字道理「薬を煮る缶」と書くので、最初からその目的で作られていた器です。
歴史的には、湯を沸かすのは土を焼いて作った「土瓶」でした。それが1,600年代に入り、鉄や銅が登場したのです。
これには「茶の湯」が関係し、茶の湯釜につぎ口と弦をつけ「鉄やかん」となり、お馴染みの「鉄瓶」となったのです。
薬缶は一般の家庭には必需品ですが、最近は電気でお湯を沸かす電気ポットの普及で、薬缶の無いご家庭もある事でしょう。
とは言え、寒い地方ではストーブの上に薬缶を置き、湯気を立てる事によって湿度を保つのが、冬の家庭の姿になっています。
本日の裏話は、家庭の日用品のクイズ問題から、薬缶の歴史を覗いて見ました。
お湯を沸かすだけの薬缶も、次第に高級品を求める方もいますね。趣味の世界への変化かも知れません。
歴史的には「南部鉄瓶」のように骨董品としての価値もあり、単にお湯を沸かすだけでなく、飾り物に進化する事もあります。
百人百様、単なる日用品も価値あるに「宝物に化ける」事がありそうで、人間というのは面白い生きものでした。