アメリカ横断ウルトラクイズでは、同じクイズ問題が出題されないようにいつも配慮していましたが、現在のようにコンピューターで管理していたわけではないので、ダブって出題された事があるかも知れません。
クイズ問題の中には古典と呼ばれるような問題もあり、異なる番組で出題されたりするのが現実です。
普通の著作物であれば、著作権がありますので盗作と呼ばれるような事が発生しますが、クイズ番組の場合、現実にはその様な事で他の番組を非難するような事はありませんでした。
「何処かで聞いたような問題だなぁ」と思うのは視聴者の皆さんで、その様な回数が多い番組は長続きがしない、というのがテレビのクイズ番組の宿命です。
我々はそうした汚名を着たくないので、当時ラジオやテレビのクイズ番組を良くチェックして、所謂「パクリ問題」が紛れ込まないように配慮していました。
しかし、幾ら配慮しても、同類の問題が入り込んで来るというのも、クイズ番組の特徴です。
特に、先日このブログでも書いたクイズ問題の定番的な「3大○○」を取り上げた問題が典型的な例でしょう。
第9回のアトランティクシティで出題されました。
問・
チャイコフスキーの三大バレー曲は「白鳥の湖」「眠れる森の美女」と何?
答・
「くるみ割り人形」
解説
チャイコフスキーは有名なバレー曲を書いています。中でも三大バレー曲は世界のバレリーナーが必ず習う名曲なので、我々のウルトラクイズの後のクイズ番組でも何度も出題されたのを記憶しています。知識を競うゲームですから、こうした競合は避ける事が出来ません。
同じようなパターンでは、シェークスピアの四大悲劇は? という設問も定番の問題と言えます。
答は「ハムレット」「リア王」「オセロー」「マクベス」ですが、本来はこの作品の中身を問いたいのですが、それを問題にしたところで正解率は格段と低くなってしまうでしょう。
深く学んだ知識を競うのが、本来のクイズ目的でしょうが、でも表面の知識だけで勝ち残ってしまう、それもクイズ番組なのですね。
奥までの深い知識か、上部だけの知識か、頭の中身を覗く事は出来ませんから限界があります。
ただ、歴代のチャンピオンは深い知識の持ち主だったと信じたいです。
「ノックスビル」で思い出しました。「通せんぼクイズの中で、激戦といえる闘いは?」と聞かれると、
第5回ノックスビル、第13回ボルティモアの2つは外せないですよね。実はその2つの闘いで、同じ答え
が出たことがあるのはご存知でしょうか。その答えは、「近松門左衛門」です。それぞれの問題は、
第5回ノックスビル
問・本名を杉森信盛といい、「浄瑠璃作者の氏神」とたたえられた江戸時代の偉大な作家とは誰?
第13回ボルティモア
問・「作者の氏神」と呼ばれる、江戸時代の浄瑠璃の作者は誰?
両方とも、その回の優勝者(第5回…真木さん、第13回…長戸さん)が正解しているのが興味深いところです。
それにしても、本名の「杉森信盛」だけで「近松門左衛門」と答えられるという人は、第5回の当時はあまり
いなかったでしょうね。今は研究されているので、これを即答できる人も増えただろうとは思いますけれども。
近松門左衛門は日本の歴史的な作家ですから、クイズ問題には欠かせない人物でしょうね。それでも2回も同じ名前を当てるクイズとは? 我々のチェック体制が甘かった事を反省しざるを得ません。でも8年も誤差があるのですから、許される範囲かな? それも甘いですね。
「三国一の花嫁」に関しても、2度出題されたことがありましたよね。
第1回ハワイ
Q.よく「三国一の花嫁」などと言いますが、この三国とは日本・中国・あと一つはどこ?
第5回ノックスビル
Q.「三国一の花嫁」の三国とは、日本と唐とあと一つはどこ?
A.インド(天竺)
ノックスビルでは、メガネカマキリ真木法男さんの通過問題としてこれが出題
され、見事正解。準決勝の長い闘いに終止符を打つ問題になりましたね。
2度同じ問題が出るというのは、我々の恥であり、それを防ぐ努力をしていましたが、時にはあるのですね。1回と5回の頃には、まだチェックが甘かったので、その様な事が起きたのでしょう。反省です。
ファミリー劇場で再放送された第12回絡みでそういう「何処かで聞いた問題」がないか探してみたところ、ありましたね。
第7回ジャスパー
問・裏のない着物は単(ひとえ)。では、裏をつけた着物を何という?
第12回モハーベ砂漠
問・和服で、単に対して裏地をつけた物を何という?
答・袷(あわせ)
前半部分は微妙に違いますが、後半部分は同じ問いかけになっていますね。
良く発見してくれました。いくら気を付けても問題のダブりは出て来るのですね。人間の記憶はコンピューターには敵いません。
こんばんは。
ウルトラの歴代のチャンピオンは、やはり皆さん、クイズに強かったと思います。
書籍や新聞、事典の類を通して、ときにはご自身でクイズ問題を作成して、さまざまな知識を蓄えていらっしゃったはずです。ですから、他のクイズ番組で見聞きする「定番問題」もまた、知識を蓄える手段のひとつになり得たと思います。
とはいえ、私にとって、ウルトラクイズはやはり特別なクイズ番組でした。ベタな「定番問題」が紛れ込まないように苦心されていたというお話には、いちクイズファンとして感動しました。