アメリカ横断ウルトラクイズで毎年クイズを作っていると、定型の作り方がある事に気が付きます。
その代表は、同種の人物や出来事を羅列して、何が同じなのかを当てる方法です。
どのクイズ番組でも例外なく、この方法で作られた問題が出題されますが、単に同種の出来事や人物を羅列しただけでは面白さに欠けて、視聴者の興味を惹くのは困難でしょう。
そこでクイズ問題の作家達は、問題の文中に興味を惹く材料を入れ込む工夫を凝らす事になります。
それが無いと、同じ県出身の著名人を並べて何県?
というような単純な問題になってしまいます。
それも、クイズではありますが正解を聞いて「なるほどねえ」と言った、納得感が得られないでしょうね。
そんな中で第8回のサンフランシスコで、次のような問題がありました。
問・
ピアノの詩人ショパン、地動説を唱えたコペルニクス、そしてキューリー夫人の祖国は今の何処?
答・
ポーランド人民共和国
解説
ポーランドは国境を多くの国に接し、侵略の歴史が繰り返されています。1989年までは東側諸国の重要な軍事拠点になるなどソ連の影響下に置かれていました。民族もポーランド人、ドイツ人、ユダヤ人、リトアニア人、ウクライナ人など他民族に亘っています。
その様な事情を少し知る人は、ショパンはオーストリアかドイツ? コペルニクスはイタリア? キューリー夫人はパリ大学初の教授だから?、 と頭が混乱してしまいます。
3人の内、誰か1人でもポーランドと確証が持てれば簡単に正解出来る問題でした。
でも、この3人の場合、偉大な業績の割に国籍の印象が薄いというのが最大のミソでした。
特にキューリー夫人はワルシャワ生まれですが、後にフランスに移住しています。
ですからフランスと勘違いする人も居たかも知れません。
共通点を並べてその根拠を当てる問題は、何か迷える要素が含まれていないと、問題としての面白さが出せないというお話でした。
こんにちは。
共通項を探す問題というのは、答えを聞くと「へぇ~」と感心してしまいますね。
12回のウルトラクイズでも、サンパウロのサッカークイズでこんな問題が出ていました。
Q.デザイナーのゴルチェ、哲学者のサルトル、俳優のベルモンド。3人に共通する名前は?
A.ジャン・ポール
おしゃれ好きな方ならゴルチェで、文科系の方ならサルトルで、映画好きな方ならベルモンドで、それぞれ気付ける問題ですね。これも、3人のうち、誰か1人でも分かれば簡単に正解できる問題でした。
この類の問題は、たとえ正解できても、他の知らない知識(例えば、サルトルは知っていたけれど、ゴルチェとベルモンドは知らなかった)があれば、後から勉強しておこうと、知的好奇心をくすぐる問題に転化しますね。
クイズ問題は一問毎に厳選していましたから、作る皆さんにはキツイ作業だったのです。お蔭で面白い番組と喜んで頂けたのが、我々のエネルギーになったようです。
先日、6歳未満の女児から臓器が移植されたニュースが話題になりましたね。
ウルトラクイズでも、臓器移植に関連したこんな問題がありました。
今世紀最後・準決勝ニューヨーク
Q.人間の臓器などを移植する時に提供者は「ドナー」と呼ぶのに対し、提供を受ける側を英語で何という?
A.レシピエント
今回の臓器移植を受けた患者さん(レシピエント)たちが、新たな人生を歩んでいけることを切に願っています。
臓器移植は、患者さん達もドナーの分まで幸せに生きて欲しいですね。
化学が発達すると人間の寿命も伸びて来て、様々な問題が新しく生まれて来るようです。
その今世紀最後・準決勝ニューヨークでは、こんな問題も出題されましたよね。
問…患者に対して診療の目的・内容を納得できるよう説明し了承を得て治療することを、英語で言うと何?
答…インフォームド・コンセント
今回の移植にあたり臓器提供を承諾した女児(ドナー)の両親、そして移植を受けた患者さん(レシピエント)、ともに
充分なインフォームド・コンセントがなされたことでありましょう。移植を終えたこれからが、本当に大事ですよね。