アメリカ横断ウルトラクイズでは、沢山のクイズ問題が作られました。
知って得する面白い情報が、良い問題と評価され、重要な場所で出題されていました。
しかし、ほとんどの視聴者に知られる事もなく消化されてしまった哀れな問題もあります。
その代表的なのは、機内ペーパークイズで使われた問題です。
あのペーパー・クイズを体験した挑戦者にしか、問題として扱われていません。
しかも短時間で答えなければならない、3者択一問題ですから記憶にも残らないかも知れません。
その様な問題でもクイズ作家は一生懸命に考えて作られていたのです。
その様な中から、本日はとっておきのお話を書いてみたいと思います。
それは第16回の機内3択問題に使われていました。
問
ダーウィンの一族が経営する、世界的な陶磁器メーカーは?
① ミントン、 ② ウエッジ・ウッド ③、ロイヤル・コペンハーゲン
正解 ②
解説 あの「種の起源」で名高い学者が、世界的に有名な陶磁器メーカーの身内というのは、実に新鮮な発見でした。クイズ選考会議では、早押しクイズにするか? ○×問題にするか随分迷いました。しかし、単独メーカーの宣伝になるような問題は相応しくない、という意見もありました。
結論として目立つ事もない機内ペーパークイズに回されてしまったのです。
そこで、今回もう少し詳しく調査してみたのです。
ウエッジ・ウッドは全世界の女性にとっては憧れの陶磁器と言えるでしょうね。
英国王室御用達というのも、商品の人気に拍車を掛けています。
そこで、この会社の歴史を調べて見ました。
創業者はジョサイア・ウエッジウッドという人物で、1730年にイギリスの陶工の13番目の子供として、1730年に生を受けていました。
彼は父の跡を継いで陶工となりましたが、芸術性の高い作品を生み出し天才的との評価を受け、時の女王様のお気に入りとなったのです。
実業家としても大成功を収め、数々の名誉職にも就きました。
そして彼の長女がダーウインの母親に当たる訳です。
つまり、「種の起源」のダーウインはウエッジ・ウッドの創業者の孫になるという事です。
クイズ問題は薀蓄好きな人に情報を与えるという目的もあります。
女性がウエッジ・ウッドのお話をしている時、「知っているかい?」 ウエッジ・ウッドの創業者の孫は、あのダーウインなんだぜ!
これで、少しは株が上がるかもよ。
いや、逆に知ったかぶりの嫌な奴、と振られる危険性もありますがね。
薀蓄を垂れるのは紙一重の賭けですね。
3択問題の間違いの2つを考えるのも大変な気がしますが、いかがですか?
そうですね。一つはあり得ない例。残る2つは、紛らわしい例、その様な配分で例題を作っていました。つまり2択の感じで、挑戦者の誤答を防ぐ意味で配列していたのです。
こんばんは。
「単独メーカーの宣伝は相応しくない」というところが、テレビ番組の悩ましいところで、いわゆる“大人の事情”というものですね(驚きと発見のある、いい問題なので、早押しクイズで見たかった気もします)。
さて、ダーウィンといえば、子どもの頃に『ビーグル号航海記』を読んだことを思い出しました。
19世紀前半のこの航海の際、ダーウィンはガラパゴス諸島からガラパゴスゾウガメを持ち帰りました。そのゾウガメちゃん、つい最近の2006年まで、年齢にすると実に175歳まで生きたそうですから、こちらも驚き(!)ですね。
クイズ問題は厳選したものが多かったので、今、良い問題をもう一度ブログで陽の目を見せる責任を感じています。
機内ペーパークイズの問題はテレビでは数問紹介される程度でしたが、この時代はウルトラクイズのダイジェスト的な書籍が発売されており、解説はないもののペーパークイズの問題だけは全問掲載されてました。書籍全体の半分がペーパークイズの問題が占めていたような…。現在はもちろん絶版ですが、私の町の図書館にはなぜか1回から12回付近まで、書籍がおかれています(貸出も可の状態で…)。ペーパークイズの問題をゆっくり見ると面白い問題、面白い選択肢が多いですね。
ダイジェスト的な本は当時折角の問題を文字で残そうと思い、私が全16巻を書き残したものなのです。今は絶版になっていますが、良い記録になっています。