アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題には、犯罪を扱ったものは少なかったと思います。
クイズは家族で知識を競い合うゲームですから、そのテーマが犯罪に関する知識というのは相応しくないと、我々が自己規制していたのかも知れません。
でも、歴史に残るような犯罪ならば、クイズ問題にしても良いだろうとの判断で、例外的に作られた問題もありました。
例えば、ウルトラクイズが始まった前年に世の中をひっくり返す様な騒ぎになった「ロッキード事件」がありましたね。
現職の総理大臣が逮捕されるという昭和を代表するような疑獄事件でした。この事件をクイズ問題にした記憶はありませんが、似たような事件が100年も前に起きているのです。
その問題は第13回のツインレークスで出題されていました。
問・軍艦購入に関する汚職事件がもとで、時の山本内閣が退陣したこの事件は?
答・シーメンス事件
解説 この事件は1914年(大正3年)に発覚した、日本海軍高官への贈賄事件です。
日本海軍の長老だった山本権兵衛が総理大臣だったために、総理への疑惑も囁かれ、内閣の総辞職に発展しています。
面白いのは、その62年後に世間を騒がせた「ロッキード事件」が実に良く似た構造だったのですね。
シーメンス事件はドイツのシーメンス社が、軍艦を日本海軍に売り込むために海軍の高官に賄賂を贈ったという贈賄事件です。
そのお金が政治家にも流れただろうという疑惑でした。
一方のロッキード事件は、航空機の売り込みで、政界の1部に多額の賄賂が渡されたという事件で、総理大臣経験者が逮捕されるという事件でした。
総理以外にも疑惑の政治家が何人も登場し、新聞、テレビは大騒ぎになりました。
シーメンス事件の山本権兵衛は当時第16代の総理でしたが、事件とは関わりが認められず、その後、第22代総理に帰り咲いています。
歴史は繰り返すという言葉がありますが、この様な歴史はもう繰り返す事の無いように願いたいものですね。
こんな古い事件に正解する人が居るなんて、クイズ・マニアの幅広い知識にはいつも驚かされていました。
第13回第1週の再放送を見ておりましたら、「あれ?」と思った場面が2つありました。1つ目は、歴代
チャンピオンの登場場面で第9回チャンピオン・金子さんの紹介および○・×への移動の場面が無かった
こと。2つ目は、3問目「津波の速さは、海が浅いほど速い」を出題した直後の字幕スーパーです。表示は
「○と思えば外野にそのまま、×と思えば内野に移動」
とありましたが、逆でしたね。「○の方(内野)に移動し始めた」という留さんの声がありましたし、
締め切り後の人数表示も○は内野の方でした。それにしても、なぜ金子さんはスルーだったのでしょう?
テレビ番組は編集されて完成を見る訳ですから、撮影されてカットされる部分が出るのは仕方のない事です。でも、視聴者が不審に感じる編集はダメですね。ディレクターの質に関わる問題で、ご指摘の箇所は反省点と言えるでしょうね。
こんばんは。
この類の「黒い霧」めいた事件というのは、(不謹慎ですが)裏を知れば知るほど、おもしろいなぁと感じます。
小説の題材にもなりそうだなあと思ったら、作家の江藤淳が『海は甦える』というシリーズで扱っており、TVドラマ化もされていたんですね(山本権兵衛役を演じたのは仲代達矢さん)。
それでも、ロッキード事件に比べれば、認知度は低いはず。やはりアメリカ本土まで勝ち進む方は、いろいろなことを知っていると感心させられます。
クイズに強い方のアンテナは広いので、それが視聴者の驚きにつながるのですね。
難問を軽く突破する、その様な挑戦者が多かったのもこの番組の魅力になっていました。