アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は「素直じゃない」問題も多くありました。
クイズ問題は知って得する面白い知識が喜ばれますが、その様な理想的な問題ばかり出来る訳では有りません。
言葉の意味や成り立ちでも、工夫を凝らせばクイズ問題になる様な単語が日本語の中には沢山あります。
その様な言葉の意味を、単にクイズ問題にしたのでは国語のテストと同じで「教科書問題」という判断でクイズ会議で不採用になってしまいます。
そこで一味工夫を凝らすと、立派なクイズ問題になってしまう事があるのですね。
その方法の一つに「引掛け問題」という手法が有りました。即ち同類で紛らわしい言葉があるものをクイズに仕立てるのです。
昔から本来は畑にならない場所を開拓して畑を創るような時に「開墾」「干拓」「埋め立て」「潮留」「灌漑」といった類語が沢山あります。
こうした単語は学校で習ったはずの言葉ですが、意味を聞かれると明快に定義を答えられない場合があります。
つまり、早押しボタンを押したものの、いざ答えるとなると、迷って誤答し易い部類の単語なのです。
第16回のグアムで出題されました。
問・水の中に土などを盛って陸地にする事を埋め立てと言うが、土を使わずに水を退けてしまう方法を何という?
答・干拓
解説 我々は「灌漑」という誤答を予想していました。スタッフのクイズ問題会議でもその様に誤答したスタッフが数名いたからです。
干拓と灌漑は間違いやすい単語で「干拓」は浅い海を堤防などで区切り、内部を排水して陸地にする事を言います。
一方の「灌漑」は田畑を耕作するのに必要な水を、川や湖などから水路で引いて農地を潤す事です。
似ていながら否なる単語、この様な間違いやすい言葉を探してクイズ問題を作るわけで、クイズ作家って素直じゃない性格になってしまうのです。
人間は素直じゃないと、周囲に嫌われてしまいます。
でも、その様な人間を番組は養成していたのですから、罪作りな番組でもありました。大反省!
こんばんは。
「干拓」といって、真っ先に思い浮かぶのは、秋田県の「八郎潟」です。
元々は琵琶湖に次ぐ、第2位の面積を誇る湖でしたが、米の増産のため、大規模な干拓工事が行われた…、と小学校の社会科で習ったことを記憶しています。
この問題はたしか、「ワラジン」の愛称がつけられた男性が正答されていましたね。もしかしたら、「ワラジン」さんも、問題を聞いて八郎潟の干拓事業がパッと頭に浮かんだのかもしれません。
とはいえ、似て非なる言葉は日本語にはたくさんあります。スタッフの方がひっかかった問題を採用するあたりが、いかにもウルトラクイズの奥ゆかしいところです(笑)
スタッフの問題会議での正誤は採用に大きな影響が有ります。
引掛け問題はこの様な場面を経て採用になっていたのでした。