アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、知識の空白を突いた問題がありました。
例えば日本語の単語は知っているのに、意味が不明という言葉があります。
単語は知っているのに、意味が解らないでは日本語として使う事が出来ません。
でも、そうした言葉が、日常よく使われているのです。我々はその様な言葉を探しクイズ問題にしていました。
第14回のレバノンで次のような問題でした。
問・「夢うつつ」の「うつつ」とは何の事?
答・現実
解説 「夢うつつ」という言葉は普通に使われますが、現実の事を「うつつ」という単語で表現をする人は少ないでしょうね。
「これ、うつつに在った話なんだよ」という会話は聞いた事がありません。
「うつつ」は夢と重ねて使われ、初めて通用する言葉になっているのですね。
落ち着いて考えれば、「夢と現実」が判別出来ない状況を表現しているので、意味は解るはずです。
でも、クイズで突然「うつつ」とは何の事? と問われると咄嗟に答えられないのが普通の感覚でしょう。
これを「知識の空白」と考え、この種の問題を準備し挑戦者の意標を突いたタイミングで出題していました。
外国人が日本語は難解、というのが良く解る例題としてこの「うつつ」の単語を取り上げて見ました。
同じくレバノンで出題された問題に、「ことわざの問題。『情けは人のためならず』。この情けは誰のため?」(答え・自分)というのがありました。
このことわざは本来、人に情けをかけていれば、結局は自分のところに良い報いが返ってくる、という意味です。しかし、他人に情けをかけるのは、その人の自立を妨げてしまう、という風に理解している人が少なからずいるようです。
こうした「知識の穴」とも言うべきところを狙う問題こそ、ウルトラクイズならではの妙味だったかも知れませんね。
ことわざひとつを取ってみても、深いところまで知り尽くしている人に、クイズ王になる要素があると言っても過言ではありません。
確かにクイズ王になった人は例外なく知識の奥行きが広かったですね。
我々の番組は、中には知識の表面をなでるような問題もありましたが、それだけでは勝ち進めないように奥行きを求めた問題が各所に設けられていたのです。
それを潜り抜けるだけに、クイズ王は凄かったです。