アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人なら誰でも知っている筈の常識を中心に創られていました。
中学生になると、必ず学習する常識中の常識問題が、第11回のロサンゼルスで出されていました。
問・和英対訳辞書を作ったローマ字で有名な人は誰?
答・ヘボン
解説 ヘボン式ローマ字は知っているものの、発明者であるヘボン氏の事はあまり知られていません。
因みに、彼のフルネームはジェームス・カーティス・ヘボンさんであり、アメリカ生まれの医学博士なのです。
しかも、繁盛する医師の合間を見て宣教師の資格を取得。日本には宣教師としてやってきたのです。
ヘボン式のローマ字を考案、8年の歳月をかけて和英辞書を考案した教育者でもあります。
しかも、明治学院大学の創設者である事は、同大学の卒業生でない限りあまり知られていない事を付け加えたいと思います。
実は、本日の裏話はこの問題が採用された、ロサンゼルスのクイズ形式のお話を紹介したかったのです。
ここでは、ロシアンルーレット・クイズとの形式で、クイズが行われました。
ロシアンルーレットとは、回転式拳銃に一発だけ弾丸を装填し、回転式弾倉(シリンダー)を適当に回します。
その後、銃口を頭に当てて引き金を引くという、危険な運試しでギャング映画などで時々見る事があるシーンですね。
ギャングやヤクザ者の度胸試しの方法で「オレは何時だって命を賭けられるぜ!」との馬鹿な強がりですね。
しかし、我々は拳銃などと言う小道具ではなく、実物の戦車を使い相手の戦車に砲弾を撃ち込むという方法を考えました。
このゲーム案を、ハリウッドの戦争映画専門の牧場に持ち込んだのです。勿論、ダメ元の覚悟で交渉しました。
すると、流石はハリウッドは凄い!「そいつは面白そうだ。サハラ戦車隊で撮影に使った戦車を提供しよう」とのご返事。
我々が現場に着くと、M24戦車、M48パットン戦車がみんなエンジン全開状態で待ち構えていたのです。
ウルトラ・クイズ史上でも、これ程ダイナミックなシーンは滅多に見られないクイズ戦が開始されたのです。
タネを明かすと、5台ある戦車の中で、弾が発射出来るのは2台だけ、その他はハズレで挑戦者は勿論これを知りません。
運が強ければ、クイズに負けても次のクイズに賭けて勝ち抜けられる、正にロシアンルーレットだったのです。
本日の裏話は、我々は面白そうなアイディアには、遠慮なく正面突破でぶつかって行く!
今のテレビ業界では考えられない事です。「ウルトラ・クイズ」は良い時代の産物だった事に感謝したい番組でした。