歴史は繰り返す実例

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題を振り返って見ると、面白い事に気が付きます。

クイズ問題は、時代の出来事を素早く反映させて問題化していましたが、今あの時代と同じような問題が通用しそうです。

第12回のパシフィカで、次のような問題が出されていました。

比較的狭い特定の地域で、数多く発生する地震を何という?

答・群発地震

解説 現在は神奈川県箱根の大涌谷近辺で、群発地震が発生し、テレビでは毎日のようにニュース番組で現状をライブで報告しています。

箱根は日本を代表する観光地なので、人々の関心も高く何時まで続くのか注目の話題なのですね。

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これだけ放送されると、群発地震という言葉も日本語として常識化され、クイズ問題としては超易しい問題になってしまいます。

実は1965年から5年半もの間、長野県の松代付近で群発地震が続き、話題になっていました。

この状況は松代の群発地震という言葉で、多くの日本人の記憶に残った言葉でした。

そんな同じような状況が、今年は45年ぶりに箱根の大涌谷で発生してしまったのですね。

地震、雷、火事、親父と昔から日本人は「怖いものベスト4」の第一番に挙げていました。

今回の大涌谷の群発地震、大きな被害を出さずに、ゆっくりと終息に向かって欲しいものです。

気象情報の進歩に目を見張る

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には気象関係のクイズが数多く出題されていました。

第7回の後楽園一次予選で出題された問題です。

台風か熱帯性低気圧かは、風の強さで決まる。

答・○

解説 台風は風力8(風速約17メートル)以上のもの。それ以下は熱帯性低気圧という、と決められています。

今から20年~30年前にはクイズ問題として十分通用したこのクイズ問題も、現代に置き換えると、ほとんどの問題が易し過ぎて、クイズとしては簡単だ、と批判されそうです。

この理由は、現代では気象関連のニュースがテレビで盛んに放送されるので、視聴者の知識が豊富になったためです。

昔から天気予報はニュース番組に付きものでしたが、いつの頃からか、気象予報士と呼ばれる人達が多数誕生。

情報番組の重要な役目を果たしています。中にはおじさん達のアイドルと呼ばれる人気キャスターもいて、各情報番組で大活躍しています。

今週も5月にしては早過ぎる台風6号が発生し、一日中テレビで台風情報が流されていました。

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それで驚いたのは、台風観測の進歩でした。

台風の進路は当然ですが、○○時にどの辺を通過、その時の進行速度は90km、と刻々と変化する予想情報を画面で示しながら速報していました。

人工衛星を使った観測、コンピューターによる計算技術などの進歩で、天気予報の正確度は格段に上がっています。

その都度、気象予報士が気象関連の知識を披露しているため、視聴者の気象に関する知識も増え、常識化されているのですね。

天気予報、地震や噴火の予測、この種の科学技術は毎年急速な進歩を続けています。

従って、この種の問題をクイズに取り上げると「情報が古いね」と視聴者に笑われそうな分野になりました。

「隔世の感」とは、このような事を言うのでしょう。

忘れ去られた諺

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題の中には現代の若者には理解できない諺が有ったりします。

本来「諺」自体が、先人が後世に残したい教訓の性格を含んでいるので、若い人には耳の痛い言葉が多いものなのですね。

「近頃の若者は…」と説教をする時に、諺を用いて教え込むというのが親や先輩達の常套手段でした。

その意味では昔の人達は多くの諺を知っていましたが、最近は親や先輩も口うるさく指導するという事をしないようです。

「余計な事はしない」「子供の人格を尊重する」との言い訳で、家庭でも学校でも厳しい躾を避けているのかなあ、と思える節が感じられます。

話題を諺に戻します。

第6回のサイパンで次のような問題がありました。

ことわざの問題。石の上にも3年。では、壁に向かって何年?

答・9年

解説 面壁9年という諺があります。

達磨大師が壁に向かって座禅を組み、9年目に悟りを開いたという故事から来た言葉ですね。

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物事に飽きやすい若者に対して、

「石の上にも3年、面壁9年と言う言葉を知っているだろう?」といった使い方をしていたのですが、今では「そんな言葉は知らないなあ」と切り捨てられそうです。

厳しい修行を辛抱して1人前になる、この様な教えは時代錯誤、前近代的で合理性に欠けると批判の対象になりかねません。

例えば、日本の職人は厳しい修行を経て1人前になる業界ですが、その技は工芸品や料理など各分野で世界でも認められています。

でも、伝統工芸などは厳しい修行がネックなのか、後継者不足に悩んでいたりします。

諺そのものは、日本人の先祖が子孫の為に残した貴重な財産ですが、それが通じない世の中は一寸寂しいものですね。

本日のまとめ!

「諺を大切にしよう」と叫ぶのは「年寄りの冷や水」ですかね。

 

 

休日に思う事

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題を振り返って見ると、様々な事象の歴史が問題になっています。

普通の人間は学校での「勉強」という言葉が苦手で、それが勉強は嫌いと結びつく傾向にあります。

でも、勉強と同じ知識の吸収なのに、「クイズ」と言葉を変えただけで、知識をどんどん吸収したくなるというクイズは不思議なゲームなのですね。

例えば「休日の歴史について勉強しましょう」といえばそっぽを向きそうですが「休日のクイズだ」と言葉を変えると子供たちの目の輝きが変わってくるはずです。

第5回のサイパンで次のような○×問題が出されました。

・江戸時代から日曜日は休みと決められていた。

答・×

解説 江戸時代町人の世界では「一六日」(いちろくび)と呼ばれる習慣があって、一と六の付く日は休日、稽古日、寄合日だったようです。

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一方、農民には休日という制度や概念がなく、正月以外は休みなく働いたとの説も残っています。

ところが明治維新後、文明開化の波に乗り、日本も改暦しようとなったようです。

それまでの太陰歴から太陽暦に変わったのが明治5年の事です。

一方、キリスト教の世界では1週七日の内、日曜日は教会でお祈りをする日と決められていて、仕事は休むのが習慣でした。

そこで、明治9年に「一六の休暇を廃す」「一六を日曜に改める」と決められ、日本では日曜日がお休みとなった訳です。

日本人は働き過ぎ、などの批判もあって国民の祝日が増え、今では休日がずいぶん増えています。

意外と知られていない休日の歴史、勉強で習わなかった知識もクイズで出題されると、何となく記憶に残る例をご紹介しました。

 

 

 

ヨーロッパで最も有名な日本人は?

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には時々「えっ!そうなの?」といった情報が紛れ込んでいます。

例えば、ヨーロッパで最も有名な日本人は誰? と言う問題がありました。

でも、この設問では、あまりにも漠然としていて、正解を固定できません。

もう少し設問の範囲を狭くして、正解を固定するために文章を変えて、次のような問題になりました。

第16回のハワイで出題された問題です。

・フランスのクロード・ファレルの小説『ラ・バタイユ』のヒロインで、香水の名前にもなった日本軍人の奥さんと言えば誰?

答・ミツコ

解説 これは難問ですが、考えようによっては簡単な問題かもしれません。

難問で簡単。

とても矛盾した意見ですが、作家の名前も作品名も、聞いた事が無いようなレベルで、その様な作品のヒロインの名前を問うのは超難問です。

でも、香水の名前で日本人というヒントで「ミツコ」と答えるのは簡単な部類でしょう。

実は光子は実在で、明治時代に骨董屋の娘で青山ミツと言う人物がいました。

彼女は日本に赴任してきたオーストリア・ハンガリー帝国の外交官に見初められて18歳で結婚しています。

夫が貴族だったために、夫の死後莫大な財産を引き継ぎヨーロッパの社交界で有名人になりました。

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このミツコという名前を記憶していた作家が、架空の小説にその名を借用し、後に香水の名前になったのです。

従って、モデルは実在。

その名が、高価な香水の名前としてヨーロッパでは最も知られた日本人となる訳です。

何故、ヨーロッパ産の香水に日本人の名前が付いたのか、この疑問を調べている時に、上記のお話を探し当てクイズ問題として取り上げた訳です。

なお、実在のミツコさんの生涯は「黒い瞳の伯爵夫人」として文献でも紹介され、昭和62年にNHKが足跡を辿る番組を放送しています。

案内人は吉永小百合さんという豪華な顔ぶれで、その後も続編が再放送されたという話を聞きました。

ミツコさんは、やはり日本を代表する有名女性には違いなかったのですね。雑学のクイズ問題の出来る過程をご紹介した「今だから話せる」裏話です。