諺の真実を探る?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、時にはクイズ作家に注文を出して創る場合がありました。

新聞や雑誌の記事に頼らず、自分の素朴な疑問を調べて問題に仕上げるのが理想、というお話を良くしていたのです。

問題作者と雑談の中で、日本人が好きな「諺」が話題になった事がありました。

学校のテストであれば、諺の持つ意味を問うのが普通でしょうね。

でも、クイズはテストとは異なり、面白味が無いと視聴者が喜んでくれません。

良く知られた諺の意味を問う以外で、クイズ問題に仕上げる事を宿題にした事があります。

その時に創られた問題が、第7回のグアムの○×問題に出題されています。

問・爪を隠す鷹はいない。

答・○

解説 諺には動物の習性を使った教えが沢山存在します。

「馬の耳に念仏」「猿も木から落ちる」などがその代表的な諺でしょうね。

「能ある鷹は爪を隠す」も良く使われる諺です。

「鷹」の画像検索結果

では、この諺は真実なのか? という点に着目した作家が調査して、実態を問題に仕上げたのです。

猫は爪を隠す事が出来るのですが、鷹はその様な動作が出来ない鳥と言う事が判明しました。

能ある鷹が、獲物を狙う時に爪を隠して相手を油断させ、突然襲うという事はないのです。

という事は、この諺は人間が想像で作った教えだったのです。

こうした素朴な疑問を追及する作業は、楽しくもあり、聞いた人にも興味が沸く面白い問題となったのでしょうね。

クイズの問題作者は、ノルマで苦しみながら、一方ネタ探しを楽しんでいたのです。

 

守りたい日本の観光地

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中で、日本の地理に関する問題は多数出されています。

地理は、日本人なら当然常識として知っておきたい知識なので、クイズ問題に適した材料と言えます。

現在は、観光日本が国の方針なので、外国人旅行者が毎年右肩上がりで増えていますね。

経済的には嬉しい反面、ホテルの不足、中国人の爆買い、マナー違反、など社会的な問題も各地で起きています。

特に眉を潜めたくなるのが、中国人のマナー違反で、テレビの話題で時々取り上げられています。

日本の象徴的な富士山でも、ごみのポイ捨てや禁止されている植物や石などの持ち帰りが頻繁に起きているようです。

富士山関連では、第12回のフェゴ島で次のような問題が出されていました。

問・「御釜池」「底抜池」など富士山麓にある八つの池を何という?

答・忍野八海

解説 忍野八海は山梨県忍野村にある湧泉群です。

富士山の雪解け水が地下に浸み、約20年の歳月をかけてろ過され、湧水となって8か所に泉を創っています。

美しく澄んだ水が観光客の目を楽しませ、昭和9年に天然記念物に指定されました。

ところが数年前から、この美しい池の中に、中国人観光客がコインを投げ込むのだそうです。

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池の底には、コインがキラキラと輝き、水質を汚すだけでなく、泳ぐ魚にも悪影響を与えています。

地元では禁止の看板を出すものの、「この地に再び戻れるジンクス」とトレビの泉と勘違いしている人も居て効果が薄いようです。

観光客が増えるのは嬉しい反面、中国人のマナー違反には各地で頭を悩ませているようですね。

これを正す好い方策を提案。孔子様の教え「論語」を中国へ逆輸出する会を創ったりして……。

 

 

世界に広まる忍者人気

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題にはあらゆる分野の知識がクイズの形で取り上げられています。

例えば、ゲーム・ソフトやアニメ、劇画などで世界中に知れ渡った「忍者」という存在が人気者になっています。

藤子不二雄Aさんの「忍者ハットリくん」もこの人気に拍車をかけているようですね。

「忍者ハットリくん」の画像検索結果

ウルトラクイズでは第10回のダラスで次のような問題が出されていました。

問・忍者の出身地。甲賀は滋賀県。では、伊賀は何県?

答・三重県

解説 忍者は鎌倉時代から江戸時代にかけて、大名や領主に仕え、諜報活動、破壊活動などを仕事とする影の存在でした。

有名な忍者では「真田十勇士」で活躍した猿飛佐助や霧隠才蔵などがいますが、いずれもモデルは有るものの架空の人物です。

実在した忍者では、徳川家康に仕えた服部半蔵が有名です。

現在でも、彼の名を江戸城に遺した「半蔵門」が千代田区の地名として残されています。

元々、陰の存在ですから歴史の表舞台には現れない存在ですが、その源流となったのは滋賀県の甲賀市三重県の伊賀市でした。

それぞれ伊賀流、甲賀流の忍者の里で多くの忍者がこの地で修行し、全国各地へ配属されたようです。

時代劇や芝居ではしばしば登場しますが、今やゲームや映画を通じて世界中で人気を得ています。

最近も、愛知県がご当地のPR作戦で「徳川家康と服部半蔵忍者隊」の募集を行っていました。

7人の採用に対してオーデションに応募した忍者希望者が24人、その内日本人20人の他、外国人の希望者が4人いたそうです。

しかも厳しいテストを通過した中に、アメリカ人忍者が1名いて、初の外人忍者誕生と紹介されていました。

そう言えば、忍者屋敷の体験希望者も、外人観光客が多いという情報もあります。

「忍者屋敷」の画像検索結果

あの忍者の衣裳が、日本的でエキゾチックと感じるのでしょうかね。

思わぬ処で再発見された忍者ブームでした。

警察の役割分担は?

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題にはあらゆる分野の知識を問う問題が含まれていました。

テレビドラマを見ていると、犯罪捜査を扱った刑事ドラマが人気で、毎週のように各テレビ局で制作された作品が放送されていますね。

昔から、主役の刑事が活躍する場合、彼らの所属は「捜査一課」と相場が決まっていました。

でも、警視庁の中には他にも犯罪別に担当する「課」が幾つも存在しています。

第14回のエリーで、その様な疑問をクイズにした問題が出されていました。

問・警視庁で、殺人・放火は「捜査一課」。では、暴力団の取り締まりに当たるのは捜査何課?

答・四課

解説 最近、暴力団山口組の分裂騒動が有り、度々ニュースに登場する俗にマル暴と呼ばれるのは捜査四課の皆さんです。

毎日、荒っぽい暴力団員相手ですから、彼らを威圧する意味で、同じような風貌がテレビに登場しています。

仕事とはいえ、ご苦労様です。

また、捜査一課は殺人、強盗、暴行、傷害、放火など、強行犯と呼ばれる犯罪を担当しています。

捜査二課は選挙違反、贈収賄、詐欺、サイバー犯罪など知能犯を担当。

三課は窃盗、空き巣、ひったくりなど盗みの犯罪を捜査する専門職なのですね。

テレビ・ドラマでは、その他に鑑識係りや科学捜査の担当者が活躍するものなど、興味深い登場人物を設定して番組作りを行っています。

「警視庁建物」の画像検索結果

それにしても、桜田門の警視庁のビルは、ドラマや本物の事件など、毎日必ず数度はテレビで露出されています。

テレビに映る建物NO1として、これぞギネスものと言えそうな活躍です。

 

動物の難問

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は答えにわずかでも疑問が残る場合、採用されません。

我々が特に注意していたのは、動物や植物に関する問題でした。

これは解釈によっては異説を唱える研究者がいるなど、正誤がハッキリ区別出来ないのでクイズ向きな話題が少ない、との判断でした。

例えば次のような問題がありました。

「バナナにはタネのある種類もある。○か、×か?」

タネのあるバナナとは面白そうな話題なので調査しました。

と、或る植物の専門家が、バナナと呼べる植物で種のあるものも存在する、と証言してくれました。

勿論、食用のバナナとは全く別物でしたが、クイズ問題には不向きな情報です。

この様な特殊な植物を例に、○を正解にしたのではフェアーな問題とは受け取られません。

従ってこの問題は没になりました。

こうした調査を潜り抜けて、次のようなクイズ問題がありました。

第8回のキーウエストで出題された問題です。

問・加藤清正が、その勇ましい鳴き声を聞いて「カチガラス」と名付けた鳥は何?

答・かささぎ。

解説 九州の一部の地域の人には常識的な問題かも知れませんが、一般的には難問の部類でしょう。

Sroka Pica Pica II.jpg

佐賀平野で見られるカササギはその鳴き声がカチカチと聞こえる処からカチガラスの別名で呼ばれています。

語源については、加藤清正の名付け親との伝説も有力で、佐賀県の県の鳥に指定されています。

カチガラスの他に朝鮮半島から渡って来るので、コウライカラスとも呼ばれ、佐賀県や福岡県など狭い地域で見られる鳥なのです。

カササギは鳥類の中では大きな脳を持っており、知能が高い事で知られています。

哺乳類以外ではミラー・テスト(鏡に映る姿を、自分と認識する能力)をクリアしている珍しい鳥なのです。

このカササギのように、その動物の棲む地域では知られていても、全国的には情報の行き渡らない問題は難問と我々は判断していたのです。

動物や植物には面白いエピソードが有りますが、クイズ問題にするには、正誤の判断が難しい情報が多いのです。

特に、面白さを強調した雑学辞典などを出典とした問題は要注意でした。