童話、童謡の故郷は?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人なら誰でも知っている知識を題材にした、クイズの基本的な問題が多数創られていました。

その中でも、童話、童謡、童歌は子供の頃に、ほとんどの幼児が習った基礎的な知識と言えるでしょう。

でも、その舞台となった場所が何処なのか?となると知らない人も多く、これがクイズ問題になり易いのです。

例えば、「分福茶釜の舞台となった場所は?」のような問題は間違いなく「このお寺」、と実際のお寺が存在します。

また、童謡「通りゃんせ」の舞台は? となると幾つかの説が入り混じり、御本家争いが起きる事もあります。

我々のクイズ番組は、正解の確証を得ない限り、問題として成立しないので、諸説ある場合は没となっていました。

その様な難関を突破して、採用された問題が第7回のデスバレーで出題されていました。

問・証、証、証城寺のある県は何処?

答・千葉県

解説 証城寺は、千葉県の木更津市に実在する、浄土真宗本願寺派のお寺です。

狸に関わる伝説は「証城寺の狸伝説」の他「分福茶釜」(群馬県館林市)や八百八狸物語(愛媛県松山市)と並んで日本3大狸伝説として知られています。

では、「証城寺の狸伝説とは?」如何なるお話なのか、簡単にご紹介しましょう。

昔々、月夜の或る晩の事。証城寺の庭に、近くの森に棲む狸が集まって、ポンポコポンと腹鼓を叩いて、楽しそうに踊っていたそうです。

これを見た寺の和尚さんが、自慢の三味線でお囃子を始めると、狸も負けじと腹鼓を叩く。

狸と和尚さんのコラボが、熱戦となり延々と続いたと思ってください。

狸は張り切り過ぎて、翌朝お寺の庭で、腹を破って死んでいたそうです。

不憫に思った和尚さんが、石碑を建て供養をしたというお話です。

証城寺を作詞家の野口雨情が訪れた際に、お寺に伝わる「狸囃子伝説」を聞き、作詞した作品に中山晋平が曲を付け、童謡の名曲が誕生したのです。

「証城寺」の画像検索結果

この伝説を知ると、「証城寺の狸囃子」の歌詞の意味が理解できるでしょうね。

因みに木更津市は、東京湾を横断するアクアラインが出来たため、車で簡単に行け、観光客も増えています。

中でも、証城寺は童謡のお蔭で知名度が高く、観光客も訪れていますが、流石に狸の姿は見かけないようです。

木更津市も市街地がほとんどですから、近隣の森の狸がポンポコポンと遊んでいる訳ありませんよね。

本日は「証城寺の狸囃子」の蘊蓄でした。

お伽話の結末は?

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本の伝統文化に関する問題も多数ありました。

日本人なら誰でも知っている知識に、昔話、或は伝説、お伽話という分野がありますね。

日本人の大多数は、大筋は知っていても、細部に亘って記憶している人は少ないのが現実でしょう。

クイズ問題は、知っているようで、忘れてしまった盲点を探して創る場合と、その知識の細部を検証して、創るというのが我々の問題の作り方でした。

誰でも知っているお伽噺に「浦島太郎」の物語があります。

乙姫様竜宮城鯛や平目の舞い踊り玉手箱、この物語から覚えた夢のある日本語は結構ありますね。

この結末は、禁じられていた玉手箱を開けてしまった太郎は、一気にお爺さんになってしまったというのが誰でも知っているお話です。

しかし、このお話には更に先があったのです。第16回のグアムでその先に関する問題がありました。

問・浦島太郎が玉手箱を開けて、お爺さんになった後に変身した鳥は何?

答・鶴

解説 「浦島太郎」は室町時代に完成した「御伽草子」に載っているお話です。

お爺さんになった太郎はその後、鶴に変身し大空に飛び立ったという事になっています。

この舞台は、丹後の国(京都府の北部)との説の他、我が故郷の海岸と名乗る場所が多く、御本家争奪戦の様相を見せています。

そもそも、作り話なので日本中のどの海岸でもよさそうですが、名所が欲しい自治体にとってはそうも行かない事情があるのでしょうね。

本来「亀さんの恩返し」ですから、ぼちぼちとのんびり行った方が理に叶ってると思うのですが…。

今年は厳寒の冬になりそう

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、言葉の語源を問う出題がしばしばありました。

今年の夏は極暑との表現がありましたが、その反動なのか、冬は格別に寒い事になると予想されています。

この、寒さに関する言葉の問題が、第4回のコロラド・スプリングスで出されています。

問・冬の事を人に見立てて、「冬将軍」と言いますが、この言葉のもとになった人物は誰?

答・ナポレオン

解説 1812年、フランスのナポレオン軍がロシアを攻めた時、冬のあまりに厳しい寒さに敗退しました。

ナポレオンを破ったのは、冬の寒さである。これを擬人化して「冬将軍」と呼ばれるようになったのです。

厳寒のロシアで倒れた兵士の遺体3,000体以上が、後に発掘されるなど、悲劇が伝えられています。

また、この戦争はナポレオンの没落を早めた原因とも歴史的には伝えられています。

向かうところ敵無しのナポレオンも、自然を相手では流石に勝てなかったのです。

「ナポレオン」の画像検索結果

気象予報が発達した現代なら、こうした悲惨も未然に防げたでしょうが、科学の進歩は有難いものですね。

冬将軍とは、ナポレオンを破ったロシアの厳しい寒さを擬人化した言葉、語源の一言知識でした。

通称名と学名の違い

 

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、難しい知識と易しい知識が混在していました。

実は、一般的には良く知られた知識を、学名で表現されると難しく聞こえてしまう事象が、世の中には結構あります。

例えば学名の医学用語で表現されると、難しい病気のようでも、一般の言葉で聞けば、良くある病気だったりしますね。

こうした一般の用語と、専門家が使う学名の表現の違いを、クイズ問題にする事が時々ありました。

第6回のバーストウで、次のような問題がありました。

問・沖縄で発見された鳥で、学名をラルス・オキナワエと言ったら何?

答・ヤンバルクイナ

解説 世界で類を見ない新しい鳥の発見、昭和56年の事で、当時ヤンバルクイナと言えば誰でも知っている名前でした。

「yannbaru」の画像検索結果

これも、学名を当てるクイズだとしたら「ラルス・オキナワエ」と正解出来る確率は低かったはずです。

同じ、鳥の名前を問う問題でも、一般の呼び名と学名では正解率に格段の差が出る典型的な例でしょうね。

山原(やんばる)鳥(くいな)。沖縄の方言で、山原に棲む鳥として、地元の人にとっては知られた鳥だったのです。

空を飛翔する事はなく、森の中を歩いて移動し、夜はヘビから身を護るため、樹の上で寝る習性でした。

これが世界に紹介された瞬間、世界に類を見ない事が判明し、一挙に有名な鳥類となったのです。

1982年に国の天然記念物に指定され、その後、希少野生動植物に指定されました。

深海の魚類や、鳥類、昆虫類など、世界で未確認の動稙物はまだまだあるようです。

中には、その様な未確認の動植物を探索をする学者も数多く存在します。

これ等の発見のニュースが出る度に、その年のクイズ問題に登場するのがクイズ界の定石と言えます。

新しい発見は良く記憶しよう! クイズに強くなる必須条件です。

 

 

 

 

元祖、超高層ビルの話

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、世の中の古典的な知識と、新しい出来事の知識が混在して問題になっています。

古典的な知識も、時代の流れによって変化するのは、世の中の流れと言えるでしょう。

例えば、ウルトラクイズが始まった時代には、世界で一番高いビルと言えばニューヨークのエンパイア・ステート・ビルと相場が決まっていました。

でも、それにとって代わる新しいビルが次々と完成し、世界一のビルは毎年のように変化して来ました。

当時のエンパイア・ステート・ビルは、ニューヨークの象徴的な建物なので、ウルトラ・クイズでも何回も訪れていました。

「エンパイアステ...」の画像検索結果

勿論、クイズ問題にもなっていました。

第7回のレイクパウエルで、次のような問題が出されていたのです。

問・エンパイア・ステート・ビルとゴールデン・ゲート・ブリッジ(金門橋)、先に作られたのはどちら?

答・エンパイア・ステート・ビル

解説 エンパイア・ステート・ビルは1931年に完成。金門橋はそれに遅れる事6年の1939年に完成しています。

現代では、世界中に超高層ビルが建ち並んでいますが、アメリカでは、昭和の初めにこうした超高いビルが出来ていた事に驚きを覚えます。

ニューヨークのビル群を「摩天楼」と呼び、あの景色に憧れた人は世界中に多数いたでしょう。

でも、今では世界中の大都市に、同じような超高層ビルが建ち並び、元祖を忘れている人も居るようです。

エンパイア・ステート・ビルは元祖超高層ビル、クイズ・ファンには忘れて欲しくない知識です。

これって、年寄りの戯言(たわごと)ですかね。