易しい問題も誤答する?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には超易しい問題から、逆に専門家なら知っているような「難問」まで、幅が広い分野から出されていました。

とは言え、易しい問題でも時と場合によっては、正解が出ずに誤答や、答が頭に浮かばない事もあります。

例えば「ばら撒きクイズ」のように、走って問題を拾ってきて、そのまま問題を読まれても、設問が頭に入ってきません。

時間は刻刻と過ぎるし、MCは「どうした?」こんな問題が解らないのか? の調子で攻めてきます。

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息は切れるし、頭の中は「真っ白」といった状況! 可哀想で気の毒な場面になります。

我々スタッフは、こうした場面を創るために頭を捻っていたわけですから、意地の悪い連中だったのです。

そんな中で、更に残酷なクイズ形式がありました。

1日のクイズが終わり、翌日までは解放されたと思うのが挑戦者達。その夜は飲んだり食べたりリラックスします。

夜も寝静まり、丑三つ時と言えば午前2時。ぐっすり寝込んでいる処を突然起こされ、1対1の早押しクイズ。

ほとんどの挑戦者が、寝惚けまなこで状況を把握できません。

そんな中で出されるのですから、易しい問題でも理解出来ないのは無理もありません。

第11回、グアムで行われた「深夜の襲撃・1対1早押しクイズ」では次のような超易しい問題でした。

問・仲良く親子3人が並んで寝るのは「川」の字。では1人で伸び伸び寝るのは何の字?

答・大の字

解説 人が手足を広げて上向きに寝た姿が、漢字の「大」の形に似ているので、このように表現されています。

挑戦者も、普通の状態で出された問題なら、文句なく早押しボタンを押した事でしょう。

でも、ぐっすり眠っている処を起こされ、いきなり「問題」と言われても、頭は回転しないのが一般的な反応でしょう。

ウルトラ・クイズが17年もの永い年月、皆さんに喜ばれたのは、このような馬鹿々々しい形式があちらこちらに仕掛けられていたからなのです。

知力・体力・時の運。知識だけではありません。

ウルトラ・クイズとは大人も子供も大好きな遊園地のような番組だったのです。

 

小さな疑問が面白い

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、人々が常識として身に付けている知識が基本ですが、生活の中から自然に学んだ知識もあります。

生活は10人10色で、それぞれ異なるので、知識の幅も広く正解を聞いて「へー、そうなの?」と驚く場合があります。

この面白さを狙った問題が、第3回の後楽園球場で出されていました。

問・白ウサギの目は赤いが、黒ウサギの目は黒い。〇か✖か?

答・〇

解説 実際にウサギを飼ったり、学校で飼育を経験した人なら簡単に正解出来る問題でしょうね。

でも、ウサギを普通に眺めた程度の記憶では、「さあ、どうだったかな?」と迷いに迷ってしまうでしょう。

一般には、白ウサギの目が赤いのは記憶にある。でも、他のウサギの目までは覚えていない、と考えるのが普通です。

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白ウサギには色素が無いので、血液が透けて赤く見えるのです。

これに対して黒や茶色のウサギにはメラニン色素があるため、黒又は茶色に見えます。

この種の、生活の中の盲点は「なるほどねえ」と納得感が得られるので、我々はこの種の問題を大切にしていました。

知っている人にとっては常識中の常識。でも、知らない人には新鮮な驚き、この極端な格差が、クイズ・ゲームの魅力と言えるでしょう。

 

家族で愉しむ問題の妙

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を見ると、子供でも正解する易しい問題から難しい問題まで、幅広いのが解ります。

これはウルトラ・クイズの基本姿勢で、家族がみんなで楽しめる事を目的に企画された番組だからです。

家族でテレビを視ながら、大人から小学生まで誰でもクイズに参加出来る。正解を巡って家族の会話が弾む、これこそ我々の理想でした。

そんな会話が弾みそうな問題が、第7回のデスバレーで出されていました。

問・童謡「お山の杉の子」で ♬これこれ杉の子起きなさい、と声をかけたのは誰?

正解 おひさま(太陽)

解説 デスバレーは最高気温57度、死の砂漠と呼ばれ極暑の地です。そのためご当地問題として、太陽、暑いに関する問題が多数ありました。

「お山の杉の子」は日本人なら誰でも知っている童謡です。

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子供でも歌詞を覚えている人は多いはず。

♬これこれ杉の子、起きなさい おひさまニコニコ声かけた、声かけた~  記憶に残っていれば、小学生でも咄嗟に正解したでしょうね。

お茶の間で、子供が一番に正解すれば「おっ!すごいな」と家族は褒める事でしょう。これを切っ掛けに会話が進む、正に理想の形です。

我々は、どのチェック・ポイントでも必ずこうした易しい問題を含ませ配列していたのです。

勿論、高度な難問も入れ、クイズ・マニアの自尊心を満足させる事も忘れてはいません。

こうした問題の匙加減こそ、ウルトラ・クイズの命綱だったのです。

 

 

 

勘が勝敗の決め手になる

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、日本史、世界史など幅広い分野から問題が創られていました。

クイズは知識を競うゲームなので、日頃から知識欲の旺盛な人達が好み、挑戦者になったり、テレビで問題に参加して楽しんでいました。

単に歴史問題とは言え、日本国内に限らず、世界の歴史も知る必要がありますね。それも古代から、中世、近世など幅が広いのです。

そんな中で、第15回のモハーベ砂漠で次のような問題がありました。

問・ラテン語で、「日の沈む地」は「オクシデント」。では「日の出の地」は何?

答・オリエント

解説 この問題のキーワードは、ラテン語が使われていたのは何処か? これが解れば、その地から見て日が昇ったり、沈んだりが解ります。

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ラテン語が広く世界中で使われたのは、古代ローマ時代からだと言います。

古代ローマから見て東はオリエント。西はオクシデントと表現され、現代の東洋と西洋の表現になりました。

このような複雑な歴史を知らなくても、オクシデントが西洋と解れば、勘を働かせてオリエントの正解は得られます。

クイズはゲームなので、勘を働かせるのも、重要な武器なのですね。

ウルトラ・クイズは知力・体力・時の運が基本でした。所謂、遊びの心を100%発揮させた人こそ、先へ進めた番組だったのです。

今だから話せる勝者への心構えでした。

それを知っていたのが歴代のチャンピオン達だったのです。

日大騒動の余波を見ると

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、何十年も前のクイズなのに、現代でも「旬」の問題として通用する事があります。

最近、日大の「アメリカン・フットボール」の不正問題から始まって、大学の在り方が社会問題に発展、連日テレビ番組を騒がせています。

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正に、大学は教育の為にあるとの基本が忘れられ、権力者の「おもちゃ」のように勝手に利用されているのが、日大問題でした。

そんな大学に関するクイズが、第16回の東京ドームで出されていました。

問・すべての都道府県には、必ず国立大学がある。〇か✖か?

答・〇

解説 大学受験を経験した人なら、間違いなく正解出来る筈の問題でしたが、しかし、迷いに迷った挙句✖に走り込んだ人がいました。

日本の法律では、全国の都道府県には最低一校は「国立の総合大学」が設けられています。

どの県に住んでいても、専門分野の教育が受けられる権利がある、との自由で平等の思想ですね。

日大は私立大学ですが、文部省の管轄下にあり、当然の事ながら国の補助金も受けて運営されていました。

という事は、文部省の審査の甘さが今回のような無法にも近い、出鱈目な騒動に発展したとの意見も出て来ます。

森友問題、加計問題に関わる「文部省、財務省」の不正隠しが国会で大問題になっています。

その意味では、今回の日大の騒動でも、中央省庁の責任問題が出てくるかもしれません。

今年は「忖度」との言葉が流行語になりました。

「忖度」が大好きな役人の皆さんは、政治家よりも国民の為に「忖度」して欲しいものです。

本日の裏話は、日大問題の余波を覗いて見ました。